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2012年4月

【0049】イイジマキリガ
Orthosia ijimai

和名に人名がつく蛾というのがいる。発見者の名前だったり発表者の名前だったり色々である。

イイジマキリガもそんな種のひとつで種小名もiijimai(イイジマイ)となっている。

北海道の昆虫研究家、飯島一雄氏のことである。

しかしそんな命名のおかげで?夜の森の中で「いた!イイジマ発見!!」とか叫ぶハメになる。

事情を知らない人は行方不明者の捜索かと思うのではないだろうか。


そんな採集者の事情はさておき、このイイジマキリガ。赤茶に白がうっすらと入った気品のある蛾である。

なかなか出逢えない・・・ と思っていたが初遭遇以来、僕は毎年見てる気がする。縁のある蛾だ。


S
20120415長野県軽井沢町大字軽井沢<標高960m>

♂は触角が若干櫛毛状であるがこの個体は上手く撮れてない。標本にしてあるが、♂である。

おそらく毎年見てるのはこのポイントにこの時期毎年来てるからである。安定して見られるポイントだ。

白がうっすら、とは書いたがあまり白が入らない(擦れてる?)個体もいる。

こちらは♀なのだが、♀がこういう色なのかとおもいきやそうでもないようだ。

Sp5033364
201090503長野県軽井沢町大字軽井沢<標高960m>

個体変異があるが、ひとことで言ってしまえば赤茶色で頭でっかちな印象の蛾である。

標高高めの寒冷地に棲む蛾のような気もする。


食草はサクラなどの広葉樹となっているがどこにでもいる蛾ではないのが不思議だ。

大体、僕がニヤニヤするポイントで記録があるのだ。

埼玉県では秩父市大滝大輪の1件だけとなっているが、僕は中津川でも採集している。

以下記録
S_3
20090404栃木県日光市中宮祠<標高1260m>

Sp4133543
20120413山梨県<標高1050m>

Sp4153574_2
20120415長野県軽井沢町大字軽井沢<標高960m>

【0048】カシワキボシキリガ
Lithophane pruinosa

秋に羽化して翌春まで成虫で過ごす越冬キリガである。

石壁に張りついていたりすると良い擬態となってなかなか見つけられない。

グレー系統の種は石に擬態してるのであろうが、この種はよく溶け込んでいることが多い。

自分の止まるべき位置をわかっているのだろう。


とはいっても石がないところに惹かれてきてしまうとその擬態も逆効果だ。

Sp4031982
20100403埼玉県秩父市三峰<標高1060m>

黒い紋には濃淡があるようで、別種かと思うときもある。

山地にも平地にも生息しており、珍しい種ではない。

ただ、埼玉では東側での記録が少ない。


種小名はpruinosa(プルイノーサ)。ラテン語で「冷ややかな」の意。


以下記録
Sp4031991
20120413山梨県<標高1000m>

Sp4133533
20100403埼玉県秩父市滝沢<標高590m> 


【0047】ゴマフキリガ
Orthosia coniortota coniortota

春のキリガ。比較的見ることが少ないキリガだ。

本州で関東以北の山地に生息しているが分布はシナノキを食樹としているためか局所的だ。

そう簡単にお目にはかかれないキリガである。


小さくて【シロヘリキリガ】に似ているが、こちらは茶褐色。シロヘリは白黒である。

薄茶褐色からコントラストが大きい個体まで変異が激しい。

Sp4133529
20120413山梨県<標高1000m>

メスは触角が糸状らしいが未見。

種小名はconiortota(コニオルトータ)。ラテン語で直訳すると「直立した円錐」 かな?

ちょっと意味が分からないので違うと思う。

埼玉県での記録は三峰と入川林道。僕は豆焼橋付近で採集したことがある。

標本画像
S_4

成虫♂


以下記録

Sp4247822
20110423山梨県山梨市三富川浦上広瀬<標高1190m>

【0046】ケンモンキリガ
Egira saxea

人間のおかげで大繁栄したであろう種。

幼虫の食樹が「スギ・ヒノキ」なのである。

今の日本の山にはスギヒノキがたくさん植林されている。おかげでスギの山にいけばいくらでも落ちている。

ケンモンキリガにとってはごちそうを人間が勝手に用意してくれたわけだ。


もし、日本がスギヒノキの植林を奨励してなかったらケンモンキリガはレア種だったかもしれない。


Sp4041999
20100403埼玉県秩父市大達原<標高370m>

この種は♂と♀で色彩に違いがある。

上の画像にある♂は茶褐色の地味な蛾だが、♀は少し白っぽく僕の好きな色合いの蛾だ。

S
20100406埼玉県秩父市大達原<標高370m>

埼玉での記録は入間から西側に偏っている。


以下記録
Sp4133524
20120413山梨県<標高1000m>

【0045】タカセモクメキリガ
Brachionycha albicilia

本州中部(関東)山地に局所的にしか生息していない蛾である。

と書くと希少種のようだが、生息地では多産するらしい。


同属の【エゾモクメキリガ】【タニガワモクメキリガ】よりも一回り小さく、斑紋があっさりしており、どことなく高貴な印象だ。


S_2
20120413山梨県<標高1050m>

埼玉住みの僕には縁の遠い蛾で、飛来したときは大興奮であった。

大体この地域にいるだろうという認識しかなく、確定的なポイントは知らなかったのだ。

半分は偶然とも言えるこの出会いには本当に興奮した。


種小名はalbicilia(アルビキリア)。ラテン語で「白い睫毛」 いい感じ。

近年の研究でカラマツを食べるということがわかってきたらしい。

埼玉では未だ記録がない。

標本画像
S_7


【0044】タカオキリガ
Pseudopanolis takao

折れた枝に擬態してるのであろうその姿。

一見するとツマキシャチホコの仲間に見えるが、実際に出会うとかなり小さく感じる。

洗練されたその模様は見るものを魅了して止まない。儚ささえ覚える。

飛翔力があまり強くないようで、発生場所から離れすぎると光源にも飛来しないようだ。

ライトトラップをすると、飛来するというより舞い降りるという表現が近い。

S
【成虫写真】20120413山梨県富士河口湖町<標高1000m>


種小名はtakao(タカオ)。初めて記録された高尾山のことであろう。


モミを食樹とするので生息域は狭い。局所的に採集される種である。


埼玉では奥秩父での記録に限られ、埼玉県レッドデータブック2011では「準絶滅危惧種」に指定されている。

標本画像
S_6

以下記録
S_5
【成虫写真】20130502静岡県富士市大淵<標高1450m>

【0043】ホソウスバフユシャク
Inurois tenuis

フユシャク亜科の中で最も遅くに出現するホソウスバフユシャク。

関東平地だと2月下旬から3月、寒冷地だと4月、場所によっては5月まで見ることができる。

この種が出てきたら冬はもう終わり間近。春はそこまで来ている。


イヌロイスはお互いよく似ているが、関東で普段良く見られる他のイヌロイスに比べ一回り小さい。

斑紋が薄く、内横線が3の字になっているのが特徴的。

外横線がギザついているのも同定ポイントである。

Sp4083500
20120407埼玉県秩父市川又<標高710m>

様々な落葉樹を食樹としており、普遍的に見ることができる。

種小名は tenuis(テヌイス)。ラテン語で「薄い」。 もうそのままである。


埼玉での報告は多いが、東側に偏っている。


【0042】ヒゲマダラエダシャク
Cryptochorina amphidasyaria

3月から4月に現れるシャクガ。大型で茶色のよく目立つシャクガである。

僕が勝手に制定した「春の七枝尺」の一員だ。

ヒゲマダラの名の通り、触角の主軸がマダラ模様になっている。

触角にもお洒落を忘れない拘り派の蛾だ。


Sp4083503
20120407埼玉県秩父市中津川<標高665m>

地味だが春を代表するシャクガのひとつであると思っている。

種小名はamphidasyaria(アンフィダシアリア)。見当もつかない。色々検索したがお手上げである。

amphidaという人名がいくつか引っかかるのだが・・・


埼玉では県西部で記録が多い。

【0041】ハネナガカバナミシャク
Eupithecia takao

冬が終わる頃、カバナミシャクの姿が街灯の下に目立つようになる。

こうなってくるとあと少しでシーズンが始まる。

冬の間、待ちに待った春蛾の登場ではあるが、同定が厄介なこの仲間はスルーしてしまいがちだ。

斑紋だけで特定できない種が多く、素人の僕には敷居が高い仲間である。

そんなカバナミシャクでも一目でソレとわかるのがこのハネナガカバナミシャク。

なかなか渋い斑紋をしていて、ミーハーな僕でも心惹かれるカバナミシャクである。

Sp4083508
20120407埼玉県秩父市中津川<標高665m>


図鑑には全国各地に普通、と記載してある。

しかし埼玉では入間での記録が1990年に一度あるのみで、以降の記録が全くない。
1990,井上寛. いるま蛾報(5) 寄せ蛾記56:1015-1016

しかも1955に記載したご本人の記録である。


早春の小さい蛾なのでスルーされている可能性が高く、注視していく必要があるだろう。

種小名はtakao(タカオ)。 高尾山のことだろう。

【0040】スギタニキリガ
Perigrapha hoenei

越冬しないで春から出現する春キリガ。 その中でも一際存在感の大きい種だ。

なにより大きくて目だつ。斑紋も特殊ですぐソレとわかるキリガである。

「今日はあまり集まりがよくないな・・・」 そんな日でも彼らは街灯の下で待っている。


「まぁスギタニに逢えただけマシか」


成果がなくてもそんな気にさせてくれる貴重な存在だ。

Sp4083510
【成虫写真】20120407埼玉県秩父市中津川<標高665m>

前翅の色彩や紋は若干の個体変異がある。

種小名はhoenei(ホエネイ)。献名だと思うが全く分からない。

食樹はブナ科、バラ科、マツ科と広い食性を示す。

以下記録
Sp4153567
【成虫写真】20120415長野県軽井沢町長倉<標高1310m>

【0039】カバキリガ
Orthosia evanida

越冬せず春から出現する春キリガである。

渋いグラデーション模様が素敵なキリガだ。

低地から山地まで生息するが、僕の近所ではあまり見ることがない。

ブナ科とバラ科が食樹として記録されている。


Sp4133535
【成虫写真】20120413山梨県<標高1050m>


種小名はevanida (エウァニーダ)。ラテン語で「気の抜けた」。はっきりしないグラデーション模様を評してのことか。

埼玉でも低地から山地まで広く生息している。

以下記録
Sp4083506
【成虫写真】20120407埼玉県秩父市中津川<標高665m>

【0038】ウスミドリコバネナミシャク
Trichopteryx miracula

春が来ると街灯の下にはコバネナミシャクの仲間がよく目立つようになる。

そんなコバネナミシャクの中でも大きな部類であるこのウスミドリコバネナミシャク。

薄い緑が早春の山を思い起こさせる(mothprog氏談)味わい深い蛾である。


【ウスミドリナミシャク】と名前は似ているが、全く違う蛾だ。

Sp4083505
【成虫写真】20120407埼玉県秩父市中津川<標高665m>


種小名はmiracula (ミラクラ)。ラテン語で「奇跡」。

食樹は未だにわかっていないようだ。

埼玉での記録は入間市と霧藻ケ嶺。

そんなに数は多くないようで、僕が見たのもこの個体だけである。

【0037】エゾモクメキリガ
Brachionycha nubeculosa jezoensis

同属の【タニガワモクメキリガ】より若干遅く出現する。時期で言えば4月上旬がピークか。

タニガワ~よりも若干ふっくらして頭でっかちな印象であるが、渋い色合いの美しい蛾である。

名前にエゾとついているが、特に北海道特産というわけではなく九州まで分布するようだ。

Sp4057453
【成虫写真】20110404埼玉県秩父市中津川<標高665m>

まだ蛾の少ないこの時期、見かけると嬉しくなる。

個体数は多いとは思わないが全くいないというわけでもない。

食樹はブナ科、ニレ科、ヤナギ科、バラ科が記録されている。


種小名はnubeculosa (ヌベクロサ)。ラテン語でnubeculo=「雲のような」。なんとなくわかる気がする。


埼玉での記録は奥秩父に限られる。

以下記録
Sp4182401
【成虫写真】201004173埼玉県秩父市九度の沢付近<標高850m>  

Sp4073493
【成虫写真】20120407埼玉県秩父市豆焼橋付近<標高1065m>

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