春キリガ

【0125】クロミミキリガ
Orthosia lizetta

春キリガのオルトシア属に分類されている。少し小さめのキリガだ。

写真で見ると【ホソバキリガ】【クロテンキリガ】【ブナキリガ】【ヨモギキリガ】【ミヤマカバキリガ】など似ている種が多く、

特徴的な斑紋が出ていないとお蔵入りになってしまうこともある。

Skuromimi
【成虫♂写真】20140403山梨県北杜市大泉町<標高1120m>

ここまで特徴が出ていると簡単にクロミミと判断できるのだが・・・

個体変異がとても多く一筋縄ではいかない。


ちなみに僕がクロミミキリガに至るまでのプロセスとして


・大きさ的にはヨモギ≧ミヤマカバ≧ホソバ≧クロミミ≧ブナ・クロテン 

 ある程度キリガを見慣れているとヨモギとミヤマカバはすぐ候補から外せる。


・外横線がカクっと曲がっている
 
 ここでもヨモギは外れる。ブナもここで消える。


・クロテンは翅長が尖り、前翅の幅が狭い

 ここで該当していなければクロテンが消える。


残るはホソバキリガ。いくつか僕が違ってると思う点、図鑑に載っている相違点を挙げてみる。
・ホソバは一見して大きい個体が多い(クロミミサイズも存在する)
・触角がクロミミのほうが発達している(メスには使えない)
・クロミミは色が薄く白っぽい個体が出る(ホソバには出ないがクロミミはそうでない個体もたくさん)
・クロミミは外横線を黒紋が挟む(ならない個体も)
・クロミミは腎状紋の下側(生体では胴体側)が黒くなる(ならない個体も)
・クロミミは外縁がスラっとしているのに対しホソバは僅かに波打つ(僕の持論なので当てにならない)

ここまで照合しても判断に困るようなら諦めたほうがいいだろう。

食草は様々な広葉樹が記録されていて広食性のようだ。

埼玉でも川口、浦和から三峰、入川まで広く記録されている普通種である。

【0123】アトジロキリガ
Dioszeghyana mirabilis

非常に局所的な分布をする種である。

食草はカシワやサクラ・カシなどが記録されており、どこにでも生えている馴染み深い樹木だ。

しかしアトジロキリガはどこにでもいる種ではなく、生息地が点々と記録されているにすぎない。

自然度が高い所にしか棲めないのかと思いきや、都市近郊の雑木林に記録があったりする。


僕がこの珍品キリガに出会ったのもそんな都市近郊の雑木林であった。

S
【成虫♂写真】20140327 東京都東大和市<標高130m>

新たなポイント開拓のために車で流していたところ、蛾の群れている水銀灯を見つけた。

飛来していたのは【アカバキリガ】や【カバキリガ】、【チャイロキリガ】に【シロヘリキリガ】などの所謂普通種であった。

その中に一頭、小さくて見たことのないキリガが落ちているのに気がついた。

「なんだこれ・・・ 見たことないぞ」

その小さなキリガは翅を震わせ飛ぼうとした。白い後翅が見えた。

「アトジロ!!!!」

そこでやっと気がついたのだった。


この思いがけない出逢いにはとても興奮した。

家に帰って調べるとどうやら同じ所で複数撮影してる方がいらっしゃった。安定して発生してると思われる。


埼玉での記録も単発的で浦和と飯能で採集されている。


【0087】シロヘリキリガ
Orthosia limbata limbata

春に出てくるオルトシア属のキリガである。

平地から山地まで普遍的に生息するキリガであるが、僕との相性が良くない。

どうもオルトシアには相性が悪いのが多い気がする。


一見【ゴマフキリガ】に似ているが、茶褐色のゴマフに対しシロヘリは完全な白黒の蛾である。

それを知っていれば見分けるのに問題はないだろう。

食餌もサクラ、クヌギコナラとどこにでもあるような樹木である。


S
201300318 埼玉県秩父市大滝<標高860m>

結局僕はこの個体だけしか撮影したことがない。

オルトシアが寄り付かないフェロモンでも出ているのだろうか・・・



memo.....
ヤガ科 ヨトウガ亜科に分類されています。
3月ころから出始めるようです。

【0075】ホソバキリガ
Anorthoa angustipennis

秋に羽化する越冬キリガとは違い、春に羽化してくる春キリガ。

その中でも先陣を切って羽化してくるのはこのホソバキリガだ。

春キリガ界の特攻隊長、と言って良いかもしれない。


糖蜜にも集まり灯下にもやってくる。キリガを採集しているととにかく良く見る蛾だ。


Sp2262910
20130226埼玉県狭山市<標高90m>
こちらは♂。

Sp2262908
同じ所にいた♀。

フユシャク探索をしていたら樹液に惹かれてやってきていた。
♂は触角が♀に比べ毛深いのがわかるかと思う。


memo.....
ヤガ科 ヨトウガ亜科に分類されています。
2月の中頃から出始め、山間部では5月頃まで見られます。
埼玉でもたくさん記録がある普通種です。

【0059】カシワキリガ
Orthosia gothica jezoensis

春に出現するオルトシア属のキリガ。越冬しないキリガである。

画像検索するとたくさん出てくるので、かなり普通に見られる種のようだが僕はあまり見たことがない。

僕の目にだけにしかわからない強烈な擬態でもしているのだろうか・・・

変異があるようだが、環状紋を黒く縁取る 【】 模様が印象的な種だ。

 S120409k
20120429群馬県片品村丸沼<標高1400m>

オスの触角は強く櫛歯状になっているのがわかると思う。


memo.....
ヤガ科 ヨトウガ亜科に分類され、春に出現。
埼玉では見たことがありませんが、嫌われてるだけでしょう。

【0058】キンイロキリガ
Clavipalpula aurariae aurariae

平地にも山地にも産する普通種の春キリガ。

黄金色、とまではいかないが鈍い金を思わせるメリハリの効いた前翅が特徴的だ。


灯下に良く集まり、遠目で見ると一瞬「ん?なんだあれ!   ・・・キンイロかぁ」と思わせることもしばしば。

春の探索にはつきもののキリガのひとつだ。

S
20120429群馬県片品村丸沼<標高1400m>
よく見ないとわからないが、オスはメスに比べ若干触角が毛深い。


S110508
20110508埼玉県秩父市豆焼橋付近<標高1065m>
対するメスは糸状の触角だ。

近年、台湾産が亜種とされその他に生息するのは原名亜種となったようで、これにより学名が

Clavipalpula aurariaeから

Clavipalpula aurariae aurariae に変更になったようだ。
              亜種名


memo.....
ヤガ科 ヨトウガガ亜科に分類され、春に出現。
埼玉では4~5月に見られます。

【0056】ミヤマカバキリガ
Orthosia incerta incognita

冬の通行止めが解除され、意気揚々と赴く山中のポイント。

そんな時期と場所にこの種はちょうど現れる。

写真で見ると【ホソバキリガ】と酷似しているのだが実際会うと

「あぁ コイツはミヤマカバだ」となんとなくわかる不思議な蛾だ。


ホソバキリガを汚したようなデザインだが個体変異が多い。

白っぽいのやオレンジ気味のまでいて色とりどりに山奥の春を告げてくれる。


S120429
20120429群馬県片品村丸沼<標高1400m>



memo.....
ヤガ科 ヨトウガ亜科に分類され、春に羽化します。
関東では標高の高いところ(1000m~くらい?)に生息しています。

以下記録
S1204292
20120429群馬県片品村丸沼<標高1400m>


【0050】マツキリガ
Panolis japonica

春に出現する春キリガである。

羽の赤い模様は他種にはない独特の風合いを醸し出しており、一目でソレと同定できる蛾である。

だいたいちょこんと止まって僕らを待っているが、待つキリガではなく松キリガ。

お間違いなきよう。

S
20120413山梨県<標高1050m>


オスは触角にわずかだが毛が生えている。メスは未見。


memo.....
ヤガ科 ヨトウガ亜科に分類され、春に出現します。
幼虫はマツを食樹としています。

マツなんてそのへんにあるのでどこにでもいそうですが、中々いないんですよねぇ。
埼玉で見たことないかも。いないことはないでしょうがね。

【0049】イイジマキリガ
Orthosia ijimai

和名に人名がつく蛾というのがいる。発見者の名前だったり発表者の名前だったり。

イイジマキリガもそんな種のひとつだ。


おかげで?夜の森の中で「いた!イイジマ発見!!」とか叫ぶハメになる。

事情を知らない人は行方不明者の捜索かと思うのではないだろうか。


そんな採集者の事情はさておき、このイイジマキリガ。赤茶に白がうっすらと入った気品のある蛾である。

なかなか出逢えない・・・ と思っていたが初遭遇以来、僕は毎年見てる気がする。縁のある蛾だ。


S
20120415長野県軽井沢町大字軽井沢<標高960m>

♂は触角が若干櫛毛状であるがこの個体は上手く撮れてない。
標本にしてあるが、♂である。

おそらく毎年見てるのはこのポイントにこの時期毎年来てるからである。

安定して見られるポイントだ。


白がうっすら、とは書いたがあまり白が入らない(擦れてる?)個体もいる。
こちらは♀なのだが、♀がこういう色なのかとおもいきやそうでもないようだ。
Sp5033364
201090503長野県軽井沢町大字軽井沢<標高960m>

個体変異があるが、ひとことで言ってしまえば赤茶色で頭でっかちな印象の蛾である。


memo.....
ヤガ科 ヨトウガ亜科に分類され、4月から5月上旬に出現します。
ポイントに行けば見ることはたやすいようですが、中々そのポイントが・・・
僕が知るポイント(3つしかありませんが)は全て標高1000m付近です。
埼玉県でも記録がありますが、僕は見たことありません。

以下記録
S_3 Sp4133543 Sp4153574_2
20090404栃木県日光市中宮祠<標高1260m>        20120413山梨県<標高1050m>               20120415長野県軽井沢町大字軽井沢<標高960m>

【0047】ゴマフキリガ
Orthosia coniortota coniortota

春のキリガ。比較的見ることが少ないキリガだ。

本州で関東以北の山地に生息しているが分布は局所的。

そう簡単にお目にはかかれない。


小さくて【シロヘリキリガ】に似ているが、こちらは茶褐色。シロヘリは白黒である。

薄茶褐色からコントラストが大きい個体まで変異が激しい。

Sp4133529
20120413山梨県<標高1000m>

メスは触角が糸状らしいが未見。

標本画像
S_4

成虫♂


memo.....
ヤガ科 ヨトウガ亜科に分類され、春に出現。
埼玉県でも記録があります。
僕も見ただけならあります・・・

以下記録

Sp4247822
20110423山梨県山梨市三富川浦上広瀬<標高1190m>

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