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2014年11月

【0156】ヒメクチバスズメ
Marumba jankowskii

シナノキを食草とするスズメガの仲間である。

同じマルンバ属の【クチバスズメ】や【モモスズメ】に似ているが、

モモスズメは後縁部が黒っぽくなる。クチバスズメは亜外縁線の外側が濃色にならない、などの差異点がある。

私見だが、ヒメクチバは頭部から延びる胸部の黒筋が太くなる個体が多いように思う。

モモやクチバは市街地でも多く見られる一般的な蛾であるが、ヒメクチバは山地に生息しておりあまり多くない。

S0707himekuchiba
【成虫♂写真】20140707 静岡県富士宮市<標高1950m>

オスは腹が細く、鋸歯状の触角に密な微毛があり太く見える。

成虫は6~7月に見られ、他のマルンバと同じくらいの時期である。


種小名は jankowskii (ヤンコウスキイ)。 【ヤンコウスキーキリガ】をはじめ、色々なところに出てくるヤンコウスキー氏である。

が、その正体はさっぱりわからない。蛾類に限れば、1属7種に献名されている。

1属を除くすべての種がOberthür(オーバーテュアー)氏が1880年代に記載している。

ちなみにヤンコフスキーカブリモドキも同じ記載者である。私的な間柄の人物なのだろうか。

昆虫学に精通していない僕には誰だかわからずじまいであった。


>>>>>>>>>140106追記

虫撮記【虫画像・他】のyyzz2さんが謎を解いてくれた。スゴイ。スゴすぎる。

ちなみに僕はこの方に影響されて学名の意味を調べ始めてるのだ。

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埼玉県での記録は大滝や皆野といった山地で記録がある一方、丘陵地といえる狭山での記録がある。


【0155】オオトウウスグロクチバ
Avitta fasciosa fasciosa

1976年、奇しくも筆者が生まれた年に日本で初記録された蛾である。
杉繁郎,2001. 日本未記録のヤガ3種 蛾類通信 89:471-473

西日本では特に珍しくないようだ。和名の『オオトウ』は和歌山県の大塔山にちなむという。

しかし東日本では記録が散発的で偶産蛾の域を出ていない。

ただ例外的に奥多摩地域では確認例が多く、定着している可能性がある。

埼玉での記録は1例しかなく、細かい報文は確認していないがこの個体が2例目か。

>>>>>>>>>141215追記
2例目の記録が両神山で記録されていた。この個体は埼玉県3例目となる。
神部正博・築比地秀夫・長畑直和,2000. 10月の両神山で得た偶産性ヤガ科蛾類とその背景 寄せ蛾記94:2813-2829
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どちらにしろ定着している可能性は低いだろう。

はっきりと縁どられた腎状紋が目立つ蛾だ。

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【成虫写真】20141004埼玉県秩父市三峰<標高700m>
林道でのライトトラップに1頭だけ飛来した。

種小名は fasciosa (ファスキオサ)。 ラテン語で fascios=帯状面 という意味らしい。

帯状紋が多いのでそこから命名されたのだろう。

食草はアオツヅラフジが記録されている。

成虫出現期は5~11月となっているが、関東近辺では10月の記録が多いようだ。

この種に限らず、南方種と言われるような偶産蛾は9~11月に記録されることが多い。


【0154】キクセダカモクメ
Cucullia kurilullia kurilullia

目立つトサカをつけたセダカモクメの仲間である。

ククリア属の中では一番一般的な種かと思う。というか他のククリアはどれも生息域が局所的な種ばかりだ。

その特異な姿ゆえ目立つ種であり、昆虫を撮影対象にする方が見つけたら思わず撮ってしまいたくなる種だろう。

このトサカは標本にするとなぜかなくなってしまう。キクセダカに限らずククリアはみんなそうだ。

生きている間だけ、この特異な姿を見られるのである。

S
【成虫写真】20140628 長野県松本市安曇<標高990m>

キクセダカの和名の通り、食草はゴマナ、ユウガギク、シラヤマギク、ヨメナのキク科が記録されている。

埼玉での記録も多く、平野から山地まで幅広く生息しているようだ。


種小名はkurilullia (クリルリア)。タイプ産地が国後島なので、Kuril=クリル諸島から来てるものだと思われる。

ククリア・クリルリア・クリルリア。早口言葉に適した学名である。

【0153】プライヤオビキリガ
Dryobotodes pryeri

秋に出現し、越冬せず冬には死に絶えてしまう秋キリガの仲間である。

Dryobotodes 属(ドリョボトデス?)はこの種しか僕はみたことがない。プライヤですらあまり見ない。

あまり相性のよくない属なのか。

個体変異が意外に多く、白っぽいの個体から黒っぽい個体まで幅広い。

しかし、大きさと出現時期からプライヤオビキリガにたどり着くのはそう難しいことではないはずだ。

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【成虫写真】20141004埼玉県秩父市三峰<標高700m>

種小名はpryeri (プリェリ、でいいのか?)。 和名にもある『日本蝶類図譜』を書いたPryer, Henry James Stovin,氏(プライヤ- ヘンリー ジェームス ストーヴィン,1850-1888)氏のことであろう。

プライヤー氏の名前を冠した和名は多いが、学名にはそれ以上に多く見られる。

検索したところ日本の蛾類では19種の種小名、亜種名にpryieri がつけられている。

【ミノウスバ】に至っては属名がPryeria だ。

正直な話、昔はプライヤを食樹の樹木か何かなんだろうと勘違いしていた。


食樹はヒメヤシャブシやコナラ、カシワとなっている。

埼玉県での記録は少なくない。浦和でも記録があるようだ。

【0152】コウスチャヤガ
Diarsia deparca

♂と♀で随分容姿が違う蛾である。【オオバコヤガ】によく似た種だ。

都市部から高標高地といった様々な環境で、春から晩秋まで見られ、色々な草本を食草とするド普通種である。

埼玉でもあらゆるところで記録されている。

たくさんいて模様も地味で近似種との区別も難しいため敬遠され、スルーの対象になりがちな蛾である。

 

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【成虫♂写真】20141004埼玉県秩父市三峰<標高700m>

よく見ると♂は触角が強く両櫛毛状になっているのですぐ見分けがつくが、♀の見分けが難しい。

僕もご多分に漏れずスルー対象となっていて撮影していなかった。

HDDの海に埋もれているかもしれないが、探して撮影してみようと思う。


種小名は deparca (デパルカ) ラテン語で「とんでもなくケチな」

酷い言われようである・・・


少しコウスチャヤガに同情。

今後はスルーせず写真を撮ろう。

【0151】アカフヤガ
Diarsia pacifica

似た種の多いディアルシア属のモンヤガである。

【ウスイロアカフヤガ】や【オオバコヤガ】に似ているが、

・腎状紋の外側まで濃色になる。

・環状紋の下側に黒点がない。

・環状紋がハッキリと確認できる。

この3つの特徴が合致すればアカフヤガと見ていいと思う。


珍しい種ではなく、どこでも見かける種ではあるが、オオバコヤガよりは見かける機会が少ない。

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【成虫写真】20141004埼玉県秩父市三峰<標高700m>

春と秋の二化でキク科やリンドウ科の草本を食草としているらしい。この個体は二化目であろう。


種小名のpacifica (パキフィカ)は「平和な」という意味のようだ。


・・・あまりピンとこない。

>>>>>>>>>141129補足

monroeさんより「太平洋の」という意味があるとご教示いただいた。

良く考えれば確かにそうである。翻訳ソフト任せで頭が回っていない。

「太平洋のディアルシア」と考えれば納得もいく。

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埼玉では浦和大宮の都市部から奥秩父まで幅広く記録されている。

【0150】ウスアカヤガ
Diarsia albipennis

山間部に生息する小さなモンヤガの仲間である。

新鮮な個体はほんのり赤みがかかって美しい。

種小名albipennisと聞いて ん?なにこれどういう意味だよ?と勘ぐってしまった。

ということで翻訳サイトで調べてみると

albi(アルビ)=白  pennis(ペンニス)=羽毛 となっておりalbipennis (アルビペンニス)=白い羽毛、という儚げな名前だった。

なるほど、アルビノのアルビか。少し卑猥な想像をした自分を殴っておく。

S
【成虫写真】20141004埼玉県秩父市三峰<標高700m>


この日は5頭ほどのウスアカヤガが飛来した。

年二化で春と秋に成虫が見られる。言うまでもなく二化目の個体であろう。

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【成虫写真】20160604 山梨県南都留郡富士河口湖町<標高970m> 

こちらは一化目と思われる個体。色合いが違うのは季節型なのか個体変異なのか。


埼玉でも記録は多い。秩父地方ではさほど珍しくなく、奥秩父を中心にいろいろな場所で記録されている。

しかし、平地での記録がなく、関東近辺では山地性の種であることが伺える。

食草は未だ不明だという。

【0149】オオシロテンアオヨトウ
Trachea punkikonis lucilla

緑と黒の苔を模した前翅に、大きく白い点をあしらった目立つ蛾である。

【シロスジアオヨトウ】よりも自然度の高いところを好むようだ。

種小名はpunkikonis (プンキコニス)  punk=パンク ikonis=教会史上の出来事を画いた画

といったところか。わかるようなわからんような。


このオオシロテンアオヨトウ、分類で紆余曲折があった種だ。

以前はTrachea auriplena lucia (現在のタイリクシロテンアオヨトウ 台湾からヒマラヤに分布)> とされていた。

日本産蛾類大図鑑(1982)でT. auriplena と明らかに異なるということで

新種T.lucilla オオシロテンアオヨトウとされたのだが、

これが台湾の標本をもとに記載されたT. punkikonis であることがわかった。

しかしこの台湾で得られたものとは微妙な違いがあるため亜種の扱いとし、現在の分類になっているようだ。
吉本浩,1987.オオシロテンアオヨトウとタイリクシロテンアオヨトウ(新称)について.蛾類通信142:257-260.


この鮮やかな緑色も標本にすると色褪せてしまうのが寂しい。


色々なところでポツンポツンと見かけるが、何頭も飛来しているというイメージはあまりない。

珍しいというわけでもないが、見つけると少し「おおっ」となり写真に収めたくなる蛾である。

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【成虫写真】20140622常陸太田市下高倉町<標高440m>

初夏と夏の年二化。これは一化目の個体であろう。

食草はミゾソバというタデ科の植物が記録されているようだ。

埼玉での記録は少ない(三峰、宝登山、旧名栗村)が、大滝方面を流してると見かけることがある。

【0148】ミヤマアカヤガ
Diarsia brunnea urupina

中部地方の高標高地では珍しくないモンヤガである。

標高が1000m付近でも見られるが、1500mくらいになると数が多くなる印象がある。

個体によって色の濃淡にかなりの差があるが、翅形や二重の外横線、環状紋と腎状紋の

間が濃色になる等の特徴を覚えてしまえば、さほど同定に迷う種ではないように思う。

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【成虫写真】20140719 山梨県山梨市<標高2300m>

とても赤味が強く美しい個体である。

この日は100を超えるミヤマアカヤガが飛来した。発生のピークだったのかもしれない。

2週間後、同じ所でライトトラップをしたところ、飛来したのはスレスレの3頭。

口吻の退化は見られないので摂食をする蛾のハズだが寿命はさほど長くないのか、それとも移動したのか。



日本産蛾類標準図鑑には日本産は亜種 urupina とされる、という記述がある。

しかしネット上ではどこを見てもDiarsia brunnea までしか表記されていない。

当ブログでは標準図鑑を踏襲し、Diarsia brunnea urupina と表記する。

種小名brunnea (ブルンネア)は 鳶色 という意味のようだ。




埼玉では甲武信小屋や雁坂小屋といった高標高地の記録と寄居町の記録がある。

【0147】ナカジマフユエダシャク
Larerannis nakajimai

同じラレランニス属の【ウスオビフユエダシャク】と似たような晩秋に出現するフユシャクである。

時期にして11月下旬から12月上旬、ウスオビが終わりかけくらいの時期だ。

僕の感覚ではナカジマは相当局地的である。ウスオビは山に行けばいるだろーという感覚だが

ナカジマは適当に流してても会えた試しがない。どちらかというと南方の種なのだろうか。

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【成虫♂写真】20101127 山梨県富士河口湖町<標高1000m>

ウスオビに比べると完全に薄帯ではない。主張の激しい模様である。

ウスオビのラインを墨でなぞったようなラインはひと目で違うとわかる。

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【成虫♀写真】20141123 山梨県富士河口湖町<標高1000m> 自宅にて撮影

この日は探索を予定していた。しかし事もあろうに骨折で家から出られなくなってしまった。

怪我で動けない僕に、探索に出かけた一寸野虫さんATSさんさらに翌日出かけた真神ゆさんが産卵前の生体を贈ってくれた。

初♀遭遇が自宅になってしまったが、やはり嬉しいものである。この場を借りてお礼申し上げます。


このナカジマフユエダシャク、記載された当初はシロフユエダシャクという和名であった。

しかし【シロフフユエダシャク】という種がおり、とても紛らわしいということで改名された。
中島秀雄,1989.ナカジマフユエダシャク(改称)の雌の発見.蛾類通信153:33.

種小名のnakajimai (ナカジマイ)は言うまでもなくフユシャク研究の第一人者、中島秀雄氏のことである。


ウスオビと混生している地域も一部あるようだが、ウスオビの確認されている埼玉では未だに記録されていない。

【COLUMN-001】蛾の採集、其の壱 >>灯下採集<<

蛾についてのお話を僕なりに語っていくこの【COLUMN】

唐突に始めてしまいましたが、少しでも蛾の世界へ興味を持っていただいた方にお役立ていただければ幸いです。



さてその第一回目となるのは、灯下採集。

蛾に興味を持った方がまずどこへ蛾を採りに(もしくは撮りに)行こうかと考えたとき、

真っ先に思い浮かぶのは山の中の灯りではないでしょうか。 

今回はそんな山の中の灯りについてのお話です。





蛾のもつ走光性は誰もが知るところです。

山の中のコンビニや自動販売機に蛾がたくさん集まっているのを見たことがある方は多いと思います。

そのポイントをいくつか回っていくことを、僕らはよく「灯下を流す」という言い方をしています。

短時間でいろいろな地域の採集ができるため、種を手広く集めるには効果的です。

また、特別な機材を必要としないため、移動手段の車やバイクさえあれば簡単に始められるのも魅力です。




ただ、以前と違って現代の灯下状況はあまりよくありません。

東日本大震災以降、節電の流れになり山の中の灯りは消灯するところが多くなりました。

加えてLEDの普及により虫が寄り付かない灯りが多くなりました。

(LEDは紫外線を発し無いため、殆ど蛾は寄って来ません)

そういった事情もあり、灯下ポイントは減る一方で増えることはありません。






「山の中の自販機や公衆トイレ」
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こういうところで虫まみれになった経験をお持ちの方は多いと思いますが、近年の照明技術の発達により虫が多いという概念はもう通用しなくなりつつあります。

左に挙げた自販機はまだまともな方だと思ってください。



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虫が寄り付きにくく加工された蛍光灯、LEDに変更された灯り、夜間は消灯している自販機。感応式のトイレ。
そんな自販機やトイレが多くなりました。(上の画像の自販機も夜間消灯式になってしまいました。)

犯罪を防ぐ観点からもトイレの消灯、感応式化は著しくポイントは格段に減っています。






「自己発光している看板」
S11 こういった看板はなかなか狙い目です。(写真は真冬の撮影)

LEDでは光力が足りないのか予算がないのか、LED化されているのをみたことはありません。
看板という性質上、消灯はしないので安定したポイントになっています。

難点として道路の途中にあることや高いところにあることが多く、採集しやすい看板は多くありません。







「水銀灯が照らす看板」
Sp628228411 強力なポイントとなるのはこういった場所が多く、遠目で見ても多くの蛾が集まっているのがわかります。
店の目の前にあるものだと営業の邪魔になってしまいますので、道案内的な看板を狙うと良いと思います。
環境によっては虫が多すぎて近寄れないくらいの飛来が見られ、多くの種が採集できることも。

こういうポイントをいくつか抑えておくと楽しくなりますよ。







「ナトリウム灯」
Spa248821 山の中の街灯やトンネルなどでよく使用されているオレンジの光を放つ照明です。水銀灯に比べ紫外線の放出が少ないため集まりが悪くなります。

しかし、紫外線の少なさはLEDほどではなく、条件が良ければ蛾が集まっているところも多々あります。
ナトリウム灯だから~とスルーするのは少しもったいないかもしれませんね。






「水銀灯を使用した街灯」
Sp913451011 こちらも良いポイントなのですが、道路際の街灯では危険すぎてオススメできません。

コンビニや道の駅、SAPAの駐車場やダムサイト、車両の通らない橋の歩道上などがオススメです。

しかし近年は「白いナトリウム灯」いわゆる高圧ナトリウム灯が普及してきています。

水銀灯に比べ紫外線の放出が少ないのは変わりませんので虫の集まりは良くありません。白い街灯なのにあまり虫いないな~と思ったらこの高圧ナトリウム灯を使ってる可能性があります。

ちなみに幹線道路に使われているような背の高い街灯はほぼ高圧ナトリウム灯です。





いずれの場所でも傍から見たら怪しい人だということを忘れないようにしてください。

地域にお住まいの方に不安を抱かせるような行為は慎むようにしないと・・・ 通報されますよw

通報されたり連行されたりしても私は責任取れません。職質は普通にある世界ですから気をつけてくださいねw

そこで法律違反とかしてると言い訳できませんから・・・やめておきましょうね。(住居侵入とかシャレにならないですよ)

コンビニ等で採集するときは商品を購入するくらいの気遣いは欲しいものです。

できれば「少し駐車場で虫を採らせてもらってよろしいでしょうか」くらいのコミュニケーションがあると良いですね。

少しの気遣いで人の目は変わります。後に続く採集者のためにも是非お願いしたいところです。





ルールとマナーを守って楽しい蛾ライフを!






Sakinoga

(ここも消えちゃったんだよなぁ・・・)











【0146】フキヨトウ
Hydraecia petasitis amurensis

関東中部地方では山地で見られる。(と思っている)

僕の体験だけで語れば1000m以上に限られるが、記録としてはもう少し下でも記録されている。

地味な風合いでスルーされがちな種かもしれない。

似た種に【キタヨトウ】と【スギキタヨトウ】がいる。

食草はアキアブキ、ハンゴウソウといったキク科が記録されている。


Sfukiyotou
【成虫♂写真】20131007 群馬県草津町草津国有林<標高2000m>

以前はHydraecia amurensis という独立種であったが、近年Hydraecia petasitis に統合され、

amurensis は亜種となった。

種小名 petasitis (ペタシティス)はpetasi-tis 帽子? 接尾辞が複数形なので前翅を帽子と見立てたのか。
 

埼玉県では三峰や栃本の高標高地から小川町栗山、日高市といった丘陵地帯でも記録されている。

【0145】ヒメヤママユ
Saturnia jonasii

秋の夜の定番大型蛾である。 早いところは8月下旬から見られ、11月までその姿を見ることができる。

他種に比べ長い期間見られるこの蛾であるが、ある程度の自然が残っていないと生息していないようだ。

埼玉では全域で記録こそあるものの、実際に今安定して見られるところとなると

狭山以西となってしまうのではないだろうか。

生息地では個体数も多く、見つけることは難しくない。灯りを見回ればきっと出会えるハズだ。

Shime
【成虫♂写真】20131007 長野県軽井沢町長倉<標高1400m>

ヤママユガ科の♂の特徴、立派な櫛状の触角がよく目立つ。触角萌えの方々は見逃せない。


Shimesu

【成虫♀写真】20131007 長野県軽井沢町長倉<標高1400m>

♀の触角は♂ほど目立たない。色も薄くなり、若干丸みを帯びた翅形となるのがわかるかと思う。

Ssirohime

【成虫♀写真】20131007 長野県軽井沢町長倉<標高1400m>

同じ♀だがすごく色が薄い。寒冷地ではこういった極端に色の薄い♀が見られることがある。


ヒメヤママユには「黒化型=通称チョコボール」が存在する。簡単にいえば黒っぽい個体だ。

厳密に言うと「頭部と胸部の境目あたりの鱗毛が黒く、前翅の淡色部分を欠いた個体」である。

普通のヒメヤママユは白いのだが、百聞は一見に如かず、見ていただいたほうが早い。

Shimekuroosu
【成虫♂写真】20131007 長野県軽井沢町長倉<標高1400m>

こちらの♂は見た感じでもう黒っぽい個体というのが解るかと思う。

識別点の「頭部と胸部の境目あたりの鱗毛」もちゃんと黒い。

Skurohimesu
【成虫♀写真】20131007 長野県軽井沢町長倉<標高1400m>

こちらの♀、一見すると黒くない。カレーっぽい色である。しかし識別点に照らし合わせると「黒化型」なのである。

黒化型の発現のシステムはよくわからない。正✕黒では正が生まれるのだろうか?

♀にも発現してるということは遺伝的要素が多分に含まれているハズである。

なぜ一定地域に多いのかという疑問も拭えない。もし劣性だとすると消え行く型なのであろうか。



黒化型は生息する範囲が狭い。軽井沢にも少なからず生息しているが、有名産地に比べると確率が低い。

埼玉では秩父地方で黒化型がよく見られる。こちらは確率が高く、黒化型に出会うのも難しくない。




以前は北海道亜種S. jonasii fallaxと本州以南亜種S.jonasii jonasii に分かれていたが

現在は統合されS.jonasii となり亜種を認めていない。

種小名のjonasii (ヨナシイ)は彼の有名な 
Frederick Maurice Jonas(フレデリック モリス ジョネス)(1.I.1851− 24.IV .1924)である。

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