カギバガ科 カギバガ亜科

【0183】ホシベッコウカギバ
Deroca inconclusa phasma

♂と♀で少し斑紋の濃淡があるが、透き通る翅が美しいカギバガの仲間である。

普遍的に分布するヤマボウシなどを食樹とし、年3化と春から秋まで、平地から山地まで見られる蛾のようだが・・・

私的遭遇率は低めである。それだけに遭遇した時は嬉しく思う蛾のひとつだ。


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【成虫♀写真】20150530 高萩市花貫<標高370m>

♀は♂より薄く、儚さを感じさせる美しい蛾である。♀ではあるが、櫛のような触角が目立つ。

♂は何度か遭遇しているはずだが、単体では撮影していなかったようだ・。次回以降の課題としよう。

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【成虫交尾写真】撮影日時不明 那須塩原市青木<標高350m>

場所の記憶はあり、2008年頃に撮ったはずだがどうにも元画像が見つからない。

縮小保存した画像はあるものの日付で分けた元画像フォルダには見当たらないので正確な日付は不明とした。

種小名はinconclusa (インコンクルサ)。スペイン語で「未完」の意があるようだ。

薄く透けた斑紋はまだ完成していない、ということだろうか。


以前、この種は♂と♀が別種とされており、♂はホシベッコウD. inconclusa

♀がウスボシベッコウD. phasma とされていた。

しかし井上(1955)によりウスボシベッコウは全て♀ということがわかり、同種とされた。

さらには第一化の大型個体も別種D.decisa とされていたようでこれも併せて同種とされた。
井上寛,1955.蛾類の学名覚え書き(5 ).蝶と蛾 6:12.

この時点ではインド原産のD. inconclusa とは別種とされ、D. phasma の学名が充てられていた。

現在はD. inconclusa の亜種とされ、phasma の名が亜種名として残っている。


埼玉では秩父や皆野町といった西部での記録がある。

【0182】ヒメハイイロカギバ
Pseudalbara parvula

他のカギバガとは少し違った姿形、独特な止まり方をする。ちょうど親指の爪のような大きさと形だ。 

カギバガの中ではかなり小さい方で、他種に見間違うことはないと思う。

クルミの仲間を食樹とし、春から初秋まで山間部の灯下採集ではよく見る種だ。

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【成虫写真】20150604 片品村丸沼<標高1400m>

ヒメ〇〇〇、とヒメという冠詞が和名につく昆虫は対象の〇〇〇より小さい、ということが殆どである。

しかしこのヒメハイイロカギバは対象となるハイイロカギバという和名の種が存在しない。

Pseudalbara 属は他に1種、P. fuscifasciaという種が中国に分布しているがこれが倍くらい大きいのである。

この種がハイイロカギバ、というころになるのだろうか?

しかし和名であるからには日本にいるものを基準とするのではないかと思う。

中国の種をオオハイイロカギバとすればいいような気もするが…

ヒメはカギバにかかっていてカギバガのどの種より小さいという意味だろうか?

真意は命名者に聞いてみるしかないのかもしれない。


種小名のparvula(パルブラ)。ラテン語で「少し」の意味。

「小さい」ならわかるが「少し」とはちょっと不可解である。翅頂に少し見える模様のことを指しているのだろうか?

>>>>>>>>>160315追記

yyzz2さんより「とても小さい」 の意味であるとご教示いただいた。(平嶋,『生物学名辞典』,p.222)

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埼玉での記録は西側に偏っているが、つい先日さいたま市の公園で採集できた。

【0176】モンウスギヌカギバ
Macrocilix maia

2014年1月、『鳥の糞に集まるハエが前翅に描かれている』ということで少し話題になった蛾である。

しかし、その画像を見ると同種ではあるものの日本産ではなくマレーシアのキナバル山産のM.maia であるようだ。

日本のものはハエの頭部分が非常に小さく、殆どハエには見えない。

亜種に分かれていても良さそうなくらいの違いが見て取れるのだが、今のところ亜種には分かれていない。

本種は東北地方を北限としてインド北部まで広く生息する蛾となっている。

アラカシを食樹とし、関東地方では比較的少ない蛾のように思う。

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【成虫写真】20090608東京都西多摩郡檜原村<標高400m>

以前はArgyris maia という種だったが、1976年にHollowayによってMacrocilix maia となった。

Argyris maia の模式産地がGensanとなっており、これは北朝鮮の元山市(ウォンサン市)のことだと

mothprogさんよりご教示いただいた。これを見ると北朝鮮のM.maia は日本のものに近い印象を受ける。

Macrocilix maia を画像検索すると、いろいろな地域のモンウスギヌカギバが見られる。

ざっと見ると南方の物ほどハエの頭が大きくなる傾向があるように思う。


種小名はmaia (マイア)。春を司る豊穣の女神マイアのことだと思われる。


埼玉では大滝村、横瀬町、寄居町での記録があるが、僕自身は埼玉では見たことがない。

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