シャクガ科 ナミシャク亜科

【0172】ミカヅキナミシャク
Earophila correlata

三日月とはまた風流な和名のナミシャクである。

こういった和名は好きなのだが、イマイチどの辺が三日月なのかがよくわからない。

春の短い期間に出現するナミシャクだが、決まって三日月のころに見られたりしたのだろうか。


少なくとも成虫の外見を評してのことではないような気がするのだが・・・

S_4
【成虫♂写真】20130410長野県軽井沢町長倉<標高1400m>

撮影は軽井沢。寒冷地であるが、基本的に関東以南に生息する南方系の蛾である。


種小名はcorrelata (コッレラータ)。ラテン語で「相関」という意味だが・・・こちらも意味がよくわからない。


食草はノイバラなどのバラ科で、埼玉では秩父市と皆野町での記録がある。

【0119】ミヤマフユナミシャク
Operophtera nana

関東・中部地方の山地に生息するフユシャクの仲間である。

場所によっては10月から発生しているようだが、11月初旬~中旬に見る印象が強い。

フユシャクのトップバッター的存在だ。

カラマツに依存しているので、カラマツ林がないと生息していない。

S
【成虫♂写真】20131108 群馬県吾妻郡嬬恋村<標高1170m>

ここ数年、♀を探してカラマツ林に通っているが未だに見つからない。

いつかは見てみたいものだ。

>>>>>>>>>180321追記

数年に及ぶ探索の末、ようやくペアを見つけることができた。

Photo_5

Photo_3
20161106群馬県長野原町北軽井沢<標高1366m>


メス単体で撮影。ナミスジよりも小さく、色が濃い。

Photo_4
20161106群馬県長野原町北軽井沢<標高1366m>
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種小名はnana (ナナ)。こういうのは大概神話がらみな気がする。

ギリシャ神話に出てくる女神NANAのことか・・・?

カラマツの少ない埼玉では未記録の種であったが、2017年に報文が発表された。
釣巻岳人,2017.和名倉山の昆虫(8) フユシャクガ類.寄せ蛾記(166):30-39

【0113】ハガタナミシャク
Eustroma melancholicum melancholicum

山の中で蛾を探しているとちょくちょく見かけるナミシャクである。

黄色の模様が目立ち、成虫の生息期間が春から秋までと長いこと、生息域が広いことなどから

多くはないにしろ目に入ってくる種である。

やはり雑多の蛾に紛れて独特のその模様は目を惹きやすいと思う。


【オオハガタナミシャク】という種がいるが別属で大きさもオオハガタ~ の方が小さい。

未だに僕自身も混同してしまうことがしばしばある。


幼虫はヤマブドウやツタでの飼育例が報告されている。

Shagata
20131014 埼玉県秩父市小品沢<標高900m>

触角はオス・メス共に糸状で見分けには使えない。

山地性で埼玉では西側に分布の偏りが見られる。

【0063】サザナミフユナミシャク
Operophtera japonaria

平地に生息するフユシャクだが生息域が幾分限られており、時期に歩けばいるというような種ではない。

何しろ神奈川では絶滅危惧Ⅱ類に指定されている種だ。


食樹のクヌギ、コナラから考えるとどこにでもいそうな気がするのだが、何かしらの条件が整っていないとダメなのかもしれない。

マイフィールド秋ヶ瀬公園にもクヌギコナラは大量にあるのだが見たことがない。

あれだけの規模を誇る公園にもいないとなるとサザナミフユナミシャクの生息には一体何が必要なのか。

食草が普遍的な種なのに生息域が局所的という種は難しい。

Ssazanami
【成虫♂写真】 20091212 埼玉県狭山市 <標高60m>

羽化シーズンには日没後に木の下から上へ沿うようにして飛んでいるのを見かける。

♀を探しているのだと思う。


S_3
【成虫♀写真】 20121221 埼玉県狭山市 <標高60m>

その♀はというと一見貧相な【クロオビフユナミシャク】である。

最初に単体で見つけたときはこれがサザナミのメスとは思わなかった。

Skoubi
【成虫交尾写真】 20121221 埼玉県狭山市 <標高60m>

樹上3~4mの高さで交尾個体を発見。

これにより先ほど見つけた貧相なクロオビが実はサザナミだったのだと判明した。

なんとか下ろして撮影したが、羽を傷つけてしまった。

あの高さで交尾されると流石に中々見つけられない。

Photo
【成虫交尾写真】 20161217 埼玉県狭山市 <標高60m>

こちらも樹上3mほどの高さにて発見。今回は次男が木に登って綺麗なまま捕獲してきてくれた。感謝である(笑)


成虫は12月に出現し半月ほどで姿を消す。

種小名は japonaria(ヤポナリア)。日本の という意味だ。

埼玉では加治~狭山丘陵近辺の記録しかなく、局所的な生息をしていると思われる。

【0041】ハネナガカバナミシャク
Eupithecia takao

冬が終わる頃、カバナミシャクの姿が街灯の下に目立つようになる。

こうなってくるとあと少しでシーズンが始まる。

冬の間、待ちに待った春蛾の登場ではあるが、同定が厄介なこの仲間はスルーしてしまいがちだ。

斑紋だけで特定できない種が多く、素人の僕には敷居が高い仲間である。

そんなカバナミシャクでも一目でソレとわかるのがこのハネナガカバナミシャク。

なかなか渋い斑紋をしていて、ミーハーな僕でも心惹かれるカバナミシャクである。

Sp4083508
【成虫写真】 20120407 埼玉県秩父市中津川 <標高665m>


図鑑には全国各地に普通、と記載してある。

しかし埼玉では入間での記録が1990年に一度あるのみで、以降の記録が全くない。
1990,井上寛. いるま蛾報(5) 寄せ蛾記56:1015-1016

しかも1955に記載したご本人の記録である。


早春の小さい蛾なのでスルーされている可能性が高く、注視していく必要があるだろう。

種小名はtakao(タカオ)。 高尾山のことだろう。

【0038】ウスミドリコバネナミシャク
Trichopteryx miracula

春が来ると街灯の下にはコバネナミシャクの仲間がよく目立つようになる。

そんなコバネナミシャクの中でも大きな部類であるこのウスミドリコバネナミシャク。

薄い緑が早春の山を思い起こさせる(mothprog氏談)味わい深い蛾である。


【ウスミドリナミシャク】と名前は似ているが、全く違う蛾だ。

Sp4083505
【成虫写真】 20120407 埼玉県秩父市 <標高665m>


種小名はmiracula (ミラクラ)。ラテン語で「奇跡」。

食樹は未だにわかっていないようだ。

埼玉での記録は入間市と霧藻ケ嶺。

そんなに数は多くないようで、僕が見たのもこの個体だけである。

【0019】クロオビナミシャク
Pennithera comis

蛾が好きなどとのたまっているが、基本的にミーハー蛾屋の僕は地味で小さい蛾をスルーしがちである。

ナミシャク類などはフユシャクを除くとほとんど撮影してない気がする。


標本を創るのも苦手なのだ。


そんな僕が何の気まぐれか撮っていた数少ないナミシャク。


たぶんこの日は個体数が少なかったんだと思う。

Spb172534
【成虫写真】 20111117 埼玉県秩父市<標高665m>

種小名はcomis (コミス)。ルーマニア語で献身的な という意味があるようだが・・・ 違う感じがする。



基本的に晩秋に見る蛾である。トドマツが食草として記録されている。

低山地から高山帯までごく普通に見られる蛾である。



はずなのだが、埼玉県昆虫誌に記録がない。

こんなド普通種がまさかの埼玉初記録かもしれない・・・

>>>>>>>>>20141212追記
埼玉の報文を調べてみると埼玉県昆虫誌以降に2件の記録があった。
一応3例目にはなるようだ。
阿部功,2013,東京大学秩父演習林等にて採集された蛾(2010・2011年) 寄せ蛾記148:47-63
櫛引睦奥男,2013,埼玉県初記録の蛾類36種 寄せ蛾記149:44-53
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【0017】ナミスジフユナミシャク
Operophtera brunnea

・ナミスジフユナミシャクO.burumata
 が海外のbrumata とは明らかに差異があるということで2種に別れ
・コナミフユナミシャクO.burunnea
・オオナミフユナミシャクO.variabilis
 となったが 中島秀雄,1991.日本産Operophtera属(鱗翅目,シャクガ科)の2新種の記載 蝶と蛾 42(3):195-205

 brumata とは別種だがburunneavariabilis は同種だということで
・ナミスジフユナミシャクO.brunnea
 に落ち着いた種である。中島秀雄, 2010. 日本産フユシャクガの種の再検討 蛾類通信 257:154-158

確かに大きさや斑紋の個体差が大きいので、一見すると別種にように見えてしまうことも多い。

個体数の多さは半端じゃなく、シーズンにはあっちを見てもこっちを見てもナミスジである。

Spc052584
【成虫♂写真】 20111205 埼玉県秩父市 <標高1000m>


メスは羽が退化しており、飛べない。

さらに羽の大きさも個体差がありまちまちだ。

別種と考えたくもなる。

Sp1153007
【成虫♀写真】 20120114 埼玉県小川町 <標高282m>
これは産卵後のメス。腹部の大部分を占めていた卵がなくなったことでホッソリとしている。

Sname
【成虫♀写真】 20121110 長野県軽井沢町 <標高1378m>
こちらは産卵前。まだ腹部に卵が詰まっている状態だ。

S_2
【成虫交尾写真】 20121110 長野県軽井沢町 <標高1378m>
交尾ペア。上記のメスはこの後分離した個体。

種小名brunnea (ブルンネア)は 鳶色 という意味のようだ。 言われてみれば薄い鳶色の個体もいる。

埼玉では三峰での記録しかない。県南部では見たことはない。

しかし珍しい種ではない。探せばもっといるはずである。

以下記録
Spb252551
【成虫♂写真】 20111125 埼玉県秩父市 <標高1000m>


【0009】イチモジフユナミシャク
Operophtera rectipostmediana

初冬に出没するフユシャク。

大体年内は普遍的に見られる。オスには和名が示す通り一文字の外横線が目立つ。

食樹はバラ科とニレ科が記録されている。出現は山地だと11月から、平地だと12月になる。


Spc052571
【成虫♂写真】 20111205 埼玉県秩父市 <標高1065m>

メスはサクラの木でよく見るらしいが、一度だけしか見たことがない。
未撮影。

>>>>>>>>20130121加筆

フユシャク探索をしていたら交尾に出会うことができた。

仕事が繁忙期を迎える中、無理して歩いたのが功を奏したようだ。

メスは小さいながらも緑色の翅がとても美しい。

S
【成虫交尾写真】 20121221 埼玉県狭山市 <標高60m>

フユシャクは大抵の場合、メスが上になってることが多い。

このペアも本来は縦位置撮影で、メスが上だったのだが、画面の都合上回転してあるのでご承知いただきたい。
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>>>>>>>>20141224加筆
♀は翅が緑色と上で書いたが、全身が黒くなる黒化型も存在する。

緑色と比べてみるとその黒さがわかるかと思う。

Sitimojifuyunami
Sblack
【成虫♀写真】 20141223 埼玉県狭山市 <標高60m>
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種小名は rectipostmediana(レクティポストメディアナ)。長い。 recti post mediana で3単語でできているようだ。

そのままラテン語で直訳すると「右の中央の後に」。・・・なんのこっちゃ。

単純に考えて前翅の右側(前縁部のことか)の真ん中の後ろ(外縁部に向かう方?)

に黒点があるので、それを指したものなのか。

他のオペロフテラにこういった黒点はないのでこのことかもしれない。回りくどい言い回しだが・・・


埼玉での記録は3件(入間、大滝、所沢)。報告が少ないだけである。

僕自身はさいたま市、朝霞市、川口市、狭山市などでも確認している。

以下記録

181207
【成虫交尾写真】 20181207 山梨県富士河口湖町 <標高980m>

シャクガ科 ナミシャク亜科
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Trichopteryx
ウスミドリコバネナミシャク



Earophila
ミカヅキナミシャク



Eustroma
ハガタナミシャク



Pennithera
クロオビナミシャク



Operophtera
イチモジフユナミシャク ナミスジフユナミシャク サザナミフユナミシャク
ミヤマフユナミシャク



Eupithecia
ハネナガカバナミシャク




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