シャクガ科 エダシャク亜科

【0160】チャエダシャク
Megabiston plumosaria

晩秋から初冬にかけて発生するエダシャクの仲間だ。『秋の七枝尺』の一員である。

発生時期から「これはなんというフユシャクですか?」という質問がくることが多い蛾でもある。

♂の触角は非常に発達しており、僕の中で『櫛髭四天王』として君臨している。


市街地にも生息しており、触角が目立つしゅなので目撃情報や撮影されていることが多い。

チャエダシャクのチャは食草のひとつ「茶の木」である。

しかし他にも様々な広葉樹を食草としているので順応性は高いようだ。

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【成虫写真】20141127 埼玉県川口市大字芝<標高 5m>

この撮影地は我が家から車で5分くらいである。狭い雑木林ではあるが、生息を確認できた。


対して♀は触角が糸状で特徴に乏しい。

ろくな写真がなかった。
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【成虫写真】20121221埼玉県さいたま市桜区<標高 5m>

確かこれは木に登って撮った写真だ。もうすこし良い写真を撮って差し替えよう。

四国九州にはよく似た【アシズリエダシャク】が生息している。


種小名はplumosaria (プルモサリア)。 ラテン語でplumosa=生き方という意があるが、意味が分からない。

少し検索するとスペイン語でplumosa=羽のような という意がある。

こちらは触角が羽のようなということでしっくりくる。記載者のLeechがイギリス人なのが気になるが…


埼玉の記録を見てびっくりした。当然多数の記録があるかと思いきや4件しかない。

朝霞市、入間市、浦和市、新座市。 県東南部に偏っている。 秩父でも見た記憶はあるが・・・

【0147】ナカジマフユエダシャク
Larerannis nakajimai

同じラレランニス属の【ウスオビフユエダシャク】と似たような晩秋に出現するフユシャクである。

時期にして11月下旬から12月上旬、ウスオビが終わりかけくらいの時期だ。

僕の感覚ではナカジマは相当局地的である。ウスオビは山に行けばいるだろーという感覚だが

ナカジマは適当に流してても会えた試しがない。どちらかというと南方の種なのだろうか。

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【成虫♂写真】20101127 山梨県富士河口湖町<標高1000m>

ウスオビに比べると完全に薄帯ではない。主張の激しい模様である。

ウスオビのラインを墨でなぞったようなラインはひと目で違うとわかる。

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【成虫♀写真】20141123 山梨県富士河口湖町<標高1000m> 自宅にて撮影

この日は探索を予定していた。しかし事もあろうに骨折で家から出られなくなってしまった。

怪我で動けない僕に、探索に出かけた一寸野虫さんATSさんさらに翌日出かけた真神ゆさんが産卵前の生体を贈ってくれた。

初♀遭遇が自宅になってしまったが、やはり嬉しいものである。この場を借りてお礼申し上げます。


このナカジマフユエダシャク、記載された当初はシロフユエダシャクという和名であった。

しかし【シロフフユエダシャク】という種がおり、とても紛らわしいということで改名された。
中島秀雄,1989.ナカジマフユエダシャク(改称)の雌の発見.蛾類通信153:33.

種小名のnakajimai (ナカジマイ)は言うまでもなくフユシャク研究の第一人者、中島秀雄氏のことである。


ウスオビと混生している地域も一部あるようだが、ウスオビの確認されている埼玉では未だに記録されていない。

【0137】ヘリグロエダシャク
Bupalus vestalis vestalis

翅を閉じて止まるエダシャクの仲間だ。

「ヘリグロ」とは翅の縁が黒いことからつけられたであろう和名だが、静止時にその姿を確認することはできない。

展翅して初めてヘリグロの名がしっくりくる種である。

北海道と本州に生息しているようだが、本州ではある程度の標高がないと見ることができないと思う。

僕が見た個体はいずれも標高2000mオーバー。

実際にはそこまでの標高は必要ないと思われるが・・・ 北の蛾であることは間違いなさそうだ。

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【成虫♂写真】20140719 山梨県山梨市<標高2230m>

静止状態の♂であるが・・・

生態写真がネット上で見つからない。 以前知人に見せてもらった写真で頭には入っていたが、

翅を閉じて止まるという習性はこうして生で見るまではわからないと思う。

確かに図鑑を見ればそういった記述があるものの、認識度は低いのではないだろうか。


これだとヘリグロかどうかわかりづらいのでライトに集まり飛翔してる個体を撮影してみた。


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【成虫♂写真】20140719 山梨県山梨市<標高2230m>

こうしてみると和名ヘリグロエダシャクにも納得ができる。

知人の話だと昼間も飛翔してる姿を見るという。図鑑にも昼飛性と記されているが、夜のライトにも集まる。

この日も複数の個体が集まってきた。


食草は詳細に確認されていないようだがマツ科との推測がある。

僕が撮影したポイント周辺はシラビソが多い。この辺りではシラビソを食草としているのかもしれない。

種小名はvestalis(ウェスタリス)=ウェスタの処女。古代ローマにて信仰されていた女神ウェスタに仕えた巫女たちのこと。

祀られた火を絶やすさないようにすることが仕事だったという。

その名の通り、処女であることが条件とされていたようだ。純潔な従者というイメージ。

確かにひらひらと灯りに集まる白いこの蛾はその名にふさわしい。良い名である。


埼玉でも秩父市矢竹沢(おそらくは入川林道か)で記録がある。

【0132】ムクゲエダシャク
Lycia hirtaria parallelaria

白銀の前翅に目立つ櫛状の触角を持つ魅力的なエダシャクである。

春の短い時期にだけ発生する種で、北海道と本州の一部(山梨、長野、岩手)にのみ記録があるようだ。

生息域が狭いのか、中々見ることができない蛾のように思う。

少なくとも僕は今回が初見であった。


この時は【ウスシモフリトゲエダシャク】を狙っての遠征であったが、集まる蛾を見ると明らかに時期が過ぎていた。

標高を上げに上げた結果の場所でも似たような顔ぶれだった。

しかし最後にこのムクゲエダシャクが一頭だけ飛来してくれたおかげで、結果的に良い遠征となってくれた。

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【成虫♂写真】20140503 南佐久郡川上村七森沢<標高1500m>

このモフモフ具合と渋目の前翅、大きな触角、さらに中々出会えないレア度。

個人的にはもう少し人気が出てもよさそうな種だと思っているのだが、検索で出るのはカバシタ~の方ばかりだ。

メスは翅が半透明になるようで、そちらも是非出逢いたいものだ。

種小名はhirtaria (ヒルタリア)。アイスランド語で hirtar=収穫 という意味があるようだが真偽はわからない。


埼玉での記録が未だにないが、密かに狙っている種でもある。

【0126】タケウチエダシャク
Biston takeuchii

エダシャク亜科でも人気の高いビストン属に分類されている。

発生が非常に局所的で、日本鱗翅学会発行の"やどりが"では「日本の珍しい蛾」として紹介されている。(やどりが:142)
が、発生地では複数の飛来を見ることができ、珍種の大量飛来にアドレナリンの分泌が止まらなくなってしまう。

東雲色というのかこの煤けた赤い色のシャクガは他に憶えがなく一目でソレとわかる種だ。

Stakeuchii
【成虫♂写真】20140421下伊那郡下條村<標高510m>

この界隈では記録が多いようで僕もその恩恵に与ることができた。

この日は6♂が飛来し、そこにもここにもタケウチエダシャク、という豪華な灯火であった。

が、興奮しすぎてよりによって一番ボロな個体を撮影するという失態を犯してしまった。


発生地での遭遇は難しくないのかもしれないが、これだけ局所的に生息しているということは
ひとたびその地域の環境が変わってしまうと、一気に生息の危機に瀕してしまうのではないだろか。

食草はヤマモモやウラジロガシ、シダレヤナギで飼育成功との報告があるようだ。

東京、栃木、群馬での記録があるが、埼玉では未だ記録がない。

【0122】トギレフユエダシャク
Protalcis concinnata

クヌギ・コナラといったいわゆる雑木林で多く見られるフユエダシャクである。

つい最近までトギレエダシャクという和名で呼ばれていた種だ。

2009年にトギレフユエダシャクに改称されたばかりである。(誘蛾灯:196)

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【成虫♂写真】20140309 埼玉県狭山市<標高70m>

♂はいわゆる地味エダシャク。中横線と外横線が急接近するのが特徴的だ。

個体変異が多いが、この特徴を覚えておけば同定に困ることはないと思う。

感覚的な話だが高標高地に行くほど色が薄くなる傾向がある気がする。

参考までに標高1300mで撮影した♂を添付しておく。

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【成虫♂写真】20120519 長野県軽井沢町大字長倉<標高1300m>

関東平地では3月に見られる種だが、軽井沢では5月中旬でもその姿を見ることができた。

春キリガ等に比べるといくらなんでも遅すぎるような気もする。

1000m付近では3月下旬に確認している。何か羽化するにあたっての条件が揃わないのであろうか。


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【成虫交尾写真】20140311 埼玉県狭山市<標高70m>

このペアは22時頃の撮影。♀を単独で撮影するのをすっかり忘れていた。

♀の翅はフユシャクと呼ばれるグループの中で一番大きく、まさに「途切れ」たその翅は見応えがある。

大きな翅は頑張れば飛べそうな気もするが、フユシャクの仲間ということはやはり飛べない。

翅をパタパタはためかせて必死に歩いて行く姿は可愛らしく、一度見てもらいたい光景だ。


埼玉では平地から山地まで幅広く生息している。

【0121】フチグロトゲエダシャク
Nyssiodes lefuarius

春の短い期間にだけ現れる昼行性のフユシャクである。

河川敷によく生息地が知られているが、元々は草原性の蛾らしい。

人間の開発により生息場所が河川敷に狭められていった、と見るべきかもしれない。


♂の飛翔は素早く、枯れ草が保護色となり見失うケースが多い。

大人しく撮影対象になってくれることが多い蛾類にしては写真が撮りづらい種だ。


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【成虫♂写真】20140303 埼玉県さいたま市<標高10m>

♂はフサフサの触角が目立つ、『櫛髭四天王』の一員だ。

太陽が出ていて風が弱い時によく飛ぶようだ。時間的には正午前後によく見る印象がある。

対する♀は全くの無翅でアザラシのタマちゃんのような風貌だ。

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【成虫♀写真】20090221 埼玉県さいたま市<標高10m>
産卵中失礼して撮影した。

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【成虫交尾写真】20100301 埼玉県さいたま市<標高10m>

2回観察した交尾の時間はいずれも12時半頃。しかし交尾後も♀はまたコーリングして再交尾するという。

あまり聞かない習性である。


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【幼虫写真】20130504 飼育<自宅撮影>


幼虫はノイバラやクローバーなど、多岐にわたる草本を食草とする。

僕はサクラを食べさせていたがよく食いついてくれた。(糞が良い香りになったりする)




フユシャクの中でもフチグロトゲエダシャクは非常に人気が高く、蛾屋以外にも人気である。

観察に生息地へ行くと網を持った人と遭遇する確率が高い。

フサフサ触角の♂と愛くるしいアザラシのような♀は"フッチー"の愛称で今年も虫屋に春を告げてくれる。



種小名lefuarius (レフアリウス)。 ルーマニア語でlefua=「洗練された」 riusは接尾辞か。これだと信じたい。



埼玉では2月後半から3月前半に出現。

産地は非常に少なく、埼玉県RDB2008で絶滅危惧I類に指定されている。


【0118】エグリヅマエダシャク 本土伊豆諸島以外亜種
Odontopera arida arida

日本全国に分布するド普通種である。

初春から晩秋まで、標高10mから2000m以上までその姿は見ることができ、

僕の中でキングオブ普通種inエダシャク亜科の称号を与えている。


食草も多岐に渡り、樹木だけでなく草本類をも食草としているようだ。

一度、我が家のサクラにも幼虫がついていたことがある。


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【成虫ex写真】20131014 埼玉県秩父市小品沢<標高900m>

普段は完全スルーのエグリヅマエダシャクだが、あまりにも飛来が少ないこの日は被写体となっていただいた。

よく考えたらメスを撮影していない。これからは少しチェックすることになりそうだ。


似た種に【キイロエグリヅマエダシャク】がいる。一見して黄色い山地性の蛾である。

伊豆諸島には別亜種が存在する。名前の由来である「抉り褄」の部分が少し異なるようだ。


埼玉でも市街地から亜高山帯まで非常にたくさんの記録があり、出会うことは難しくない。

【0115】フタキスジエダシャク
Gigantalcis flavolinearia

秋が深まり始める頃に出現するエダシャクである。

秋らしく黄色のラインを取り入れた前翅はインパクトが強く、ひと目で本種だとわかる。

と同時に蛾のシーズンが終わりに近づいていることを感じさせる。


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20131014 埼玉県秩父市豆焼橋付近<標高980m>

オスは櫛毛状の立派な触角を持つ。


Sfutaki
20131008 長野県軽井沢町大字長倉<標高1300m>

メスは糸状に見えるが極めて短い櫛毛状の触角。あと翅形が若干丸くなるようだ。

食草はバラ科のマメザクラ、ズミ、アズキナシが記録されている。

埼玉での記録は横瀬町の一件となっているが、秩父市の山地帯では見かけることが多い。

【0095】チャマダラエダシャク
Amblychia insueta

夏に見られる大型のシャクガである。

大型なことに加え、黄色の各横線と黒い斑模様が特徴的でひと目でそれとわかるエダシャクだ。

灯りに誘引されることも多いが、昼間に飛んでいる姿もよく見かける。

吸蜜もしているので昼行性なのだろうか。

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20130805長野県松本市安曇奈川渡<標高995m>

橋の灯りに飛んできたオス。

オスは触角が櫛歯状でよく目立つ。メスの触角は単純な糸状らしい。


memo.....
シャクガ科 エダシャク亜科に分類されています。
埼玉では見たことがありませんが、西部で記録があります。

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