« 2016年8月 | トップページ | 2018年3月 »

2017年12月

【0194】サクフウフユシャク
Alsophila yanagitai

日本に35種が分布するフユシャクガ。

その中でも九州にのみ産地が知られるのはこのサクフウフユシャクと【クジュウフユシャク】だ。

サクフウは漢字で朔風と書き、北風を意味する。1995年に新種記載された新しい種だ。
中島秀雄, 1995. 九州産Alsophilaの1新種 Tinea 14(3):196-199

どちらも関東在住の僕にとって、この二種は遠かった。 

仕事の忙しい師走時期にまとまった休みを取り九州まで赴かねばならない。

さらに外れた時に他の蛾を狙う楽しみがほとんどない。この二種だけを狙うのみなのだ。

しかもルックス的に他種とあまり変わり映えはしない。たとえ採れたとしても【シロオビフユシャク】に似てるヤツ、なのだ。

複数要素が重なり、この九州フユシャク二種は行く気すらなかったのが正直なところであった。


しかしである。

フユシャク全種制覇を果たすには採らなければならない。その思いが今年は強くなった。

折しもむし社から日本の冬尺蛾が発売され、刺激を十二分に受けてしまった僕は決断した。



サクフウを採ろう。



休みは取れた。いや取った。 あとは九州へ行くだけだ。

最低でも♂は仕留めたい。可能性を高める為にライトトラップセットを持参しなくていけない。車で行くことにした。

20時間かけて熊本へ。そこで福岡のSさんに合流してポイントを案内していただいた。



日没後、僕らが彷徨う林内にフユシャク亜科らしき飛翔体が舞う。

ネットを振る。確認する。

シロオビと違う!翅がでかい!これがサクフウか!!!

S_2
【成虫♂写真】20171209熊本県<標高750m>

思ったより簡単に採れてしまった。いくつも舞う飛翔体はすべてネットインすればサクフウだった。

しかし九州まで来た意味はこれでできたというもの。あとはメス、あわよくばペアを…

そんなうまくいくわけはない、と思いつつも林内の木を舐めまわすように探す。

Sさんが僕を呼ぶ。「メスだ!メスがいるよ!!」

僕「え??」

S_3
【成虫♂写真】20171209熊本県<標高750m>

うわあああ!! メスだ!! ちなみにサクフウのメスは僕の知る限りほとんど採れていないハズ。

とんでもないものを見つけてしまった気分だ。 少しシロオビなどとは違ったねずみ色がかった感じがする。


その直後である。


Sさん「ここにオスがいるんだけど、ちょっと撮影しづらいなあ… 変な体勢で変な位置にいる」

僕「どれどれ・・・  これペアじゃないですか???」

Sさん「やっぱりそうか??」

S_4
【成虫♂写真】20171209熊本県<標高750m>

まさかのペア発見である。

ペアはSさんがつい数日前に見つけたが極レアものである。

単発突貫で九州へ来てしまった僕が見つけていいようなシロモノではないのだ。


大満足の九州行となった。Sさんには改めてお礼を申し上げたい。本当にありがとうございました。


種小名は yanagitai (ヤナギタイ)。僕も少なからずお世話になっている発見者の柳田慶浩氏に因む。

九州各地に記録があるが、他地域での記録はない。現状九州特産種である。

« 2016年8月 | トップページ | 2018年3月 »

カテゴリー

無料ブログはココログ