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2013年8月

【0100】ヒメモクメヨトウ
Actinotia polyodon

非常に美しいヨトウガ。個人的にはヨトウ界随一の美しさだと思っている。

【コモクメヨトウ】に似ているが、ヒメモクメヨトウの方が斑紋にメリハリがあってやや黒っぽい印象を受ける。

前縁部からの白い部分がヒメモクメヨトウは格段に狭い。


コモクメヨトウは低地にも生息を確認しているが、ヒメモクメヨトウは標高が高めの(1500m~)ところでしか確認していない。

あくまで僕個人の観察例なので実際は低地にも生息しているのかもしれないが・・・
>>>>>>>>>150131追記
比較的低標高地(標高350m)の記録として群馬県旧松井田町が報告されていた。
森下和彦,1966.コモクメヨトウとヒメモクメヨトウの混棲地の記録.蛾類通信43:417.
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幼虫の食草はオトギリソウが記録されている。

S_3
>20130714 群馬県吾妻郡草津町<標高2140m>

日本産蛾類標準図鑑によると、オスの触角は繊毛状と記述がある。

するとこの個体はメスであろうか?

しかし今まで撮影した個体を見ても繊毛状触角の個体はなかった。

オスの撮影を今後の課題としたい。

種小名はpolyodon(ポリオドン)。単純に検索すると「チョウザメ属」と出てしまう。

他にはセネキオ ポリオドンという植物。 他にもいくつかの学名に使われている。

ラテン語ではpoly~で「たくさんの」という意味がある。 odon には「歯牙状の切れ込みのある」という意があるようだ。

ということで「たくさんの歯牙状の切れ込みのある」という意味であろう。しっくりくる。


出現は5月、7~9月の2化。埼玉では高標高地での記録がある。

【0099】イブキスズメ
Hyles gallii

非常に美しい後翅を持つスズメガである。スズメガファンなら一度は憧れる種ではないだろうか。

中々その姿を見ることは叶わず、「珍品のスズメガ」 と呼ばれている。

生息地では昼間、ホバリングをしながら吸蜜しているのを見ることができるが、灯りには滅多に飛んでこない。

夜の灯火採集がメインの僕達には縁が遠い存在であるが、慣れない昼行もこの蛾のためなら苦ではないのだ。


S
20130726 長野県<標高1830m>

ホバリング個体を撮影した。

というか静止している個体を見たことがないのだ。

ここは採集禁止地域故に網を振ることもできないのだ。

幼虫の食草はヤナギラン、カワラマツバ。

高原のヤナギランを観察するととても目立つ黒いイモムシがついているのを見ることができる。

S_2
20130724長野県伊那市<標高1790m>

見つけるとビックリするくらいの大きさだ。


食草から主に高原に生息していると思っているが、突発的に低標高地で記録がある。

人が持ち込んだヤナギランやカワラマツバについてきているのか、長距離の飛行を行っているのか。

いろいろ推測はできるが確たる証拠がないので謎のままである。


memo.....
スズメガ科 ホウジャク亜科に分類されています。
埼玉での記録はありません。

【0098】モンキヤガ
Diarsia dewitzi

深い紫色に薄い黄色の紋をあしらった美しいモンヤガである。

標高をあげるとよく見ることができる種であるが、僕はこの蛾が大好きである。

新鮮な個体を見るとすぐ写真を撮ってしまう。蛾の美しさが濃縮されていると思っている種のひとつだ。


僕自身は標高1000m以上でしか見たことがないが、もう少し低くても記録があるようだ。

S
20130725 山梨県山梨市<標高2300m>

標高高めのライトトラップではおなじみの種だが、幼虫の食草がわかっていないようだ。


memo.....
ヤガ科 モンヤガ亜科に分類されています。
埼玉でも秩父地方で記録があります。

【0097】ダイセンセダカモクメ
Cucullia mandschuriae

日本で数箇所しか記録がなく、非常に局所的な分布をする蛾である。

ユウガギクを食草としており、他のセダカモクメ同様草原性の蛾だ。

ダイセンとは国内で最初に発見された鳥取県大山にちなんでつけられている。


S_2
20130806 静岡県富士宮市根原<標高920m>

前翅の白い条紋が目立ち、セダカモクメの中では異色な存在だ。

8~9月に記録がある夏の蛾である。


memo.....
ヤガ科 セダカモクメ亜科に分類されています。
埼玉での記録はありません。

【0096】ウスムラサキヨトウ
Eucarta virgo

ヨモギを食草とし、草原に生息する蛾だ。生息域が本州中部以北となっているので北方系の蛾であろう。

以前はヨトウガ亜科に含まれていたが、標準図鑑では新設されたヒメヨトウ亜科に分類されたようだ。

静止状態では内横線と外横線が翅底部分でくっついており、X紋を形成している。

コントラストの効いた色彩も美しく、小さくも印象に残る蛾である。


Sp8031828
20170803 静岡県富士宮市<標高920m>

Susumura
20130806 静岡県富士宮市<標高920m>

似た名前の【ムラサキヨトウ】や【ヒメムラサキヨトウ】とは全く違う蛾である。

種小名はvirgo(ヴィルゴ)。ラテン語で処女の意。処女の高潔なイメージから取られた良い名だ。

なお、埼玉県での記録はない。ヨモギなどどこにでもあるのに…

【0095】チャマダラエダシャク
Amblychia insueta

夏に見られる大型のシャクガである。

大型なことに加え、黄色の各横線と黒い斑模様が特徴的でひと目でそれとわかるエダシャクだ。

灯りに誘引されることも多いが、昼間に飛んでいる姿もよく見かける。

吸蜜もしているので昼行性なのだろうか。

S
20130805長野県松本市安曇奈川渡<標高995m>

橋の灯りに飛んできたオス。

オスは触角が櫛歯状でよく目立つ。メスの触角は単純な糸状らしい。


memo.....
シャクガ科 エダシャク亜科に分類されています。
埼玉では見たことがありませんが、西部で記録があります。

【0094】アルプスヤガ
Xestia speciosa ussurica

高山蛾、と呼ばれる一群がいる。本州では標高2000m以上にのみ生息する蛾の総称である。


いくら現代の道路網が発達していようとも標高2000mを超える道路というのは数少ない。

そしてマイカー規制により、一般人が通れる道路はより少なくなっていく。

高山蛾に会うのは至難の業である。


そんな数少ないポイントでも生息している場所とは限らないのがまた困りものだ。

だからこそ高山蛾にはロマンを感じざるを得ないのであるが。

S
【成虫写真】20130727 山梨県山梨市<標高2300m>

そんな難関を乗り越えて出会えたアルプスヤガ。黒と白のメリハリの効いた模様は非常に美しい。

世俗を離れたところに棲む美しい蛾。この蛾に逢う為に毎年夏は高地でライトトラップを敢行してしまう。

S
【成虫写真】20150802 山梨県山梨市<標高2300m>

僕の経験では点灯後3時間で飛んでくることが多い。もちろんすぐそばにいればすぐ飛んでくるのだろうが。

幕には止まらず地面を走り回る。石の下等に潜ることが好きなので、見つけたらすぐに確保しないとスレてしまう。

このアルプスヤガ、産地によって微妙に翅色、翅形が違うようだ。

乗鞍産になると茶色味を帯びるという。そちらも是非見てみたい。

至難の業、とは書いたが車で行ける場所で出会えるこの蛾は高山蛾の中ではビギナー向けであろう。

僕もいつかは登山でしか出会えない蛾にチャレンジするのだろうか・・・


幼虫はツツジ科のコケモモ、エゾノツガザクラといった植物を食べて育つ。

種小名はspeciosa ラテン語で「美しい」。ド直球の命名。

この美しさは世界共通のようだ。


埼玉でも甲武信岳で記録がある。埼玉では本格的に登山をしないと逢えないだろう。

【0093】マダラキボシキリガ
Dimorphicosmia variegata

夏キリガの中でも一際目立つ色彩をした蛾だ。

しかし、♂と♀でかなり斑紋に違いがあり、♂はあまり目立たない。

♀は白を基調とした美しい蛾である。


実際に会うとキリガにしては小さめの蛾なのでイメージと一致しなかった。

シナノキを食樹としているが、シナノキがあればどこでもいる、というわけでもない。

S_2
【成虫♂写真】20130805 長野県松本市安曇<標高1360m>

♂は黒を基調とした地味目の蛾だ。


同じ食樹の ヤンコウスキーキリガ を採集に行った時にはたくさん飛んでくる。

美しい種だが、ヤンコウスキーが本命かつ大量飛来するのでハズレとして見られてしまう哀しい蛾である。


S_3
【成虫♀写真】20130723 長野県松本市安曇<標高1600m>

♀は本当に美しい。もう少し大きければ人気もあがっただろうなあと思う。

ヤンコウスキーよりは生息地が限られていないが、あまり見ることのない蛾だ。


種小名は variegata (ヴァリエガータ)。イタリア語で「多彩」の意味。

♀の色彩や♂♀の色の違いを評してのことかと思う。


埼玉では記録が西部にあるようだが、僕自身は見たことがない。

【0092】ヤンコウスキーキリガ
Xanthocosmia jankowskii

夏キリガ(主に6~8月に羽化するキリガを総称した僕の造語)の王様と言うべき種である。

独特の模様は蛾屋なら誰しも一度は憧れるのではないだろうか。

極端に生息地が限られており、僕の知る生息地までは車で4時間はかかる。

時間と経費を考えると、そう何度もリベンジできない蛾だ。

といいつつ、7月末に失敗しながらも2度めのチャレンジを敢行。

その甲斐あって探し始めて4年目の今年、ようやくその姿を拝むことができた。


S
20130805 長野県松本市安曇<標高1360m>

♂と思う。♀は後翅に黄色の部分が多いので広げるとすぐ見分けがつく。


ヤンコウスキーキリガは存在を知ってからどうしても逢いたかった蛾のひとつ。

最初に飛んできた時の感動は言葉に表せない。


と同時に見たい種をひとつ、またひとつ消化していくと今後の楽しみが失われていく気がした。

僕は何時まで蛾を追い続けるのだろう?

そんな事を考えさせてくれたヤンコウスキーキリガだった。


種小名は jankowskii(ヤンコウスキイ)。本種の和名をはじめ、色々なところに出てくるヤンコウスキー氏である。

ヤンコウスキー氏については正体がよくわかっていなかったのだが
虫撮記【虫画像・他】のyyzz2さんが謎を解いてくれた。


食樹はシナノキ。埼玉県では未だ記録がない。

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