【0180】イボタガ
Brahmaea japonica
【オオシモフリスズメ】【エゾヨツメ】と並び、春の三大蛾と称される蛾である。
その妖艶で美しい前翅は愛好家にとても人気が高い。何度でも逢いたくなる、そんな蛾のひとつである。
人々が桜の開花を待つように、蛾の愛好家はイボタガの羽化を心待ちにするのだ。
イギリスの近縁種Brahmaea hearseyi はowl moth(梟蛾)と呼ばれ、
独特の前翅は梟に似せていると考えられている。
【成虫♂写真】20150327東京都東大和市<標高130m>
だいたい3月ごろから見られる蛾である、と知識では知っていたのだが、
今まで出会ったイボタガは全て関東の山間部で4月中旬から5月初旬にかけてであった。
ということで、関東でイボタガを見るのは4月からが本番だと思っていた。
しかし今回の遭遇で関東でも平野部では3月にも発生してることがわかった。
イボタガのシーズンは3月からというのを実感した日でもあった。
【成虫♀写真】20140421長野県下伊那郡阿南町<標高530m>
♀はかなり翅面積が広い。丸みを帯びた翅形となる。
幼虫はモクセイ科のイボタノキやキンモクセイ、ネズミモチなどを食べて育つ。
都市部にもある樹木だが、都市部では生息が難しい。
稀に植栽されたばかりのキンモクセイから発生することがあるが、継続した生息はできないようだ。
種小名は japonica (ヤポニカ)。 日本のという意味だ。
以前は台湾や大陸に生息する1.5倍程度の大きさを誇るBrahmaea wallichii の亜種とされていたが
今は別種とされており、日本固有種である。
以前はBrahmophthalma という属名を使用していたのだが、いつの間にか短くなっている。
埼玉県では西側に記録が偏っているが、東側でも散見される。