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2013年5月

【0087】シロヘリキリガ
Orthosia limbata limbata

春に出てくるオルトシア属のキリガである。

平地から山地まで普遍的に生息するキリガで、時期になると多数の個体が散見される。


一見【ゴマフキリガ】に似ているが、茶褐色のゴマフに対しシロヘリは完全な白黒の蛾である。

それを知っていれば見分けるのに問題はないだろう。

食餌もサクラ、クヌギコナラとどこにでもあるような樹木である。


S
【成虫写真】20130318 埼玉県秩父市大滝<標高860m>

種小名は limbata(リムバタ)。 ラテン語でlimbatusが「辺縁のある」という意味のようなので似た様な意味をもつと思われる。

言わずもがな白い縁の部分を指してのことだろう。

S
【成虫写真】20150317東京都東大和市<標高160m>

基本的には縁部分以外は黒が強いのだが、稀に白が強い個体も見られる。

通称 シロシロヘリキリガ。数はかなり少なく、1/50くらいの確率?見つけると嬉しい変異だ。


埼玉での記録は川口市から旧大滝村までと幅広く、全域に生息しているようだ。

【0086】セブトエダシャク本州以南亜種
Cusiala stipitaria kariuzawensis

スルーしがちな地味エダシャクである。ちょっと山の方へ行くと良く見かける蛾だ。

地味エダの中でも中~大型の部類に入るのではないだろうか。

内横線と外横線が離れており、意外とすぐ辿り着ける種だ。

【ヨモギエダシャク】に似ている。が、見分けはつけやすい。

各横線がギザギザしているヨモギと比べるとセブトはかなりなだらかで起伏が激しい。

一見して横線が煩く見えるのがヨモギである。


但し個体変異が激しいので、色に惑わされないことが重要である。

Ssebuto
【成虫写真】20130527 長野県軽井沢町大字長倉<標高1300m>

白いタイプ。見栄えがする美しいタイプだ。

この種は♂でも触角が目立たない。触角が目立っていたら間違いなくセブトではないのだ。

Ssebto
【成虫写真】20130527 群馬県嬬恋村干俣万座温泉<標高1800m>

こちらは黒いタイプ。

後翅に○の白紋が出てくることがある。

「おっ見たことない地味シャク?」 と思っても大体見たことある種の個体変異だ。

少しだけ、期待をさせてくれる蛾でもある。

種小名はstipitaria (スチピタリア)。stipita=「柄」という意味があるようだ。


埼玉では多くの記録があり普遍的に生息しているようだ。

【0085】ヒサゴスズメ
Mimas christophi

山地でよく見かけるスズメガの仲間だ。だいたい5月から7月にかけて見られる。

ベースとなる斑紋は瓢箪の形をしており、これがヒサゴの由来となっているようだ。

翅色がくすんだ色から鮮やかなワイン色まであり、綺麗な個体はしばし見とれてしまう。

外縁部もなめらかな個体、ギザギザが強い個体と様々だ。

個体それぞれに違った顔があるような印象を受ける種である。

S_2
【成虫♂写真】20130527 群馬県嬬恋村大字鎌原<標高1260m>

おそらく♂であろう。♀はひとまわり大きいようだが、見たことはない(と思う)
------------20130604追記---------
ライトトラップをしたら♀が飛来した。
Sp6044379
【成虫♀写真】20130603 埼玉県秩父市三国峠<1700m>
 
前翅がふっくらしてる感がある。
触角も♂のように微毛が生えてることもなく完全な糸状のようだ。
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種小名は christophi (クリストフィー)。人名だろう。

クリストフ小虎カミキリと関係があるかもしれない。

幼虫はハンノキを食べる。しかし、埼玉では山間部での記録が多く、平野部での記録が見当たらない。

ハンノキで有名なA公園あたりにはいるのではないかと思ったが採集できなかった。

成虫の発生は5~6月。ヒサゴスズメを見るようになると出てくる蛾の量も格段に増えてくる。

いよいよシーズン本格化、を感じさせるスズメガだ。

【0084】エゾヨツメ
Aglia japonica

【イボタガ】 【オオシモフリスズメ】とともに 春の三大蛾 と称される種で、一年に一度は会っておきたい種のひとつである。

オレンジの翅色に後翅の眼状紋が青く輝きとても美しい蛾だ。 


しかし、最初に見つけるときはその翅を見せてくれていないことが多い。

翅を閉じて止まってしまう蛾なのだ。

Sp6034874
20120602 栃木県日光市中禅寺湖畔<標高1280m>

しつこく触っていると翅をバタン・・・バタン・・・として動き出す。

落ち着いてきたらようやくその姿をゆっくり鑑賞できるのだ。

120505
20120505 埼玉県秩父市豆焼橋付近<標高980m>

触角が羽毛状になっているのは♂。

美しい。新鮮な♂はオレンジも鮮やかでとにかく美しいの一言である。

この蒼い眼状紋は構造色なのだが、普通に真上から撮影すると黒くなってしまい魅力が半減してしまう。

蛾の頭の方から光を当てると蒼く撮れるようだ。

130527
20130527 長野県軽井沢町<標高1400m>

♀は色が薄く、はるかに大型で遠くに止まっているのを見てもひと目でわかる。

僕は♀と相性が悪いのかこの個体だけしか見たことがない。

しかしその大きさは明らかに今まで見たエゾヨツメとは違い大型であったため、♀と確信が持てた。

普段ならスルーである高いところのエゾヨツメを5mの竿をいっぱいに伸ばして捕獲したのだ。


岐阜や長野には極端に黒い粒状紋が多いカキシブエゾヨツメと呼ばれるタイプがいるらしい。

いつの日かそのエゾヨツメも見てみたいものだ。


以前は名義タイプ
北海道亜種  Aglia japonica japonica

本州以南亜種 Aglia japonica microtau に分けられていたが、

現在は明瞭な区別ができないということでミクロタウはシノニムとされ、エゾヨツメ Aglia japonica に統一されたようだ。


種小名は japonica (ヤポニカ)。日本の、という意味だ。


埼玉では広範囲に記録されているが、最近都市部での記録がない。

埼玉県のRDBで 「地帯別危惧種」 に指定されている。

【0083】ユミモンシャチホコ
Ellida arcuata

春のシャチホコガである。大体GW辺りでよく目にする種だ。

名前の由来ともなっている前翅先端の弓状紋は【タカオキリガ】を彷彿とさせ、

一瞬「おおっ?タカオ!?」とぬか喜びさせるがすぐにこのユミモンシャチホコであると気がつく。

S
20130503 埼玉県秩父市中津川<標高690m>

♂は触角が櫛歯状。♀は糸状らしいが未見だ。

----2013/06/04加筆-----
ライトトラップをしたらメスが飛来した。♂より一回り大きい。
色が薄いのは個体変異なのだろうか?
S_2
20130603 埼玉県秩父市三国峠<標高1700m>


食草はケヤキやハルニレとなっており、都市部にもいそうな気がするが見たことはない。


memo.....
シャチホコガ科 ウチキシャチホコ亜科に分類されています。
埼玉ではGW付近によくその姿を目にします。
僕は秩父市でしか見たことありません。

【0082】アマギシャチホコ
Eriodonta amagisana

天城越え で有名な伊豆天城山から名前をとったシャチホコガだ。

ブナ帯に棲息するためソコソコの標高がないと会うことができない。

しかも春の短い期間(GW前後)にしか姿を見せないので時期を外すとまた一年お預けだ。


地名のつく蛾に弱い僕はこの蛾が大好きであり、毎年この時期は探してしまう。

コントラストの強い前翅は僕の心を掴んで離さない。

S
20130503 静岡県富士市<標高1475m>

♂の触角が櫛歯状。黄色がかった翅色が美しい。

S_2
20110508 埼玉県秩父市三峰<標高1000m>

♀は触角が糸状で丸みを帯びた翅形だ。色も白っぽく控えめな印象を受ける。

人間の僕からみても女性的なフォルムである。(個人の感想です)

アマギシャチホコとの出会いは渋めの種の良さを教えてくれた。

この出会いが僕を一段深い蛾の世界へ導いてくれた、と思っている。


memo.....
シャチホコガ科 トビモンシャチホコ亜科に分類されています。
埼玉ではGW付近に標高1000m辺りでその姿を目にします。
エリオドンタ属はこのアマギシャチホコだけ。日本固有種です。

【0081】ギンモンカレハ本土亜種
Somadasys brevivenis brevivenis

小さめのカレハガの仲間である。

大きな銀紋が特徴的だが、翅色、紋の大きさには個体変異がある。

特に翅色は黒褐色のものから黄土色のものまで様々だ。

Sp5043617
20130503 埼玉県秩父市中津川<標高690m>

-----2013/06/04加筆------
色の濃い個体を撮影したので個体変異の例として添付しておく。
Sp6034326
20130503 埼玉県秩父市三国峠<標高1700m>
-------------------------

図鑑には6~9月に出現、と書いてあるが僕はGWに見ることが多い。

特にこの地域だけでなく関東近辺でよく目にしているのだ。

ひょっとすると最近の傾向なのかもしれない。


♀は大型で翅が丸みを帯びるらしいが、未見である。

埼玉ではGW頃から秩父方面で見られる。古い記録では浦和でも採集されている。




当ブログは基本的にList-MJ 日本産蛾類総目録 [version 2]に準拠しているが、カレハガ科の分類に関しては日本産蛾類標準図鑑との相違がある。

ギンモンカレハは
List-MJ2:カレハガ科カレハガ亜科
標準図鑑:カレハガ科マツカレハ亜科

となっている。

【0080】ルリモンエダシャク
Cleora insolita

春に現れるエダシャクの仲間である。

白灰茶系の地色に黒い横脈紋を持った所謂(というか僕が勝手に言っている)地味エダシャク に該当する。 

一見するとどれも似たような模様の地味エダシャク。

ルリモンエダシャクは変異も多いのだが、この種は下唇鬚(カシンシュ)が発達している。

内横線の太さも併せて紐解いていくとすんなりとこの種に行き当たるのだが・・・

最後に【キタルリモンエダシャク】という稀種がいることだけ、注意が必要だ。

S
20130503 埼玉県秩父市中津川<標高690m>

この♂は秩父地方でよく採集できる黒化型。普通は下記の♀のようにもっと白っぽい。

クレオラ属の♂は触角が櫛歯状になっており、とてもよく目立つ。

♂の触角は地味シャクの同定において非常に重要だ。

S_2
20130503 埼玉県秩父市荒川上田野<標高250m>

対する♀は糸状の触角。

♂のほうが飛来が多い印象を受ける。

春の蛾が一段落したあとに出てくる、GWの蛾探索には欠かせない蛾のひとつだ。


memo.....
シャクガ科 エダシャク亜科に分類されています。
埼玉ではGW付近によくその姿を目にします。


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