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2013年9月

【0110】ウスグロシャチホコ
Epinotodonta fumosa

夏に現れる亜高山の蛾である。

本州では数があまり多くないようで、確かによく見かける蛾ではないように思う。

標高を上げたところでしか見たことがないので僕の中では亜高山蛾になっているのだが、

実際はどうなのだろうか。


食草は
ウダイカンバ、ダケカンバ、ヤシャブシ、ミヤマハンノキ、カワラハンノキ、シナノキが記録されている。

Susuguro
20130823 山梨県<標高1000m>
オスは触角が微妙に太く、微妙に毛が生えている。

S100807
20100807 群馬県草津町<標高2000m>
比べるとメスの触角は細いのがわかるかと思う。

触角だけで現地で識別するのは難しいかもしれない。


僕は埼玉で見たことがないが、秩父市(おそらく三峰)で記録されている。

【0109】タカムクシャチホコ
Takadonta takamukui

タカムクという名前は標本提供者の高椋悌吉氏に由来しているという。

同じく【テイキチシャチホコ】というシャチホコガにも名前がついており姓名を制覇している。

日本特産種らしく、8月のブナ帯に出現する。

翅色が銀色っぽく渋い色合いの蛾だ。

似た種に【ウスグロシャチホコ】がいる。ウスグロのほうが色が濃いのでメリハリが強く、

前翅の翅頂部分と基部あたりで色が極端に明るくなる。

外横線がタカムクは直線的であるのも特徴と思われる。

Stakamukusyatihoko
20130503 埼玉県秩父市中津川<標高690m>

ブナ帯に固有なので北海道では見られないらしい。

気軽に行けるブナ帯が少ない埼玉でも記録の少ない蛾だ。


memo.....
シャチホコガ科 トビモンシャチホコ亜科に分類されています。
埼玉では西部に記録が偏っています。

【0108】アカネシャチホコ
Peridea lativitta

春によく見るイメージが強いシャチホコガだ。

実際には春と夏の二化であるため、8月にも見られるのだが印象が薄い。

ペリデア属は似ているのだが各々に特徴的な箇所があるのでわかりやすい。

アカネシャチホコの特徴は美しい純白の後翅だ。

S
20100501 埼玉県秩父市荒川上田野<標高250m>

食草はミズナラが記録されているが、低標高地でも生息を確認している。

他の記録を見ても、ミズナラが生えていないようなところでも採れている。

他にも食草があるのだろうか?

----20131013加筆---------------------------------------------

クリについている幼虫が報告されていた。
(中島秀雄, 2013. 蛾類の食草記録. 誘蛾燈 212:59-64.)

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純白の後翅と上に書いたが、メスは少し黒ずんでしまう。

注意しないと間違えてしまうかもしれない。

S_2
20130823 埼玉県秩父市入波沢<標高650m>

オスと比べると一回り大きく同じ種には見えない。

前縁付近の外横線が目立つところに注目するとアカネシャチホコだということがわかる。



memo.....
シャチホコガ科 トビモンシャチホコ亜科に分類されています。
埼玉では西部に記録が多数ありますが、食草のミズナラ分布域を超えても記録があります。

【0107】コエビガラスズメ
Sphinx constricta

近年、都市部でも見かけるようになった蛾のひとつである。

植栽のドウダンツツジに幼虫がついてきて殖えていったのだと思われるケースだ。

同じようなケースで【コウチスズメ】も都市部で最近よく見かけるようになった。

ドウダンツツジは本来多くない樹木だが、現在は庭木などによく利用されている。


おかげで今まで中々見られなかった蛾も家の近所で見ることができるようになったのだが・・・

本来はいるべきではない場所なのだろう。

S
20130823 埼玉県秩父市中津川<標高690m>

秩父にはチチブドウダンというドウダンツツジの一種があるようだ。

こんな誰もいない山の中に植栽したとは考えにくく、従来から生息している個体群と思われる。

コエビガラスズメ自体はイボタやトネリコなども食べるので、他のものを食べて育っているかもしれない。

腹がエビ柄をしており、【エビガラスズメ】を彷彿とさせるが、エビガラスズメとは属が違う。

コエビガラはどちらかろいうとクロスズメに近い仲間である。

止まり方が独特なのか何なのか遠くから蛾影を見てもコエビガラとわかる。

北海道には【エゾコエビガラスズメ】というよく似た種が生息している。


種小名はconstricta(コンストリクタ)。 「締め付ける」という意味があるようで、獲物を締め付けて殺す蛇のボアにもこの名がつく種がいる(Boa constrictor

埼玉では広く分布しており、5~8月に成虫が見られる。

【0106】カギバモドキ
Pseudandraca gracilis

後翅を広げた前翅の下に隠し、蝶ネクタイのような独特な止まり方をする蛾である。

カギバモドキ という名前はカギバガ科の蛾に似ているということなのだろうか。

確かに翅頂付近がカギバガのように尖っている。

分布が関東地方以西 となっているので若干南方系の蛾のようだ。

S
【成虫♂写真】20110508 埼玉県秩父市中津川<標高690m>

メスは触角が細く腹が太い。

いかにもメスである。

Skagibatomoe
【成虫♀写真】20130823 埼玉県秩父市中津川<標高690m>

標準図鑑ではメスは得難い、と記述がある。たまたま近くに食草があったのだろう。

春と夏の年二化のようでヒメシャラ、ナツツバキが食草として記録されている。


種小名はgracilis(グラキリス)。ラテン語で「スレンダー」の意。

スレンダーな前翅を形容してのことだと想像に難くない。


埼玉では三峰と横瀬町で記録がある。

【0105】クビグロクチバ
Lygephila maxima

似たような種が多いリゲフィラ属の代表種である。

似たような姿大きさの多いこの属において、この種だけはわかりやすい。

一見して大きいのだ。


普段よく見かける【ヒメクビグロクチバ】等に比べると倍近くある。

いかにもクビグロクチバの親分、といった風貌だ。

S
20130831 群馬県吾妻郡嬬恋村嬬恋高原<標高1160m>

リゲフィラは成虫越冬する種もいるが、この種は越冬しない。

首のあたりが黒く、クビグロクチバの名前の由来となったことは想像に難くない。

樹液に飛来しているのをよく見かける蛾でもある。



memo.....
ヤガ科 シタバガ亜科に分類されています。
埼玉では低地から山地まで幅広く確認されています。


【0104】モンオビヒメヨトウ
Dysmilichia gemella

茶色地に白い点刻をあしらっており、目立つ蛾である。

ネット上にはいくつか画像が見受けられるのでそれほど珍しい種でもないようだが、埼玉の記録は少ない。

目立つ蛾故に見つけると即、撮影対象になっているのかもしれない。

Smonnobi
20130831 群馬県吾妻郡嬬恋村嬬恋高原<標高1160m>

白紋や大きさに変異があるようだが、僕はこの個体しか見たことがないのでよくわからない。


memo.....
ヤガ科 ヒメヨトウ亜科に分類されています。
埼玉では少ない記録ですが、低地、丘陵地、山地と広範囲での記録があります。

【0103】ハガタエグリシャチホコ
Hagapteryx admirabilis

まさに深紅という言葉が似合うシャチホコガである。

僕が蛾に興味を持って間もない頃、修学旅行で奥日光へ行った際に宿泊先の旅館に止まっていたのが初見である。

その時の感覚は今だ鮮烈に覚えている。


「なんだこのキレイな蛾!!」


思わずそう叫んでしまった。


僕を蛾の世界へ導いてくれたのはオオミズアオ。

僕を蛾の世界へ引きずりこんだのはこのハガタエグリシャチホコ。

そう言っても過言ではないだろう。

Shagataeguri
20130823 埼玉県秩父市豆焼橋付近<標高980m>


なお、近似種に【ゲンカイハガタシャチホコ】という種がいる。

実物を見たことがないので実際にどう違うのかはよくわからない。

更に近年、そのゲンカイ~の対馬以外に生息するものが【クレナイハガタシャチホコ】として新種記載された。

今年はそのクレナイハガタ~を探してみたが見つからなかった。

いつかここで紹介できる日が来ることを期待している。


memo.....
シャチホコガ科 ウチキシャチホコ亜科に分類されています。
食草は色々記載されていてどこにでもいそうな感がありますが
埼玉での記録は西側に偏っており、ある程度の自然がないと生息していないと思われます。

【0102】マエジロヤガ
Ochropleura plecta glaucimacula

草原性のモンヤガのようで、草原付近のライトトラップによく飛来する。

食草がアキノウナギツカミ、タニソバ、エゾノギシギシ、アレチマツヨイグサ、セリ

となっているがあまり馴染みのない植物ばかりでよくわからない。

セリがあるということはやはり草原的なところに生える植物なのだろうか。


前縁部が白くなるモンヤガはちょくちょくいるので見分けがつくのかどうか心配だったが

見ると「あぁ これはマエジロだ」とすぐわかる。

同じように前縁部が白くなるモンヤガに【コキマエヤガ】や【ムギヤガ】がいるが、

それらと比べると二回りほど小さく一見して違う種だとわかる。


ライトトラップに飛来すると落ち着きなく走り回ってるのが印象深い。


Smaejiroyaga
20130806 静岡県富士宮市根原<標高920m>

色々なところでちょくちょく見かけている気がするが、小ささ故かどうもスルーしがちである。


memo.....
ヤガ科 モンヤガ亜科に分類されています。
埼玉でも見たことがあるようなないような。
記録はたくさんあります。

【0101】ヤママユ 屋久島以北亜種
Antheraea yamamai yamamai

夏、お盆前後から目にすることのできる大型の蛾である。

「ガ」といえばこの種を連想する人が多く、日本を代表する蛾のひとつではないだろうか。

繭から穫れる糸はは「天蚕」と称され、普通の絹よりも高級品として取引されている。

成虫は灯火によく飛来するため、山間部のキャンプ場やトイレ等で人々にトラウマを植え付けている。


しかし少し見方を変えると、和風で落ち着いた色彩を持った「蛾らしい蛾」の魅力に惹き込まれるはずだ。

Sp9091291
20120908 群馬県片品村丸沼<標高1400m>

オスは非常に発達した触角を持つ。

メスに比べ翅頂が尖っている印象だ。


Sp8241031
20120823 埼玉県秩父市豆焼橋付近<標高1065m>

メスは触角が細く、翅も丸みを帯びた印象。

ヤママユは色彩変異が多く、焦茶や赤茶、黄色の個体まで幅広く楽しめる。

オスの顔は発達した触角が愛嬌を醸し出し、人気も高い。

Syaaaa

成虫に口はなく、羽化後一週間も経たずに死んでしまう。


嫌われ者になりがちな種だが、少し蛾に興味を持った人たちにはたちまち人気種となる。

好き と 嫌い はそんなに遠い位置にあるわけではなく、
少しのきっかけで変わるものだということを教えてくれる蛾だ。


以前は 

北海道亜種   A.yamamai ussuriensis
本州以南屋久島以北亜種 A. yamamai yamamai
奄美以南亜種 A. yamamai yoshimotoi

と分類されていたが、日本産蛾類標準図鑑では北海道亜種を「一応本土域の名義タイプ亜種に含めておく」との記述がある。
ここではその記述を踏襲し、yamamai yamamai の和名を「屋久島以北亜種」として表記する。


memo.....
ヤママユガ科 ヤママユガ亜科に分類されています。
埼玉では地帯別危惧種に指定されています。

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