ヤガ科 シタバガ亜科

【0155】オオトウウスグロクチバ
Avitta fasciosa fasciosa

1976年、奇しくも筆者が生まれた年に日本で初記録された蛾である。
杉繁郎,2001. 日本未記録のヤガ3種 蛾類通信 89:471-473

西日本では特に珍しくないようだ。和名の『オオトウ』は和歌山県の大塔山にちなむという。

しかし東日本では記録が散発的で偶産蛾の域を出ていない。

ただ例外的に奥多摩地域では確認例が多く、定着している可能性がある。

埼玉での記録は1例しかなく、細かい報文は確認していないがこの個体が2例目か。

>>>>>>>>>141215追記
2例目の記録が両神山で記録されていた。この個体は埼玉県3例目となる。
神部正博・築比地秀夫・長畑直和,2000. 10月の両神山で得た偶産性ヤガ科蛾類とその背景 寄せ蛾記94:2813-2829
<<<<<<<<<<<<<<<<<<<

どちらにしろ定着している可能性は低いだろう。

はっきりと縁どられた腎状紋が目立つ蛾だ。

S_2
【成虫写真】20141004埼玉県秩父市三峰<標高700m>
林道でのライトトラップに1頭だけ飛来した。

種小名は fasciosa (ファスキオサ)。 ラテン語で fascios=帯状面 という意味らしい。

帯状紋が多いのでそこから命名されたのだろう。

食草はアオツヅラフジが記録されている。

成虫出現期は5~11月となっているが、関東近辺では10月の記録が多いようだ。

この種に限らず、南方種と言われるような偶産蛾は9~11月に記録されることが多い。


【0140】オオシロシタバ
Catocala lara

夏、関東近辺では主に山奥(標高1000m付近?)でひっそりと羽化している蛾である。

北海道ではド普通種の称号が与えられているが、本州では中々出会うことが出来ない蛾だ。

S
【成虫写真】20140821 栃木県那須塩原市<標高1100m>


下翅の鮮やかなカトカラ属の中でも大型の部類に入るのだが、【シロシタバ】よりは小型なのでややこしい。

黒地に白い筋がスッと入る後翅は【ムラサキシタバ】を彷彿とさせるが、紫のインパクトには及ばない。

しかし渋めの前翅と後翅のバランスが素晴らしく、翅を開いた時の総合的な美しさはカトカラ随一である。(と思っている)
S_2
【成虫写真】20140821 栃木県那須塩原市<標高1100m>

カトカラは後翅を見せてナンボと思っている。

故に中々良い写真が撮れないことも多いが、良い写真が撮れた時の嬉しさはまた格別である。

タイミングが良ければすぐ撮れるのだが・・・

このオオシロシタバも随分と苦戦した一枚である。


種小名はlara (ララ)。おそらくはローマ神話の妖精ララであろう。

ララは黙ってれば美しいが、おしゃべりが過ぎて最高神ユピテルに舌を抜かれたという逸話を持つ。

今でもローマではお化け的な扱いで子供を大人しくさせるのに使われるらしい。あまり良いイメージではないなあ。


食草はシナノキ属が知られている。

しかしシナノキ属のないところでも記録があるようで、広範囲の移動をしているようだ。

埼玉では三峰と三国峠に記録があり、いずれも標高1000m以上だ。

【0105】クビグロクチバ
Lygephila maxima

似たような種が多いリゲフィラ属の代表種である。

似たような姿大きさの多いこの属において、この種だけはわかりやすい。

一見して大きいのだ。


普段よく見かける【ヒメクビグロクチバ】等に比べると倍近くある。

いかにもクビグロクチバの親分、といった風貌だ。

S
20130831 群馬県吾妻郡嬬恋村嬬恋高原<標高1160m>

リゲフィラは成虫越冬する種もいるが、この種は越冬しない。

首のあたりが黒く、クビグロクチバの名前の由来となったことは想像に難くない。

樹液に飛来しているのをよく見かける蛾でもある。



memo.....
ヤガ科 シタバガ亜科に分類されています。
埼玉では低地から山地まで幅広く確認されています。


【0073】ムラサキシタバ
Catocala fraxini jezoensis

今更このブログで取り上げるまでもない、人気のカトカラである。

ちょっとググれば様々な昆虫ブログで取り上げられていて人気の高さを窺い知ることができる。

蛾屋なら一度は憧れるカトカラの最上級、カトカリストとでもいうべき種である。



そんな人気のムラサキシタバ、関東近辺の平地ではその姿を見ることはできない。

この蛾に会うためには標高高めの山間部にまで足を伸ばす必要がある。



大きな体躯、美しい後翅、簡単には見られない絶妙なレア度。

ムラサキシタバの人気の高さの秘密はこんなところにあるのかもしれない。




しかし長いドライブを経てようやく出会えたムラサキシタバ。

出会った時、彼らはだいたい翅を閉じている。翅を閉じている時には正直大型で地味な蛾である。
Smurasakisitaba
20111014群馬県利根郡片品村東小川<標高1320m>




うまい具合に脅かすと美しい後翅を魅せてくれるが、やりすぎると飛んで逃げてしまう。

加減が意外と難しいのだ。

だからこそ、その前翅を開き美しい後翅を見せてくれた時の感動は何倍にもなるのだろう。
S_2
20120922群馬県草津町入道沢付近<標高1850m>



こちらはビークマーク(鳥についばまれた痕)のある個体。

ムラサキシタバではよく見かける。鳥に襲われやすいのだろうか?
S
20110918群馬県草津町入道沢付近<標高1850m>





秋の山間部でこの蛾に出会うと少なからず心踊る。

ムラサキシタバはいつになっても初秋のロマンである。


食草はヤマナラシ等のポプラ類。

埼玉では三峰、志賀坂や三国峠で記録がある。

僕自身は八丁峠や中津川沿い、出会いの丘付近でも確認している。


ヤガ科 シタバガ亜科
→目次に戻る

Catocalini シタバガ族


Catocala
ムラサキシタバ オオシロシタバ



Lygephilini クビグロクチバ族


Lygephila
クビグロクチバ



Sypnini シラフクチバ族


Avitta
オオトウウスグロクチバ




→目次に戻る


その他のカテゴリー

無料ブログはココログ