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2014年4月

【0127】クロスジキリガ屋久島以北亜種
Xylopolia bella bella

大きめの春キリガで平地から山地まで生息している普通種。

のはずであるが僕の行くフィールドではあまり見かけない種である。

南方系種のようで宮城県あたりが現在のところ北限記録であるようだ。

他のキリガとは少し違う雰囲気があるが、白っぽい前翅に入る黒筋が美しい種だ。

Sxylopolia_bella_bella
【成虫♀写真】20140421下伊那郡阿南町<標高530m>

種小名はbella (ベラ)。 ラテン語で「戦争」の意味である。

物騒な命名だがどこかその風貌に戦車を思わせるようなカラーリングはわからなくもない。


埼玉での記録も多く、遭遇は難しくないはずである。

食草は近年シラカシと判明したようだ。

【0126】タケウチエダシャク
Biston takeuchii

エダシャク亜科でも人気の高いビストン属に分類されている。

発生が非常に局所的で、日本鱗翅学会発行の"やどりが"では「日本の珍しい蛾」として紹介されている。(やどりが:142)
が、発生地では複数の飛来を見ることができ、珍種の大量飛来にアドレナリンの分泌が止まらなくなってしまう。

東雲色というのかこの煤けた赤い色のシャクガは他に憶えがなく一目でソレとわかる種だ。

Stakeuchii
【成虫♂写真】20140421下伊那郡下條村<標高510m>

この界隈では記録が多いようで僕もその恩恵に与ることができた。

この日は6♂が飛来し、そこにもここにもタケウチエダシャク、という豪華な灯火であった。

が、興奮しすぎてよりによって一番ボロな個体を撮影するという失態を犯してしまった。


発生地での遭遇は難しくないのかもしれないが、これだけ局所的に生息しているということは
ひとたびその地域の環境が変わってしまうと、一気に生息の危機に瀕してしまうのではないだろか。

食草はヤマモモやウラジロガシ、シダレヤナギで飼育成功との報告があるようだ。

東京、栃木、群馬での記録があるが、埼玉では未だ記録がない。

【0125】クロミミキリガ
Orthosia lizetta

春キリガのオルトシア属に分類されている。少し小さめのキリガだ。

写真で見ると【ホソバキリガ】【クロテンキリガ】【ブナキリガ】【ヨモギキリガ】【ミヤマカバキリガ】など似ている種が多く、

特徴的な斑紋が出ていないとお蔵入りになってしまうこともある。

Skuromimi
【成虫♂写真】20140403山梨県北杜市大泉町<標高1120m>

ここまで特徴が出ていると簡単にクロミミと判断できるのだが・・・

個体変異がとても多く一筋縄ではいかない。


ちなみに僕がクロミミキリガに至るまでのプロセスとして


・大きさ的にはヨモギ≧ミヤマカバ≧ホソバ≧クロミミ≧ブナ・クロテン 

 ある程度キリガを見慣れているとヨモギとミヤマカバはすぐ候補から外せる。


・外横線がカクっと曲がっている
 
 ここでもヨモギは外れる。ブナもここで消える。


・クロテンは翅長が尖り、前翅の幅が狭い。点刻状の中横線が尖り気味に膨らむ。

 ここで該当していなければクロテンが消える。


残るはホソバキリガ。いくつか僕が違ってると思う点、図鑑に載っている相違点を挙げてみる。
・ホソバは一見して大きい個体が多い(クロミミサイズも存在する)
・触角がクロミミのほうが発達している(メスには使えない)
・クロミミは色が薄く白っぽい個体が出る(ホソバには出ないがクロミミはそうでない個体もたくさん)
・クロミミは外横線を黒紋が挟む(ならない個体も)
・クロミミは腎状紋の下側(生体では胴体側)が黒くなる(ならない個体も)
・クロミミは外縁がスラっとしているのに対しホソバは僅かに波打つ(僕の持論なので当てにならない)

ここまで照合しても判断に困るようなら諦めたほうがいいだろう。

食草は様々な広葉樹が記録されていて広食性のようだ。

埼玉でも川口、浦和から三峰、入川まで広く記録されている普通種である。

【0124】モンハイイロキリガ
Lithophane plumbealis

シナノキが食草として記録されている越冬キリガである。

普通種、という記述をよく見かけるのだが僕自身は未だ二度しか見たことがない。

リトファネ属の中で北海道にのみ生息する未見の【クモガタキリガ】を除けば私的に一番のレア種である。

北方系のキリガのようで、西日本では高標高地に生息が限られるようだ。

灰色地の前翅に前縁部にある茶褐色の紋が目立つ。同定には苦労しない蛾だ。


S
【成虫写真】20140329長野県軽井沢町県境<標高1378m>

まだ雪の残る氷点下の軽井沢で灯火に飛来した。

氷点下とは思えぬ活発な飛び方は流石越冬キリガといったところであろうか。


越冬前の個体は赤みがかかって美しいようだ。是非そちらも見てみたい。

埼玉でも三峰山や三国峠、入川林道などの標高が高めの所で記録されている。

【0123】アトジロキリガ
Dioszeghyana mirabilis

非常に局所的な分布をする種である。

食草はカシワやサクラ・カシなどが記録されており、どこにでも生えている馴染み深い樹木だ。

しかしアトジロキリガはどこにでもいる種ではなく、生息地が点々と記録されているにすぎない。

自然度が高い所にしか棲めないのかと思いきや、都市近郊の雑木林に記録があったりする。


僕がこの珍品キリガに出会ったのもそんな都市近郊の雑木林であった。

S
【成虫♂写真】20140327 東京都東大和市<標高130m>

新たなポイント開拓のために車で流していたところ、蛾の群れている水銀灯を見つけた。

飛来していたのは【アカバキリガ】や【カバキリガ】、【チャイロキリガ】に【シロヘリキリガ】などの所謂普通種であった。

その中に一頭、小さくて見たことのないキリガが落ちているのに気がついた。

「なんだこれ・・・ 見たことないぞ」

その小さなキリガは翅を震わせ飛ぼうとした。白い後翅が見えた。

「アトジロ!!!!」

そこでやっと気がついたのだった。


この思いがけない出逢いにはとても興奮した。

家に帰って調べるとどうやら同じ所で複数撮影してる方がいらっしゃった。安定して発生してると思われる。


埼玉での記録も単発的で浦和と飯能で採集されている。


種小名は mirabilis(ミラビリス)。 ラテン語で「素晴らしい」の意味だ。最大級の賛辞である。


S
【成虫♂標本写真】20150317 東京都東大和市にて採集<標高130m>

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