スズメガ科 ウチスズメ亜科

【0181】エゾスズメ
Phyllosphingia dissimilis dissimilis

後翅がはみ出す特異な形状をしたスズメガの仲間である。

同じような形状をしたものに【ノコギリスズメ】がいるが、そちらは灰色一色。違いはすぐに判ると思う。

「エゾ」というネーミングは北海道の旧名、蝦夷から来てると思われるが、寒冷地に特有なわけではなく

九州地方まで記録がある。特にエゾらしさは見当たらない。

エゾ〇〇という種は概してそんな種が多い。もちろん北海道特有の種もいるのだが・・・


新鮮な個体は紫がかってゾクっとするほど美しい。しばし惹きこまれて眺めてしまう。

成虫は5~7月の年一化。初夏の蛾、といったイメージだ。


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【成虫♂写真】20150520 嬬恋村鎌原<標高1200m>


アップで撮ると愛らしい顔をしている。口吻は退化しているようだ。

裏側が意外と派手なのがわかる。

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【成虫写真】20090523 安中市松井田町坂本<標高600m>


交尾は♀が上になる。この辺は蛾の基本パターンだ。
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【成虫交尾写真】20100619 秩父市三峰<標高1000m>

種小名はdissimilis(ディッシミリス)。ラテン語で「異質の」という意味だ。

その特異な外見を評してのことだと想像に難くない。

埼玉では入間市以西に記録が偏っており、最近まで山地の種だと思っていたのだが・・・

つい先日、さいたま市桜区の公園でも採集できた。食樹のオニグルミがあれば生息は可能なようだ。

【0156】ヒメクチバスズメ
Marumba jankowskii

シナノキを食草とするスズメガの仲間である。

同じマルンバ属の【クチバスズメ】や【モモスズメ】に似ているが、

モモスズメは後縁部が黒っぽくなる。クチバスズメは亜外縁線の外側が濃色にならない、などの差異点がある。

私見だが、ヒメクチバは頭部から延びる胸部の黒筋が太くなる個体が多いように思う。

モモやクチバは市街地でも多く見られる一般的な蛾であるが、ヒメクチバは山地に生息しておりあまり多くない。

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【成虫♂写真】20140707 静岡県富士宮市<標高1950m>

オスは腹が細く、鋸歯状の触角に密な微毛があり太く見える。

成虫は6~7月に見られ、他のマルンバと同じくらいの時期である。


種小名は jankowskii (ヤンコウスキイ)。 【ヤンコウスキーキリガ】をはじめ、色々なところに出てくるヤンコウスキー氏である。

が、その正体はさっぱりわからない。蛾類に限れば、1属7種に献名されている。

1属を除くすべての種がOberthür(オーバーテュアー)氏が1880年代に記載している。

ちなみにヤンコフスキーカブリモドキも同じ記載者である。私的な間柄の人物なのだろうか。

昆虫学に精通していない僕には誰だかわからずじまいであった。


>>>>>>>>>140106追記

虫撮記【虫画像・他】のyyzz2さんが謎を解いてくれた。スゴイ。スゴすぎる。

ちなみに僕はこの方に影響されて学名の意味を調べ始めてるのだ。

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埼玉県での記録は大滝や皆野といった山地で記録がある一方、丘陵地といえる狭山での記録がある。


【0135】ウンモンスズメ
Callambulyx tatarinovii gabyae

緑色の迷彩模様が美しく人気の高いスズメガである。

ケヤキを食草とするので、都市部でも見ることができる。

ケヤキ並木のそばのマンションの壁で静止しているのをよく見かける。


ウンモンスズメの雲紋とは何かと検索してみると、どこかで見たことのあるような模様である。

ただ、ウンモンスズメの模様とイメージが一致するかと言われると僕は疑問符がついてしまう。

この辺は時代と命名者のセンスによるものなので仕方ないのかもしれない。

しかし和的で趣きのある名前であることには違いなく、良い和名だと思っている。


Sunmon
【成虫♂写真】20140530 北佐久郡軽井沢町<標高1120m>

美しい緑色は標本にしてしばらくすると茶色に色褪せてしまう。

以前は摂食をしないと思っていたのだが、Youtubeにウンモンスズメが口吻を出して摂食している動画があった。認識を改めなければいけない。思い込みはダメだなぁ・・・


種小名は tatarinovii (タタリノウィー)。 うーむ。人名かな。けど検索には引っかからない。

同じつづりで菌類にも名前がついている。

タタール族という民族がいるらしいが・・・関係ないか。迷宮入り。

埼玉での記録は幅広く、県下全域で生息が確認されている。

【0085】ヒサゴスズメ
Mimas christophi

山地でよく見かけるスズメガの仲間だ。だいたい5月から7月にかけて見られる。

ベースとなる斑紋は瓢箪の形をしており、これがヒサゴの由来となっているようだ。

翅色がくすんだ色から鮮やかなワイン色まであり、綺麗な個体はしばし見とれてしまう。

外縁部もなめらかな個体、ギザギザが強い個体と様々だ。

個体それぞれに違った顔があるような印象を受ける種である。

S_2
【成虫♂写真】 20130527 群馬県吾妻郡嬬恋村 <標高1260m>

おそらく♂であろう。♀はひとまわり大きいようだが、見たことはない(と思う)
------------20130604追記---------
ライトトラップをしたら♀が飛来した。
Sp6044379
【成虫♀写真】 20130603 埼玉県秩父市 1700m>
 
前翅がふっくらしてる感がある。
触角も♂のように微毛が生えてることもなく完全な糸状のようだ。
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種小名は christophi (クリストフィー)。人名だろう。

クリストフ小虎カミキリと関係があるかもしれない。

幼虫はハンノキを食べる。しかし、埼玉では山間部での記録が多く、平野部での記録が見当たらない。

ハンノキで有名なA公園あたりにはいるのではないかと思ったが採集できなかった。

成虫の発生は5~6月。ヒサゴスズメを見るようになると出てくる蛾の量も格段に増えてくる。

いよいよシーズン本格化、を感じさせるスズメガだ。

【0078】オオシモフリスズメ
Langia zenzeroides nawai

日本に産するスズメガの中で最大の大きさを誇る。

その大きさは開張160mmにも及び、翅を広げると大人の手の平サイズだ。

手に乗せてズシっと重さを感じるのはこの蛾くらいのものである。

その大きさは印象強く、【イボタガ】【エゾヨツメ】と並んで春の三大蛾と称される。

そんな魅力的なオオシモフリスズメ、分布が西日本に偏っている。

関東住みの僕がこの種に会うためには、片道4時間かけて東端の産地へ赴かなくてはならない。

発生期間は短く、3週間ほど?であろうか。

その中で週末は2~3回。 天気が崩れたらアウトである。


幾多の難関を乗り越え、やっと出会えるオオシモフリスズメは格別である。

Sp4193409
【成虫♂写真】 20130419 長野県<標高540m>

上記個体は♂。交尾器の形が非常によくわかる種だ。

対する♀は♂よりも大きく、存在感が圧倒的である。

Sp4182487
【成虫♀写真】 20090419 長野県<標高450m>

何年か通っているが、ここ最近同じような目的の方と会うことが増えてきた。

人気種とはいえ、蛾への関心が高まってきたことは素直に嬉しく思う。


が、同時にライバルが増えたのだと考えると複雑・・・

勝手なものだw

種小名はzenzeroides(ゼンゼロイデス)。 意味がまったく解らない。 

Zを使用するのはギリシャ語由来であることが多いのだが。。。 

無理矢理分割すると zen=禅  zero=ゼロ。 両方ともインド由来の言葉であるが・・・

やめておこう。迷宮入り。

長野南部が西端となっていたが近年新潟でも記録されている。

埼玉では記録されていない。

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