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2014年3月

【0122】トギレフユエダシャク
Protalcis concinnata

クヌギ・コナラといったいわゆる雑木林で多く見られるフユエダシャクである。

つい最近までトギレエダシャクという和名で呼ばれていた種だ。

2009年にトギレフユエダシャクに改称されたばかりである。(誘蛾灯:196)

S_3
【成虫♂写真】20140309 埼玉県狭山市<標高70m>

♂はいわゆる地味エダシャク。中横線と外横線が急接近するのが特徴的だ。

個体変異が多いが、この特徴を覚えておけば同定に困ることはないと思う。

感覚的な話だが高標高地に行くほど色が薄くなる傾向がある気がする。

参考までに標高1300mで撮影した♂を添付しておく。

S_5
【成虫♂写真】20120519 長野県軽井沢町大字長倉<標高1300m>

関東平地では3月に見られる種だが、軽井沢では5月中旬でもその姿を見ることができた。

春キリガ等に比べるといくらなんでも遅すぎるような気もする。

1000m付近では3月下旬に確認している。何か羽化するにあたっての条件が揃わないのであろうか。


S_4
【成虫交尾写真】20140311 埼玉県狭山市<標高70m>

このペアは22時頃の撮影。♀を単独で撮影するのをすっかり忘れていた。

♀の翅はフユシャクと呼ばれるグループの中で一番大きく、まさに「途切れ」たその翅は見応えがある。

大きな翅は頑張れば飛べそうな気もするが、フユシャクの仲間ということはやはり飛べない。

翅をパタパタはためかせて必死に歩いて行く姿は可愛らしく、一度見てもらいたい光景だ。


埼玉では平地から山地まで幅広く生息している。

【EXTRA-03】~MOTHPHILIA 氷堂涼二 蛾集~ 発売のお知らせ。

僕が親しくさせて頂いてる、漫画家の氷堂涼二さんがこの度

~MOTHPHILIA 氷堂涼二 蛾集~

を発表されました。

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なぜこのような宣伝をさせていただくかと言うと・・・


僕が監修の一人&写真提供者として参加しています。

(正直あまりお役に立てていませんでしたが…)


>少しでも蛾の偏見をなくしたい

この共通理念を基に完成した蛾の入門書と思っています。


蛾の写真を発信し始めて10年近くになりますが、

その過程であった様々な出逢いがこの本の完成に結びついたのだと思うと感慨深いものがあります。

是非書店で見かけた際はお手にとって御覧ください。(僕がマンガに登場してたり…します。)

ちなみに「川北和倫」はあくまでネット上のHNです。今回は本名を出してやらせてもらっています。


これからも少しづつ 蛾の市民権獲得に貢献していけたら嬉しく思います。


備考:写真提供種一覧

カバー裏表紙左上より
・ムラサキシタバ
・オオスカシバ
・エルモンドクガ
・オカモトトゲエダシャク
・ヤママユ
・オオミズアオ
・ヒメキシタヒトリ
・ウンモンスズメ
・カイコ
・シロヒトリ
・ノンネマイマイ
・フチグロトゲエダシャク♂♀
・ヤンコウスキーキリガ
・ベニスズメ
・ゴマフボクトウ
・ギンモンスズメモドキ
・モンウスギヌカギバ
・セダカシャチホコ

カバー裏ウラ表紙全種 左上より
・エゾヨツメ
・カイコ
・ギンモンカレハ
・スズキドクガ
・ゴマフリドクガ
・ノンネマイマイ
・ヒメヤママユ
・マイマイガ
・モンキシロシャチホコ
・リンゴドクガ

【0121】フチグロトゲエダシャク
Nyssiodes lefuarius

春の短い期間にだけ現れる昼行性のフユシャクである。

河川敷によく生息地が知られているが、元々は草原性の蛾らしい。

人間の開発により生息場所が河川敷に狭められていった、と見るべきかもしれない。


♂の飛翔は素早く、枯れ草が保護色となり見失うケースが多い。

大人しく撮影対象になってくれることが多い蛾類にしては写真が撮りづらい種だ。


S
【成虫♂写真】20140303 埼玉県さいたま市<標高10m>

♂はフサフサの触角が目立つ、『櫛髭四天王』の一員だ。

太陽が出ていて風が弱い時によく飛ぶようだ。時間的には正午前後によく見る印象がある。

対する♀は全くの無翅でアザラシのタマちゃんのような風貌だ。

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【成虫♀写真】20090221 埼玉県さいたま市<標高10m>
産卵中失礼して撮影した。

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【成虫交尾写真】20100301 埼玉県さいたま市<標高10m>

2回観察した交尾の時間はいずれも12時半頃。しかし交尾後も♀はまたコーリングして再交尾するという。

あまり聞かない習性である。


S_2
【幼虫写真】20130504 飼育<自宅撮影>


幼虫はノイバラやクローバーなど、多岐にわたる草本を食草とする。

僕はサクラを食べさせていたがよく食いついてくれた。(糞が良い香りになったりする)




フユシャクの中でもフチグロトゲエダシャクは非常に人気が高く、蛾屋以外にも人気である。

観察に生息地へ行くと網を持った人と遭遇する確率が高い。

フサフサ触角の♂と愛くるしいアザラシのような♀は"フッチー"の愛称で今年も虫屋に春を告げてくれる。



種小名lefuarius (レフアリウス)。 ルーマニア語でlefua=「洗練された」 riusは接尾辞か。これだと信じたい。



埼玉では2月後半から3月前半に出現。

産地は非常に少なく、埼玉県RDB2008で絶滅危惧I類に指定されている。


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