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ツクシカラスヨトウ Callyna contracta Warren, 1913  

ツクシ、と初めて名を聞いた時は土筆を食べるのかと思っていたがそうではなかった。

九州地方にあった旧地名、筑紫から取った和名であるようだ。

母方のルーツを九州に持つ私だが、九州への採集はあまり行っていなかった。

どうしても緯度や標高が高い場所へ行ってしまう習性があるため、この蛾との縁はこれまでなかったのだ。

 

しかし、この蛾の特徴的な前翅は図鑑やインターネットで見て脳裏に焼き付いている。いつか見たいな、とは思っていた蛾である。

そんな折、蛾類学会の採集例会が宮崎県で行われることになった。これはチャンスだ。こういう機会でもないとたぶん私は九州に来ない。

ネットで画像検索しても少ない。なんとなくだがそんなに採れる蛾ではないんだろうな、と思っていた。

採集例会の前日から九州に入った私は適当に目星をつけライトトラップを行った。

するとである、点灯後30分で飛んできたのだ。

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【成虫♂画像】20220721 鹿児島県

しかもビカビカの個体。計3個体飛んできた。

こんな蛾は初めてである。似たような蛾すら見たことがない。南の蛾とはこういうものなのか、と感心しきりである。

良い蛾を初日に採れて大満足である。九州に来た甲斐があるものだ。

翌日、採集例会で九州の蛾屋さんに話を聞くと、そこまで珍しいものでもないが、たくさんいるわけでもない。初日にいきなり採れたのはラッキーでしたねと優しいお言葉をいただいた。

種小名はcontracta(コントラクタ). 直訳すると契約と出る。羅和辞典を引いてみると、収縮した、狭い地域に局限したという意味があるようだ。

他にもこの種小名を使う種は多いようだが、contractaを種小名にもつ蛾に外見の共通点はないので翅を形容したものではなさそうだ。

ちなみに【ウスミミモンキリガ】もcontractaである。生息域が局限している蛾、という意味のような気がする。

寄主植物はチシャノキとされている。

 

埼玉では当然のように記録されていない。

 

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