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2014年12月

【0173】ミヤマヨトウ
Lacanobia contrastata

関東近辺では亜高山帯に生息する美しいヨトウガである。

【ムラサキヨトウ】に非常によく似ており、斑紋での識別は容易ではない。

色彩の淡い方がムラサキということだが、スレた個体もいるため判断が難しい。

しかし大きさが一見して違うということなので、そこで見分けるのが簡単だろう。

ちなみにムラサキの開帳が32~36mmに対しミヤマは40~46mmとなっている。

幼虫時代の栄養によりミヤマの小さい個体はいるかもしれないが、ムラサキの大きい個体はないだろう。

大きければミヤマとして良いと思う。

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【成虫写真】20120714長野県東御市新張<標高1750m>

この場所は採集禁止となっているため、撮影のみであるが一見して大きい個体であった。

一度はムラサキヨトウとしてしまったのだが、この大きさを今思うとミヤマヨトウであろう。


種小名はcontrastata (コントラスタータ)。contrastがそのままラテン語で「コントラスト」の意味である。

見たままのコントラストが強い前翅を評してのことだろう。


埼玉では三国峠と小川町での記録がある。

生息域からして小川町には分布していないような気もするのだが・・・

ちなみに僕自身は1500m以上のところでしか採集、確認していない。


【0172】ミカヅキナミシャク
Earophila correlata

三日月とはまた風流な和名のナミシャクである。

こういった和名は好きなのだが、イマイチどの辺が三日月なのかがよくわからない。

春の短い期間に出現するナミシャクだが、決まって三日月のころに見られたりしたのだろうか。


少なくとも成虫の外見を評してのことではないような気がするのだが・・・

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【成虫♂写真】20130410長野県軽井沢町長倉<標高1400m>

撮影は軽井沢。寒冷地であるが、基本的に関東以南に生息する南方系の蛾である。


種小名はcorrelata (コッレラータ)。ラテン語で「相関」という意味だが・・・こちらも意味がよくわからない。


食草はノイバラなどのバラ科で、埼玉では秩父市と皆野町での記録がある。

【0171】アオヤマキリガ
Orthosia aoyamensis

春、山地に出現するキリガだ。

色々な樹木を食樹とする広食性だが、関東近辺ではわりあい標高が高めのところでしか見られない。

気温が高いと生息に影響が出るのだろうか。


分布域に行けば姿を見ることは難しくない。多くのアオヤマキリガに逢えるだろう。

Saoyama
【成虫♂写真】20130410長野県軽井沢町長倉<標高1400m>

♂は触角が鋸歯状で目立つ。


種小名はaoyamensis (アオヤメンシス)。-ensis は地名の後につく接尾辞だ。

最初に発見された北海道の青山温泉(昆布温泉郷にかつて存在した温泉、現在は閉鎖)に由来するという。


埼玉では西部に記録が偏っていて山地性であることを伺わせる。

【0170】エビガラスズメ
Agrius convolvuli

我が家でよく発生するスズメガである。アサガオの葉を食い尽くして10月ごろに羽化しているようだ。

5月から発生する蛾なのだが、我が家では秋にしか見たことがない。食草も関係しているのかもしれない。

腹部の赤い部分が良く目立ち、「エビガラ」の和名の由来となっている。


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【成虫写真】20111019埼玉県蕨市<標高5m>

都市部でよく発生する大きな蛾なので、嫌悪の対象となることが多いようだ。

しかし特に害はないどころか、良く見ると眼が大きく愛嬌がある顔をしている。

先入観で嫌わないでよく観察してみてほしいと思う。


種小名はconvolvuli (コンボルブリ)。人名由来かと思ったが、ヒルガオの学名がconvolvulus のようだ。

主たる食草であるヒルガオに関係した命名のような気がする。


アサガオの他、サツマイモやゴマ、アズキ、タバコなどでも発生するようだ。

埼玉では多くの記録がある。

【0169】ゴボウトガリヨトウ
Gortyna fortis

「黄金の蛾」

僕はそう呼んでいる黄金色の蛾だ。

普通、黄金の蛾と言えば【キクキンウワバ】である。まさに金箔を貼ったように美しい蛾だ。


しかし「蛾の世界の金」はゴボウトガリヨトウの「鈍く輝く金」だと僕は思うのだ。

煌びやかに輝く金は確かに美しいだろう。しかしそれは蛾の美しさとは違う美しさではないかと思う。

まあ金閣寺より銀閣寺を好む、そんな捻くれた僕の戯言にすぎないのだが。


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【成虫写真】20131007長野県軽井沢町大字軽井沢<標高960m>

秋に出現するこの蛾はあまり多く見られる種ではないように思う。

僕自身は4度ほどしか見たことがない。

幼虫は和名のとおりゴボウを食草とするのだが、ゴボウだけではなく様々な草本類の茎に穿孔するのだ。

この美しいヨトウガ、もう少し良い和名が欲しかったと思う。


種小名はfortis (フォルチス)。ラテン語で「強い」の意味なのだが、ちょっと由来がわからない。

埼玉での記録は少なくない。県西部を中心に新座市まで記録がある。


以下記録
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【成虫写真】20080928栃木県日光市西川<標高600m>

【0168】ヒメシロドクガ
Arctornis chichibense

個人的にはドクガ科の中でも一、二の美しさを誇ると思っている蛾だ。

薄く透けた緑色をしたその翅は、生きている時だけに特有の色である。この美しさは標本に残せないのだ。

植樹がブナ、ミズナラの為、関東近辺ではある程度の標高がないと生息していない。

本州には同じような白いドクガが多種生息しているが、

【スゲドクガ】【オオスゲドクガ】←止まり方が違い、若干黄色味を帯びる

【ヤナギドクガ】【ブチヒゲヤナギドクガ】←止まり方が違う

【キアシドクガ】【ヒメキアシドクガ】←脚が黄色い

【スカシドクガ】【エルモンドクガ】←前翅に黒点、L紋が見られる

と意外に消去法で同定ができる。


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【成虫♀写真】20110731 埼玉県秩父市大滝<標高830m>

僕の美的感覚では緑色が薄いほど美しい。しかし真っ白ではダメだ。

この個体に出逢ったときは思わず息を飲んで見とれてしまった。






成虫は春と真夏の2化するようで夏の個体は小さくなるという。

種小名はchichibense (キキベンセ)。接尾辞-enseは地名の後につく語句だ。

ということはchichib=地名である。ひょっとすると埼玉県秩父市のことだろうか?

以前はArctornis alba chichibense という学名で、検索すると確かに似た蛾がヒットする。

保育社の原色日本蛾類図鑑にはこの学名で載っており、原名亜種は大陸に生息すると記述がある。

その後、chichibense alba とは別種ということが判明したということと思うが、文献が拾えない。


埼玉では秩父地方で多く記録されている。

旧浦和市でも1件の記録があるが(市川,1978)食樹のブナ・ミズナラがあるとは考えにくく、標本を確認する必要がある。

【0167】キドクガ
Kidokuga piperita

成虫にも毒があると言われている数少ない蛾である。

発生個所付近でのライトトラップには大量に飛来することがあるので注意が必要だ。

しかし実際に僕は成虫でかぶれたことがないため、どういった症状になるのかということはよくわからない。

そういった情報を知りたい方は「ドクガ 成虫 被害」で検索していただいた方が早いと思う。

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【成虫♂写真】20110731 埼玉県秩父市大滝<標高830m>

黄色の前翅に黒い斑が施され、他の黄色系ドクガ【ドクガ】【チャドクガ】【ゴマフリドクガ】などに似ている。

そんな似ている種の中で、キドクガは黒い斑が全体的ではなく部分的に施されている。

細かい個体変異はあるものの、おおよそこの斑は同じような形をしている。慣れれば同定は難しくない。


属名がKidokuga (キドクガ)であり、和名がそのまま属名になっている珍しい例である。

以前は【トラサンドクガ】と共にEuproctis (ユープロクチス)属に分類されていたが、

標準図鑑によるとHolloway(1999)により分類の見直しがされ、新しい属が設定されたとのことだ。


種小名はpiperita (ピペリタ)。このまま翻訳ソフトにかけると「ハッカ」の意味しかでてこない。

これはペパーミントの学名がpiperita であることによるものだ。

piperがラテン語で「コショウ」なので、コショウを塗したような前翅を評してのことだろう。


様々な樹木を食樹とし、埼玉では普遍的に見られる種だ。


【0166】クビワシャチホコ
Shaka atrovittatus atrovittatus

首から前翅にかけての黒帯が特徴的なシャチホコガの仲間である。

カエデの仲間を食草としており、都市部で植栽されているカエデでも発生しているので

意外と市街地でも見ることができる蛾である。

もちろん山間部でも見ることは多く、灯りに飛来してることの多い蛾だ。

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【成虫写真】20140622常陸太田市下高倉町<標高440m>

クビワの由来と思われる黒条紋に気を取られがちだが、前翅の色彩もよく見ると美しい。

種小名はatrovittatus (アトロウィッタツス)。ラテン語でatro=「暗い、黒」、 vittat=「チャプレット」の意。

チャプレットとは何ぞや?と思って検索してみると、日本で言えば数珠のようなものらしい。

黒い数珠。和名とほぼ同じ意味だ。やはりこの黒条紋は目立つのだろう。


埼玉県では全域で記録されている。

【0165】シロフクロケンモン
Narcotica niveosparsa

小さなケンモンヤガの仲間である。個人的に出会うことの少ない種だ。

埼玉では大滝村と小鹿野町の2件のみの記録となっている。小型ケンモンヤガ不遇の地なのだろうか。

この地では他にも多くのケンモンヤガ亜科が飛来した。何か特有の好条件があったのかもしれない。


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【成虫写真】20140622常陸太田市下高倉町<標高440m>

食草が未だにわかっていないようだ。

このあたりは色々な植物が生育してる。埼玉では珍しい植物も色々あった。

埼玉での記録が少ないのもその辺りが原因か。


種小名はniveosparsa (ニベオスパルサ)。イタリア語でniveo sparsa という区切りで「まばらな雪に覆われた」

良い命名だと思う。黒地に白点を塗したような前翅は雪の降り始めを連想する。


まあ5~9月の蛾なのだが・・・


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Narcotica niveosparsa
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【0164】シロフヒメケンモン
Gerbathodes paupera

個人的には殆ど見ない蛾である。

食草がミズナラということだが、僕がいつも通うポイントでは見た試しがない。

スルーしていたのかもしれないが、小さくとも味わい深いこの蛾を見たら写真くらいは撮ってもよさそうなのだが・・・

どうも生息が局所的らしく、どこでもいるような蛾ではなさそうだ。

この個体は初めて茨城で採集をしたときに飛来した。他にもケンモンヤガの飛来が多かった。

小さいケンモンヤガにはあまり縁がなかった僕には新鮮だった。

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【成虫写真】20140622常陸太田市下高倉町<標高440m>

種小名はpaupera (パウペラ)。ラテン語では「貧しい」 ん~ ちょっとイメージが湧かない。

やはり埼玉でも記録は少なかった。小鹿野町の一件だけである。

【0163】スジアカヨトウ
Apamea striata

高標高地で7~8月にみかける種である。

【チャイロカドモンヨトウ】や【カドモンヨトウ】に似ているが、

スジアカヨトウは環状紋が扁平で斜めになっている、前翅後縁に平行に黒条紋が見られる、などの特徴がある。

一番わかりやすいのは一見して前翅が木目調という点だ。慣れれば同定に困る種ではない。

食草が未だわかっていないようだ。

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【成虫写真】20140724 静岡県小山町須走<標高1600m>

種小名はstriata (ストリアタ)。ラテン語で「縞模様」のという意味。

前翅を形容したストレートな名前である。


埼玉では高標高地に記録が限られている。

【0162】アオバヤガ
Anaplectoides prasina

関東近辺では標高の高いところに生息する大型のモンヤガである。

美しい緑色の前翅は個体による。色褪せた様子もないのに褐色やモノクロの個体もよくみかける。

それだけに新鮮な緑色の個体に出逢ったときは嬉しくなる。綺麗なアオバヤガは思わず撮影してしまうのだ。

様々な草本類を食草とし、6~8月に成虫が見られる。


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【成虫写真】20140719 山梨県山梨市牧丘町北原<標高2340m>


種小名は prasina (プラシナ)。 prasinというのは草色のことらしい。(カラーコード4ca66b)

わかりやすい命名だ。

埼玉県では高標高地に記録が限られる。

【0161】ツマキシャチホコ
Phalera assimilis assimilis

似ている種が多いPhalera (ファレラ)属の代表種である。

その枝が折れたような頭部と前翅は一度見たら忘れないだろう。

ブナ科のいくつかの樹木を食樹としている。平地から山地まで住む場所をあまり選ばない。

住宅地でも見られ、アパートやマンションの廊下に落ちているのを見ることがある。


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【成虫写真】20140726 新潟県魚沼市大湯温泉<標高280m>

ツマキシャチホコに至るには翅頂の大きな黄斑が重要だ。

黄斑と銀色部分の境目を縁取るラインが赤茶っぽく(タカサゴとムクは黒い)

黄斑を千葉県と見立てると犬吠崎のあたりが広くなっていて尖らず丸みを帯びる(クロは狭く尖る)


ツマキシャチホコは全国的に生息している。ムクは北海道で記録がなく、

クロやタカサゴは関東南部以西に生息するという比較的南方の種である。

この関東南部とは具体的にどこを指すのかはわからないのだが・・・(ちなみに埼玉ではどちらも記録がある)


種小名はassimilis(アッシミリス)。assimil=フランス語で同化。擬態を評してのことだと推測に難くない。

このassimilisとい種小名は、様々な種で使われている。アカボシゴマダラもassimilisである。


埼玉でも広く多数の記録がある。


【0160】チャエダシャク
Megabiston plumosaria

晩秋から初冬にかけて発生するエダシャクの仲間だ。『秋の七枝尺』の一員である。

発生時期から「これはなんというフユシャクですか?」という質問がくることが多い蛾でもある。

♂の触角は非常に発達しており、僕の中で『櫛髭四天王』として君臨している。


市街地にも生息しており、触角が目立つしゅなので目撃情報や撮影されていることが多い。

チャエダシャクのチャは食草のひとつ「茶の木」である。

しかし他にも様々な広葉樹を食草としているので順応性は高いようだ。

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【成虫写真】20141127 埼玉県川口市大字芝<標高 5m>

この撮影地は我が家から車で5分くらいである。狭い雑木林ではあるが、生息を確認できた。


対して♀は触角が糸状で特徴に乏しい。

ろくな写真がなかった。
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【成虫写真】20121221埼玉県さいたま市桜区<標高 5m>

確かこれは木に登って撮った写真だ。もうすこし良い写真を撮って差し替えよう。

四国九州にはよく似た【アシズリエダシャク】が生息している。


種小名はplumosaria (プルモサリア)。 ラテン語でplumosa=生き方という意があるが、意味が分からない。

少し検索するとスペイン語でplumosa=羽のような という意がある。

こちらは触角が羽のようなということでしっくりくる。記載者のLeechがイギリス人なのが気になるが…


埼玉の記録を見てびっくりした。当然多数の記録があるかと思いきや4件しかない。

朝霞市、入間市、浦和市、新座市。 県東南部に偏っている。 秩父でも見た記憶はあるが・・・

【0159】フジシロミャクヨトウ
Sideridis kitti

富士山の5合目付近にのみ生息するという、極めて特異な分布をしている蛾である。

国外には広く生息している種なのだが、なぜ日本では比較的新しいとされる富士山にのみ生息しているのか。

詳しい分布はアルプス山脈、ウラル山脈南部、中央アジア、トルキスタン、モンゴル、シベリア南部となっている。

寒い地方を好む蛾ではありそうだが、他の高山帯にいない理由がわからない。

食草がムラサキモメンヅルとなっているが、特に富士山固有の植物ではない。

考えられるのは富士山以外の個体群が絶滅したということだが・・・ 想像の域は出ない。

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【成虫写真】20150723 静岡県小山町須走<標高1960m>


黒地に白い横脈が美しい種だ。前翅を閉じると外横線に富士山が現れる。

まさに富士山を代表する蛾といえるだろう。今のところ日本産の生体写真はネット上にこれだけだと思う。


種小名は kitti (キッティ)。いかにも献名ぽい。

決してりんご3個分のネコではない。ましてや「マイケル行きましょう」なんて絶対に言わない。

記載者はSchawerda氏で1914。同じ時代にkitt氏という方もククリアを記載しているのでこの方ではないかと思う。


現在は富士山のみで見つかっているので、勿論埼玉県では記録されていない。

【0158】オオアカヨトウ
Apamea lateritia lateritia

本州中部では1000m付近からその姿を見かける大型のヨトウガ。

同じように亜高山性の種が多い日本産のApamea(アパメア)属14種中では最大を誇る。

といっても前翅の色彩は錆びたような色一色でお世辞にも僕の感性では美麗種とは言い難い。

時期があっていて標高さえあれば飛来するケースが多く、有り難味にも欠ける蛾である。


簡単に言えばスルー対象の蛾だ。


平地で逢えるような蛾ではないのだが、高標高地に行くとどうにも「かったるくなって」撮らない採らない蛾が出てくる。

で家に帰って後悔する。これをなんとかしなければいけないとは思っているのだが・・・

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【成虫♂写真】20140719 山梨県山梨市牧丘町北原<標高2340m>

イネ科の根茎を食草とするようだ。成虫は7~8月の出現。

種小名はlateritia (ラテリティア)。ラテン語で煉瓦の意。翅色から取ったに違いない。わかりやすい名で助かる。


埼玉では奥秩父の高標高地で記録されている。

【0157】マイマイガ本州・四国・九州亜種
Lymantria dispar japonica

7月の下旬から8月にかけて成虫となる蛾である。ここ数年大発生を繰り返しており、よく耳にすることが多い。

その様子はニュース等でも放映されているので、ご覧になった方も多いのではないだろうか。

そんなマイマイガの大発生に、今年は僕も悩まされることとなった。



といっても僕の居住地で大発生が起きたわけではない。

ライトトラップをするととんでもない量が飛来してしまい、採集ができなくなってしまうのだ。

勿論、大発生をしている地域の方の被害に比べればなんということはない。被害はゼロに等しい。

しかしこの大発生のおかげで僕の採集行はかなり制限を強いられた。

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【成虫写真】20140726 新潟県魚沼市上折立<標高820m>

点灯後一時間でこの有様だ。実はこの地域でマイマイガが大発生しているということを知らなかった。

それらしい布石は道中あったものの、ニュースで見るような感じでもなく壁にチョボチョボついてるくらいであった。

これくらいならまあ大丈夫だろうと安易な考えで幕を張ってしまった結果だ。

蛾の重みで幕がしなって倒壊の危険があったため、撤収せざるをえなくなってしまった。


これだけの数に囲まれるとさすがに健康に支障をきたすレベルである。

鱗粉アレルギーの僕はクシャミが止まらなかった。一時的な刺激で皮膚もかゆくなった。

数時間後には治まる一時的なものだ。一部報道にあるような「毒」はこの種にはない。



そこから1時間ほど車を走らせたところでは、大発生のニュースでよく見る光景が広がっていた。

その中でも僕が驚いたのはこの木だ。
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【成虫写真】20140726 新潟県魚沼市大湯温泉<標高280m>

下から上までマイマイガの♀でみっちりである。本当にj隙間なく埋め尽くされている。

マイマイガの♀は何かにぶつかるとそれを登っていく習性があるように思う。

ライトトラップ中にも僕の体を「登ってくる」ことが多々あった。幕でも上の方に溜まっていく個体がとても多かった。

この木も灯りに寄せられた♀がぶつかり、登って♂を待ち最後は産卵に至る、というような感じであった。

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【成虫交尾写真】20140726 新潟県魚沼市大湯温泉<標高280m>
V地で交尾することが多いようだが、このような形で交尾をすることもある。茶色い方が♂である。


S
【成虫♂写真】20140726 新潟県魚沼市大湯温泉<標高280m>

♂は単体で見るととても可愛い部類にはいる蛾である。当ブログ記事萌え蛾特集 でも紹介するくらいのレベルだ。


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【成虫♀写真】20140726 新潟県魚沼市大湯温泉<標高280m>

♀は一般的に大きい。が、大きさにはかなり変異があり小さいのも多く見られる。

右に見えるのは卵塊である。見たことがある方も多いかと思う。この中に卵がたくさん産みつけられており、

その外側を守るように鱗粉をすりつけてあるのだ。この卵塊にも毒はない。


種小名は dispar (ディスパル)。ラテン語で~とは異なる、ルーマニア語で姿を消す、スペイン語で異種。

記載者はLinnaeus(リンネエウス)。分類学の父と言われた Linné(リンネ)のラテン語名である。

ということでラテン語の「~とは異なる」という意であろうか。何と異なるのかはわからない。

>>>>>>>>>140106追記

学名の意味を調べていらっしゃるyyzz2さんより「(♂と♀で)違っている」の意味である、とご教示いただきました。

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分類で紆余曲折ある種でもあり、ここ数十年の間に随分と変更されている。

簡単に僕がまとめ、mothprog氏に補足していただいたものを以下に掲載する。

長いので興味のない方は読み飛ばしていただいた方が良いかもしれない。


埼玉でも市街地から山地まで多数の記録があるド普通種である。

以下分類の要綱

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Lymantria dispar japonica
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