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2014年5月

【0131】コウスベリケンモン
Anacronicta caliginea

深い蒼が印象的なケンモンガの仲間である。

【ウスベリケンモン】に似ているがウスベリは色が薄い。

最大値最小値で同じくらいになるがウスベリの方が大きい個体が多い印象だ。


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【成虫写真】20140504埼玉県飯能市坂石町分<標高180m>

新鮮な個体の深蒼はいつ見ても美しい。思わず写真を撮ってしまう種のひとつである。

ススキを食草とするようなので普遍的に生息しているらしく、

埼玉でも浦和や戸田の都市部から小鹿野町や旧大滝村の県奥部まで幅広い記録がある。

幼虫も多く見かけるので個体数が多いのかといえばそうでもなく、大量に飛来するというのは経験がない。


種小名はcaliginea (カリギネア)。ラテン語で caligin=厚い。 まあなんとなくわかる気がする。

5~6月と7~8月の年二化らしいが、感覚的には5~8月という蛾のハイシーズンを通して見かける蛾だ。

【0130】アオバシャチホコ
Zaranga permagna

春を迎えてしばらく経つと、数多の蛾たちが一斉に羽化をはじめ、寂しかった外灯下にも活気が戻ってくる。

そんな外灯下で一際異彩を放ち、蛾を探している人たちの眼に留まることが多い種だ。


一見真っ黒でデカめの蛾。しかし写真に撮ってみると印象が一変する。

モフモフ具合も然ることながら、真っ黒と思われた翅色が実は黄色がアクセントに入った深碧。

撮った画像を確認した瞬間、「えっ?」と現物を二度見してしまうくらいだ。

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【成虫写真】20140504埼玉県飯能市坂石町分<標高180m>

冒頭に春と書いたが実は夏にも発生する年二化の蛾である。

夏は更に数多の蛾が出てくるのに加え、春にも見てることが多いためスルーされがちになってしまう。

春先だからこそ眼が向くことの多い蛾なのかもしれない。




ミズキの類を食草としているようで、ヤマボウシなどでも記録があるという。



種小名はpermagna (ペルマグナ)。 ラテン語で素晴らしいの意。最大級の賛辞を受けた種である。



埼玉での記録は西側に偏っているようで秩父市のほか、小鹿野町や皆野町、小川町、横瀬町などで記録されている。(あれ?飯能市ははいってなかった)

【0129】ナマリキリガ
Orthosia satoi

春に出現する春キリガ。その中でも出会うのが難しいキリガのひとつである。

鉛色の前翅に純白の後翅。キリガヨトウガ好きの僕としては是が非とも見ておきたい蛾だった。


一昨年に初遭遇した個体はようやくナマリキリガとわかるくらいにボロであった。

嬉しくて撮影、採集はしたもののやはり綺麗な個体を拝みたい。

そんな恋い焦がれたナマリキリガに今年、ようやく(比較的)綺麗な個体に出逢うことができた。

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【成虫♂写真】20140503山梨県<標高1080m>

高いところに止まっていた怪しい小さ目のキリガ。僕にはピンときた。

「あれはナマリじゃないか?」

しかしそんなことを思ったのは二度や三度ではない。いつも【カシワキボシキリガ】や【ハンノキリガ】に騙されてきた。

が今回は違った。正真正銘のナマリキリガだった。

夜が白み始めた山梨の山の中に、一人の中年男性の笑い声がこだました。いい迷惑である。



種小名はsatoi(サトーイ)。初めて本種を新潟の秋葉山で採集した佐藤力夫氏への献名と思う。

経緯が『ふるさとの蛾お国めぐり : (2)新潟県』(やどりが (32), 5-6, 1963) に記されている。

興味のある方はご一読いただきたい。ちなみに本種は日本でしか記録されていない日本固有種だ。



春キリガの中では遅めの発生のようで、5月に見られることも多いようだ。

埼玉では入川林道での一例が報告されているだけである。


【0128】シロモンアカガネヨトウ
Valeria dilutiapicana splendida

黒を基調とした前翅に白い紋が目立つ春のヤガだ。

関東近辺では食草のハルニレが生えている標高が高めのところに見ることができる。

生息地でライトを灯せば多数の個体が飛んでくるので珍品とまではいかないが、比較的出逢うのが難しい。

他にもハルニレを食草とする【シロスジシャチホコ】【ハイイロハガタヨトウ】なども私的遭遇率は低い。

シロモンアカガネは発生時期が短いというのも出逢いづらさに拍車をかけている。

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【成虫♂写真】20140426利根郡片品村東小川<標高1180m>

水墨画のような黒の濃淡に目立つ白い紋とチラリと覗く純白の後翅のコントラストが堪らない。

一見地味に見えるかもしれないが、非常に美しい蛾であると断言する。



種小名は  dilutiapicana (ディルチアピカナ)。ラテン語では追い切れなかった。

タイプ亜種の記載者はロシアの昆虫学者、Ivan Nikolayevich Filipjev氏(イワン ニコラエビッチ フィリッピェフ)(1889-1940)だろうか。

タイプ亜種の産地は沿海州。しかしロシア語でもわからない。

では近隣国の言語を漁る。するとルーマニア語でdiluti=希釈 apic=頂点の という意味だった。

とにかく薄めまくった という意味だろうか?





他にもアカガネヨトウ と名のつく蛾は数種存在する。

以前の分類体系ではすべてヨトウガ亜科に分類されていた。

新体系ではキリガ亜科に分類されているが、このシロモンアカガネだけはモクメキリガ亜科に移されたようだ。


発生は春の短い期間。4月後半から5月初旬にかけて確認している。

埼玉での記録は奥秩父に限られている。

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