ミヤマゴマキリガ
Feralia sauberi (Graeser, 1892)
カラマツに依存している種である。
一見【ゴマケンモン】に似ているが、斑紋の違いの他にも色合いの違いなどから
さほど同定に困る種ではないように思う。
カラマツ依存ということで関東近辺ではある程度の標高がないと見られない種だ。
5月下旬から見ることが多いように思うが、図鑑では4月から出現と記載がある。僕が見ていないだけだろう。
緑地に白と黒の模様が美しく、見かけると写真を撮りたくなる蛾だ。
触角が櫛毛状の♂。
触角が糸状の♀。
ミヤマゴマキリガは♀もよく飛来してる印象がある。
以前は
Sugi(1968)によりFeralia montana という独立種として扱われていたが
Kononenko(1984)により大陸産の F. sauberi と同種とされ日本産の F.montana は日本亜種となった。
さらに上信山地のものは黒化が激しくF. sauberi pernigra という亜種として扱われていた。
しかし現在はRonkay&Ronkay(1995)によって二種はタイプ産地のF.sauberiと同種として扱い、上信山地の黒化は個体群の差として扱われるようになっている。※日本産蛾類標準図鑑より抜粋
>>>>>>>>>140707追記
上に記した上信山地亜種とされていた個体群とは産地が違うが、黒味が非常に強い個体を撮影した。
富士山の個体群である。この地域の個体群は黒化が激しいと以前から知られていた。
ひとつの個体が黒いわけではなく、ここで飛来する個体群が黒い。出会ってみると確かに別種と思ってしまう。
上信山地(浅間山付近)と富士山、黒っぽい岩の多い溶岩帯でこういった色になるのだろうか?
【成虫♀写真】 20140707 静岡県
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標本画像
種小名はsauberi (サウベリ)。 ドイツ語でsauberが「清潔な」という意味があるようだ。
埼玉の記録は奥秩父のさらに奥地、普段人が立ち入らないような林道に限られる。
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