ヤガ科 キリガ亜科

【0169】ゴボウトガリヨトウ
Gortyna fortis

「黄金の蛾」

僕はそう呼んでいる黄金色の蛾だ。

普通、黄金の蛾と言えば【キクキンウワバ】である。まさに金箔を貼ったように美しい蛾だ。


しかし「蛾の世界の金」はゴボウトガリヨトウの「鈍く輝く金」だと僕は思うのだ。

煌びやかに輝く金は確かに美しいだろう。しかしそれは蛾の美しさとは違う美しさではないかと思う。

まあ金閣寺より銀閣寺を好む、そんな捻くれた僕の戯言にすぎないのだが。


S131007
【成虫写真】20131007長野県軽井沢町大字軽井沢<標高960m>

秋に出現するこの蛾はあまり多く見られる種ではないように思う。

僕自身は4度ほどしか見たことがない。

幼虫は和名のとおりゴボウを食草とするのだが、ゴボウだけではなく様々な草本類の茎に穿孔するのだ。

この美しいヨトウガ、もう少し良い和名が欲しかったと思う。


種小名はfortis (フォルチス)。ラテン語で「強い」の意味なのだが、ちょっと由来がわからない。

埼玉での記録は少なくない。県西部を中心に新座市まで記録がある。


以下記録
S080928
【成虫写真】20080928栃木県日光市西川<標高600m>

【0163】スジアカヨトウ
Apamea striata

高標高地で7~8月にみかける種である。

【チャイロカドモンヨトウ】や【カドモンヨトウ】に似ているが、

スジアカヨトウは環状紋が扁平で斜めになっている、前翅後縁に平行に黒条紋が見られる、などの特徴がある。

一番わかりやすいのは一見して前翅が木目調という点だ。慣れれば同定に困る種ではない。

食草が未だわかっていないようだ。

S12

【成虫写真】20140724 静岡県小山町須走<標高1600m>

種小名はstriata (ストリアタ)。ラテン語で「縞模様」のという意味。

前翅を形容したストレートな名前である。


埼玉では高標高地に記録が限られている。

【0158】オオアカヨトウ
Apamea lateritia lateritia

本州中部では1000m付近からその姿を見かける大型のヨトウガ。

同じように亜高山性の種が多い日本産のApamea(アパメア)属14種中では最大を誇る。

といっても前翅の色彩は錆びたような色一色でお世辞にも僕の感性では美麗種とは言い難い。

時期があっていて標高さえあれば飛来するケースが多く、有り難味にも欠ける蛾である。


簡単に言えばスルー対象の蛾だ。


平地で逢えるような蛾ではないのだが、高標高地に行くとどうにも「かったるくなって」撮らない採らない蛾が出てくる。

で家に帰って後悔する。これをなんとかしなければいけないとは思っているのだが・・・

S17
【成虫♂写真】20140719 山梨県山梨市牧丘町北原<標高2340m>

イネ科の根茎を食草とするようだ。成虫は7~8月の出現。

種小名はlateritia (ラテリティア)。ラテン語で煉瓦の意。翅色から取ったに違いない。わかりやすい名で助かる。


埼玉では奥秩父の高標高地で記録されている。

【0153】プライヤオビキリガ
Dryobotodes pryeri

秋に出現し、越冬せず冬には死に絶えてしまう秋キリガの仲間である。

Dryobotodes 属(ドリョボトデス?)はこの種しか僕はみたことがない。プライヤですらあまり見ない。

あまり相性のよくない属なのか。

個体変異が意外に多く、白っぽいの個体から黒っぽい個体まで幅広い。

しかし、大きさと出現時期からプライヤオビキリガにたどり着くのはそう難しいことではないはずだ。

S
【成虫写真】20141004埼玉県秩父市三峰<標高700m>

種小名はpryeri (プリェリ、でいいのか?)。 和名にもある『日本蝶類図譜』を書いたPryer, Henry James Stovin,氏(プライヤ- ヘンリー ジェームス ストーヴィン,1850-1888)氏のことであろう。

プライヤー氏の名前を冠した和名は多いが、学名にはそれ以上に多く見られる。

検索したところ日本の蛾類では19種の種小名、亜種名にpryieri がつけられている。

【ミノウスバ】に至っては属名がPryeria だ。

正直な話、昔はプライヤを食樹の樹木か何かなんだろうと勘違いしていた。


食樹はヒメヤシャブシやコナラ、カシワとなっている。

埼玉県での記録は少なくない。浦和でも記録があるようだ。

【0149】オオシロテンアオヨトウ
Trachea punkikonis lucilla

緑と黒の苔を模した前翅に、大きく白い点をあしらった目立つ蛾である。

【シロスジアオヨトウ】よりも自然度の高いところを好むようだ。

種小名はpunkikonis (プンキコニス)  punk=パンク ikonis=教会史上の出来事を画いた画

といったところか。わかるようなわからんような。


このオオシロテンアオヨトウ、分類で紆余曲折があった種だ。

以前はTrachea auriplena lucia (現在のタイリクシロテンアオヨトウ 台湾からヒマラヤに分布)> とされていた。

日本産蛾類大図鑑(1982)でT. auriplena と明らかに異なるということで

新種T.lucilla オオシロテンアオヨトウとされたのだが、

これが台湾の標本をもとに記載されたT. punkikonis であることがわかった。

しかしこの台湾で得られたものとは微妙な違いがあるため亜種の扱いとし、現在の分類になっているようだ。
吉本浩,1987.オオシロテンアオヨトウとタイリクシロテンアオヨトウ(新称)について.蛾類通信142:257-260.


この鮮やかな緑色も標本にすると色褪せてしまうのが寂しい。


色々なところでポツンポツンと見かけるが、何頭も飛来しているというイメージはあまりない。

珍しいというわけでもないが、見つけると少し「おおっ」となり写真に収めたくなる蛾である。

Soosiroten
【成虫写真】20140622常陸太田市下高倉町<標高440m>

初夏と夏の年二化。これは一化目の個体であろう。

食草はミゾソバというタデ科の植物が記録されているようだ。

埼玉での記録は少ない(三峰、宝登山、旧名栗村)が、大滝方面を流してると見かけることがある。

【0146】フキヨトウ
Hydraecia petasitis amurensis

関東中部地方では山地で見られる。(と思っている)

僕の体験だけで語れば1000m以上に限られるが、記録としてはもう少し下でも記録されている。

地味な風合いでスルーされがちな種かもしれない。

似た種に【キタヨトウ】と【スギキタヨトウ】がいる。

食草はアキアブキ、ハンゴウソウといったキク科が記録されている。


Sfukiyotou
【成虫♂写真】20131007 群馬県草津町草津国有林<標高2000m>

以前はHydraecia amurensis という独立種であったが、近年Hydraecia petasitis に統合され、

amurensis は亜種となった。

種小名 petasitis (ペタシティス)はpetasi-tis 帽子? 接尾辞が複数形なので前翅を帽子と見立てたのか。
 

埼玉県では三峰や栃本の高標高地から小川町栗山、日高市といった丘陵地帯でも記録されている。

【0134】アメイロホソキリガ
Lithophane remota

【ナカグロホソキリガ】とよく似た越冬キリガである。

飴色ということで色が薄茶褐色のキリガ。

1998年に記載されたばかりの新しい種だ。TINEA ,15(Supplement 1).1998.

現地で「これはアメイロ!」と断言できることは少ない。アメイロっぽいナカグロが存在するからだ。

怪しいのを採集して家に帰って写真と標本をよーく見比べて「うん、これはアメイロだな」と同定している。


Sameiro
【成虫写真】20140504 山梨県山梨市<標高1400m>


越冬前と越冬後では少し雰囲気が変わる。

越冬前は色が濃く、更にナカグロとの区別が困難になる。

Same
【成虫写真】20131014 埼玉県秩父市小品沢<標高900m>


差異点をナカグロの時も書いたが、いかんせん文字で表すだけではわかりづらい。

ということで差異点をまとめて比較画像を作ってみた。


Sp5043933
【成虫比較写真(越冬後)】上:ナカグロホソキリガ 下:アメイロホソキリガ

他にもアメイロは前翅の幅が狭いという特徴もある。

図鑑に記述されている相違点であるが、肩の部分の記述は僕の私見である。参考程度にして頂きたい。

新しい種のため、記録が少ないが埼玉にも生息している。

僕が知るかぎりは秩父市で記録されている。


種小名はremota< (レモト)=遠隔、辺鄙ななど。要は辺鄙なところにいるリトファネということか。


食草が未だ不明である。近縁種ナカグロホソキリガはサクラで飼育された記録があるが、

アメイロと分化する前の記録であるため、実際はどちらの幼虫かはっきりしていないようだ。


【0124】モンハイイロキリガ
Lithophane plumbealis

シナノキが食草として記録されている越冬キリガである。

普通種、という記述をよく見かけるのだが僕自身は未だ二度しか見たことがない。

リトファネ属の中で北海道にのみ生息する未見の【クモガタキリガ】を除けば私的に一番のレア種である。

北方系のキリガのようで、西日本では高標高地に生息が限られるようだ。

灰色地の前翅に前縁部にある茶褐色の紋が目立つ。同定には苦労しない蛾だ。


S
【成虫写真】20140329長野県軽井沢町県境<標高1378m>

まだ雪の残る氷点下の軽井沢で灯火に飛来した。

氷点下とは思えぬ活発な飛び方は流石越冬キリガといったところであろうか。


越冬前の個体は赤みがかかって美しいようだ。是非そちらも見てみたい。

埼玉でも三峰山や三国峠、入川林道などの標高が高めの所で記録されている。

【0116】キトガリキリガ
Telorta edentata

越冬をしないテロルタ属のキリガである。

おおよそ10月半ばくらいにその姿を見ることが多い秋の蛾だ。

テロータは日本で3種確認されているが、いずれも秋の大体同じ時期に出現する。


地味な仲間ではあるがキリガのシーズンインを知らせてくれる蛾たちだ。


S
【成虫♂写真】20131014 埼玉県秩父市豆焼橋付近<標高980m>

オスの触角には毛束が目立つのがわかるかと思う。


S_2
【成虫♀写真】20131014 埼玉県秩父市豆焼橋付近<標高980m>

同日同所にいたメス。

触角が糸状なのがわかる。色もオスに比べると若干薄いようだ。

食草はナシやクヌギ、アベマキが記録されている。

埼玉では平地から山地まで幅広く記録がある。

【0114】アオバハガタヨトウ
Antivaleria viridimacula

晩秋に出現して越冬せずにそのまま年内で寿命を終える蛾である。

個体数は少なくなく、時期にはよく見かける蛾だ。

緑色の部分には濃淡があるが、他種と間違えることはないと思う。


ただ、名前のうろ覚えにより出現時期が同じでよく見かける

【ミドリハガタヨトウ】や【ホソバミドリヨトウ】と混同してしまうことがあるかもしれない。

Saoba
20131014 埼玉県秩父市出合<標高720m>

オスの触角は微妙に毛束が確認できる。

食草はウラジロガシ、サクラ等が記録されている。


埼玉では平地から山地まで幅広く記録がある。

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