ユキムカエフユシャク
Alsophila inouei Nakajima, 1989
漢字で書くと雪迎冬尺。1989年に記載された比較的新しい種である。
中島秀雄,1989.日本産フユシャクガAlsophilaの1新種.蛾類通信156:83-85.
すごく風流な名前のこのフユシャク、僕がフユシャクに興味を持ってからの憧れだった。
標高が高めの山地で発生、という図鑑の記述があったので高嶺の花だと思っていたのだが・・・
灯台下暗しとはこのこと。すぐ近所にいた。我が家から車で30分もかからない。
そんなだから、最初はシロオビフユシャクだと思い込んでしまった。
知人の指摘など色々あってユキムカエと判明した。
この一件で僕は図鑑に記載してあることももしかしたら・・・と疑ってかかるようになった。
標準図鑑でも「関東地方周辺では700-1000mの山地に発生」と記述がある。
今でこそ平地産は「日本の冬尺蛾」にも書かれ有名となったが、僕が見つけた当時はほとんど記録のないものだったのだ。
【成虫♂写真】 20111223 埼玉県
関東平地のオス。山地産に比べて黒味が弱い傾向がある気がする。
同所で出会ったメス。
いつまで経っても交尾しないので、持って帰ってカップリング。19時頃。
産卵後の♀は腹部が縮んでしまう。
関東の山地では11月、平地では12月の中旬から下旬にかけて出現する。
ヤマハンノキ、ハンノキを食草としているので、大きいハンノキ林があったら生息している可能性がある。
近くにハンノキ林がある方は是非チェックしていただきたいと思う。
種小名はinouei (イノウエイ)。言わずと知れた日本蛾界の大家、井上寛氏への献名である。
尚、平地産ユキムカエフユシャクの報告は「誘蛾燈」に報告があった。
杉山徹朗,2000.埼玉県秋ケ瀬公園で得たフユシャク2種.誘蛾燈159:36
埼玉での記録はこの平地産だけである。
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