シャチホコガ科 トビモンシャチホコ亜科

【0177】アオセダカシャチホコ
Euhampsonia splendida

黄色と黒褐色をあしらい、更に白で縁取った美しいシャチホコガの仲間だ。

セダカの名の通り、鶏冠が特徴的で数多に飛来する蛾の中では目立つ存在である。

同じ属で色違いの【セダカシャチホコ】よりはずいぶん小さく、一見して見分けがつくだろう。

同定に困る種ではないと思う。

130602
【成虫写真】20130602埼玉県秩父市中津川<表国600m>

以前はセダカシャチホコと共にRabtala 属(旧Lampronadata 属)に分類されていたが、

Schintlmeister & Lai(2001)により以前から近縁と見られていたEuhampsonia 属に移された。

Rabtala 属はシノニムとなり現在は使われていない。


種小名はsplendida (スプレンヂダ)。ラテン語で「明るい」の意。

セダカシャチホコより明るい黄色部分を評してのことだろうか。


春と夏の年二化で、食樹はブナ科で記録があるようだ。

埼玉でも記録が多いが、完全に県西部に偏っている。

【0166】クビワシャチホコ
Shaka atrovittatus atrovittatus

首から前翅にかけての黒帯が特徴的なシャチホコガの仲間である。

カエデの仲間を食草としており、都市部で植栽されているカエデでも発生しているので

意外と市街地でも見ることができる蛾である。

もちろん山間部でも見ることは多く、灯りに飛来してることの多い蛾だ。

Skubiwa
【成虫写真】20140622常陸太田市下高倉町<標高440m>

クビワの由来と思われる黒条紋に気を取られがちだが、前翅の色彩もよく見ると美しい。

種小名はatrovittatus (アトロウィッタツス)。ラテン語でatro=「暗い、黒」、 vittat=「チャプレット」の意。

チャプレットとは何ぞや?と思って検索してみると、日本で言えば数珠のようなものらしい。

黒い数珠。和名とほぼ同じ意味だ。やはりこの黒条紋は目立つのだろう。


埼玉県では全域で記録されている。

【0161】ツマキシャチホコ
Phalera assimilis assimilis

似ている種が多いPhalera (ファレラ)属の代表種である。

その枝が折れたような頭部と前翅は一度見たら忘れないだろう。

ブナ科のいくつかの樹木を食樹としている。平地から山地まで住む場所をあまり選ばない。

住宅地でも見られ、アパートやマンションの廊下に落ちているのを見ることがある。


S11
【成虫写真】20140726 新潟県魚沼市大湯温泉<標高280m>

ツマキシャチホコに至るには翅頂の大きな黄斑が重要だ。

黄斑と銀色部分の境目を縁取るラインが赤茶っぽく(タカサゴとムクは黒い)

黄斑を千葉県と見立てると犬吠崎のあたりが広くなっていて尖らず丸みを帯びる(クロは狭く尖る)


ツマキシャチホコは全国的に生息している。ムクは北海道で記録がなく、

クロやタカサゴは関東南部以西に生息するという比較的南方の種である。

この関東南部とは具体的にどこを指すのかはわからないのだが・・・(ちなみに埼玉ではどちらも記録がある)


種小名はassimilis(アッシミリス)。assimil=フランス語で同化。擬態を評してのことだと推測に難くない。

このassimilisとい種小名は、様々な種で使われている。アカボシゴマダラもassimilisである。


埼玉でも広く多数の記録がある。


【0110】ウスグロシャチホコ
Epinotodonta fumosa

夏に現れる亜高山の蛾である。

本州では数があまり多くないようで、確かによく見かける蛾ではないように思う。

標高を上げたところでしか見たことがないので僕の中では亜高山蛾になっているのだが、

実際はどうなのだろうか。


食草は
ウダイカンバ、ダケカンバ、ヤシャブシ、ミヤマハンノキ、カワラハンノキ、シナノキが記録されている。

Susuguro
20130823 山梨県<標高1000m>
オスは触角が微妙に太く、微妙に毛が生えている。

S100807
20100807 群馬県草津町<標高2000m>
比べるとメスの触角は細いのがわかるかと思う。

触角だけで現地で識別するのは難しいかもしれない。


僕は埼玉で見たことがないが、秩父市(おそらく三峰)で記録されている。

【0109】タカムクシャチホコ
Takadonta takamukui

タカムクという名前は標本提供者の高椋悌吉氏に由来しているという。

同じく【テイキチシャチホコ】というシャチホコガにも名前がついており姓名を制覇している。

日本特産種らしく、8月のブナ帯に出現する。

翅色が銀色っぽく渋い色合いの蛾だ。

似た種に【ウスグロシャチホコ】がいる。ウスグロのほうが色が濃いのでメリハリが強く、

前翅の翅頂部分と基部あたりで色が極端に明るくなる。

外横線がタカムクは直線的であるのも特徴と思われる。

Stakamukusyatihoko
20130503 埼玉県秩父市中津川<標高690m>

ブナ帯に固有なので北海道では見られないらしい。

気軽に行けるブナ帯が少ない埼玉でも記録の少ない蛾だ。


memo.....
シャチホコガ科 トビモンシャチホコ亜科に分類されています。
埼玉では西部に記録が偏っています。

【0108】アカネシャチホコ
Peridea lativitta

春によく見るイメージが強いシャチホコガだ。

実際には春と夏の二化であるため、8月にも見られるのだが印象が薄い。

ペリデア属は似ているのだが各々に特徴的な箇所があるのでわかりやすい。

アカネシャチホコの特徴は美しい純白の後翅だ。

S
20100501 埼玉県秩父市荒川上田野<標高250m>

食草はミズナラが記録されているが、低標高地でも生息を確認している。

他の記録を見ても、ミズナラが生えていないようなところでも採れている。

他にも食草があるのだろうか?

----20131013加筆---------------------------------------------

クリについている幼虫が報告されていた。
(中島秀雄, 2013. 蛾類の食草記録. 誘蛾燈 212:59-64.)

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純白の後翅と上に書いたが、メスは少し黒ずんでしまう。

注意しないと間違えてしまうかもしれない。

S_2
20130823 埼玉県秩父市入波沢<標高650m>

オスと比べると一回り大きく同じ種には見えない。

前縁付近の外横線が目立つところに注目するとアカネシャチホコだということがわかる。



memo.....
シャチホコガ科 トビモンシャチホコ亜科に分類されています。
埼玉では西部に記録が多数ありますが、食草のミズナラ分布域を超えても記録があります。

【0082】アマギシャチホコ
Eriodonta amagisana

天城越え で有名な伊豆天城山から名前をとったシャチホコガだ。

ブナ帯に棲息するためソコソコの標高がないと会うことができない。

しかも春の短い期間(GW前後)にしか姿を見せないので時期を外すとまた一年お預けだ。


地名のつく蛾に弱い僕はこの蛾が大好きであり、毎年この時期は探してしまう。

コントラストの強い前翅は僕の心を掴んで離さない。

S
20130503 静岡県富士市<標高1475m>

♂の触角が櫛歯状。黄色がかった翅色が美しい。

S_2
20110508 埼玉県秩父市三峰<標高1000m>

♀は触角が糸状で丸みを帯びた翅形だ。色も白っぽく控えめな印象を受ける。

人間の僕からみても女性的なフォルムである。(個人の感想です)

アマギシャチホコとの出会いは渋めの種の良さを教えてくれた。

この出会いが僕を一段深い蛾の世界へ導いてくれた、と思っている。


memo.....
シャチホコガ科 トビモンシャチホコ亜科に分類されています。
埼玉ではGW付近に標高1000m辺りでその姿を目にします。
エリオドンタ属はこのアマギシャチホコだけ。日本固有種です。

シャチホコガ科 トビモンシャチホコ亜科
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Phelerini ツマキシャチホコ族

Phalera
ツマキシャチホコ



Heterocampini トビモンシャチホコ族

Takadonta
タカムクシャチホコ



Epinotodonta
ウスグロシャチホコ



Shaka
クビワシャチホコ



Peridea
アカネシャチホコ



Eriodonta
アマギシャチホコ




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