環境省RDB指定種

【0202】クロフカバシャク
Archiearis notha okanoi

環境省のRDBでは絶滅危惧II類(VU)に指定され、永らく記録が途絶えていた。

しかし2015年に青森で再発見され、一躍蛾屋の間で話題になった蛾である。
工藤 誠也, 工藤 忠,2017.東北地方におけるクロフカバシャクの再発見.やどりが (253):2-5
著者のブログ→青森の蝶たち

その後、長野で生息が確認され、新たに記録された。
四方 圭一郎・青木 由親・工藤 誠也,2016.長野県で発見されたクロフカバシャク(シャクガ科,カバシャク亜科).蛾類通信 (280):121-124

さらに秋田県でも記録されるなど
梅津一史,2017.クロフカバシャクを秋田県で採集 .誘蛾燈 (230):101

採れだすとどうやら既知の発生期より実は一か月ほど早いのではないかということがわかってきた。

兎にも角にもクロフカバシャクはここ数年蛾屋の心をざわつかせていたのだった。


僕もミーハー蛾屋のはしくれとして是非この手にそして写真におさめたいと思い、長野で発見されたという産地へ向かった。

まだ雪が残る山間部だが、この日は20℃に近い晴天。コンディションは良いと思われた。

到着して10分、視界の奥に目立つ飛翔体が舞う。


「あれか」


自分の短い竿では届かないところだったので見送った。しかし、どういうものかはわかった。

【カバシャク】を採集したことのある人ならわかるだろう。アレと同じである。


その後、5分も経たないうちに近くを横切る橙色の飛翔体。

ロックオンして落ち着いてネットを振る。


よし!!

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【成虫♂写真】20180326長野県<標高 1100m>

なんとか一発で仕留めた。クロフカバシャクの名の通り、カバシャクより黒味が強い。

それは裏面にも表れていた。

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【成虫♂写真】20180326長野県<標高 1000m>

黒部分が明らかに多い。似ているが差異点を抑えれば間違うことはないだろう。

さらに♂は触角の差異があり、同定に役立てることができる。

S
【成虫♂写真】20180326長野県<標高 1000m>

このような両櫛歯状の触角はクロフの特徴である。

場所を少し変える。

現場で落ち合う予定だった蛾類学会会長とA氏が先に到着していた。

二人ともひとつづつ採集したとのこと。その後三人で歩くが飛んでいるのは越冬明けの蝶ばかりだ。

長いこと何も採れない時間帯が続く。まだ盛期にはちょっと早かったのか… 少しダレてくる。

A氏がまたひとつ採ったようでニコニコしながら三角紙に入れている。

いいなぁ。。。


その直後、僕の目の前に橙色の飛翔体が舞い降りる。

どうやら吸水に来たようだ。

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【成虫♀写真】20180326長野県<標高 1100m>

なんと二つ目はメスであった。またメスを採ってしまった。

僕をメスハンターにでもさせるつもりであろうか。

合計二個体を採集しこの日の採集行は終わった。少ないが成果がないよりは百倍マシである。


食餌はヤマナラシなどのヤナギ科。カバシャクのカバノキ科とはここでも違いがある。


種小名はnotha (ノーダ)  いろいろな種の種小名に使われているようだがよくわからない。


現状では青森・秋田・岩手・長野でのみ記録されており、埼玉では記録がない。

【0200】カバシタムクゲエダシャク
Sebastosema bubonaria

 
 「カバシタムクゲエダシャク」

蛾屋でなくとも名前くらいは聞いたことがあるかもしれない。

♀は1992年、♂に至っては1970年以来ずっと見つかっていなかったまさに「幻の蛾」である。

2008年からフユシャクを始めた僕であるが、半分UMA扱いのこの蛾を真面目に探しに行ったのは一度きりだ。

痕跡すら見つけることのできなかった僕らは、それ以来カバシタカバシタと言うものの殆ど何もしていなかった。


諦めていたのだ。


しかし、あの2016年3月17日にすべては一変した。


昼前、親交の深いY氏から一報が入った。

「やった!!」の文字と共に送られてきた画像に写っていたのは紛れもない、毒瓶に入っているカバシタムクゲの♂であった。

僕らは色めき立った。蛾LOVE氏に連絡を取り、次の日に向かうことにした。

翌日は金曜日であったが、もちろん仕事などしている場合ではない。


2016年3月18日、僕らは彼の地へ向かった。ミノムシ研究者のN氏、むし社のK氏も一緒だ。

彼の地には昨日Y氏と一緒に採集をしていたフユシャクの第一人者、中島秀雄氏がいた。

5人で彼の地を歩く。


8時45分。橙色の飛翔体が目の前を飛ぶ。

「いた!あれだ!!」口々に叫ぶ。走る。振り逃がす。

その後も橙色の飛翔体は僕らを嘲笑うかのように飛び回る。


速い。とても追いつけない。

ネットなどほとんど振らない僕らに採れるシロモノではない。

10数個体を見るも5人のネットに収まった個体はいなかった。


11時を過ぎると飛翔体もなくなった。一行にあきらめムードが漂い始めたその時である。


「おーい!!!!」


50m先くらいの林縁部から中島氏の声がする。というかこんなに大きい中島氏の声を僕は今まで聞いたことがなかった。

「採ったか!?」

一行は慌てて中島氏のもとへ駆け寄る。


満面の笑みを湛えた中島氏が指さした先に・・・  いた。

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【成虫♀写真】20160318

いた。本当にいた。幻ではなかった。

人は興奮しすぎると立てなくなる。僕はこの時知った。脚が震えるのだ。

皆で記念写真を撮り、談笑する。素晴らしいひとときだ。

大きな、とても大きな収穫を得た僕らは林内を歩く。

蛾LOVE氏がいきなり僕を指さす。「ああああああ!!!いたああ!!!」

振り返るとそこに・・・ いた。

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【成虫♀写真】20160318

まさかの二個体目。しかしこれは悔しかった。僕のすぐ後ろにいたのだから…


卵を皆で持ち帰り育てることに。

飼育の顛末はこののち発行された日本の冬尺蛾

中島 秀雄 · 矢野 高広,2016.日本におけるカバシタムクゲエダシャクの再発見について.蛾類通信 (278):65-67
中島秀雄・阪本優介・松井悠樹・中 秀司, 2017,カバシタムクゲエダシャクの幼生期, TINEA 23(6)

もしくは蛾類学会コラム7 「なに食ってるか分からない蛾」を飼育して実験材料にする(1) 幻の蛾、カバシタムクゲエダシャクをご一読願いたい。


一年後、各人の家庭で続々と羽化するカバシタムクゲエダシャク。

我が家でもいくつかの個体が羽化した。実は今まで♂と♀が同一種である、という確証はなく推定であった。

この時初めてカバシタムクゲエダシャクの雌雄とされていた蛾は同一種だと確定したのだ。

P3060335
【成虫♂写真】飼育羽化

2017年3月、再び僕らは彼の地にいた。

今度は処女♀を持ち、コーリングに寄ってきた♂を採る作戦だ。

あれだけ苦労したのが何だったのかのように♂はたくさんやってくる。

Kabashitapea
【成虫交尾写真】20170321

野生の♂も採集することができた。


そしてまた一年後、僕は自分の手でようやく♀を採集することができた。
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【成虫♀写真】20180315

幻の蛾は眠りから覚めた。知見も増えた。これからは新産地も発見されるに違いない。

しかし幻の蛾がまだ幻の時に出会えたあの興奮、足に力が入らなくなったあの興奮は一生忘れないであろう。

僕の蛾人生に刻まれた出来事であることは間違いない。

種小名はbubonaria(ブボナリア)。まったくもってわからない。それでいい。

学名の意味くらいは謎のままでいい。


埼玉では一例、さいたま市田島にて♀の記録がある。次は埼玉での再発見を成し遂げなくてはいけない。

まだまだ僕とカバシタの付き合いは続きそうだ。

【0195】クワトゲエダシャク
Apochima excavata

目にする機会の多い【オカモトトゲエダシャク】に酷似した種である。

戦前はクワの害虫としてその名を馳せたが、桑畑の減少により生息地は急減した。

近年は点々と記録があるにすぎないレア蛾となってしまった。

環境省のRDBカテゴリでも準絶滅危惧(NT)に指定されており、生息地の保全が急務である。

僕が勝手に制定した【春枝尺四天王】(春に出現するエダシャクの中でも採集しにくい四種)の一角であり、

残り三種を採集していた僕にとってクワトゲは是が非とも出会っておきたい種であった。


そんなクワトゲ、有名な産地がいくつかあり僕はそのひとつ岐阜県の産地へ赴いた。

到着した感想はなんの変哲もない河川敷である。どこにでもありそう、といったら失礼かもしれないが

埼玉でもこのような環境はあるだろう。食樹であるクワは確かに散見されたが、特記するほど多いわけでもない。

本当にこんな場所にいるのかというのが正直なところだった。

しかしである。

小さな常夜灯の下に見慣れたスタイルの蛾がついている。

一見して色が薄い。クワトゲであった。

到着して5分。まだ陽も落ちていない。恋焦がれたクワトゲとの対面はあっけなく達成された。

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【成虫♂写真】20180304 岐阜県<標高 25m>

目的は達成してしまったが、せっかく6時間もかけて遠路はるばるやってきたのにこれで帰るのはちと寂しい。

追加を狙って少し離れた場所でライトトラップをやることにした。

19:00に点灯。何も飛来しない。ヒゲナガカワトビケラだけが増えていく。

21:00を過ぎてシモフリトゲやトビモンなどが飛来するがクワトゲは飛来しない。

あんなに小さい灯りに来てたんだ、発生しているんだ、来ないはずがない。

23:00。なにも増えない。ここまで何もこないとさすがにテンションが下がる。もう無理か…

23:30。何やら飛んできた。期待もせずに見てみたら




来た!クワトゲだ!!

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【成虫♂写真】20180304 岐阜県<標高 25m>

続けて2♂飛来。良かった良かった。どうやらクワトゲは日付が変わるあたりに活動するようだ。

そういえばオカモトも飛来は遅かったっけ。さて楽しくなってきたぞ。いくつ追加できるかな…


長男が叫ぶ。

「何だ?これおかしいよ?」


なんだなんだ何がおかしいんだ。


長男「クワトゲ?なんだろうけどなんかでけえよこれ」


は? まあそんな個体もいるだろ どれどれ…

P3042772
【成虫♀写真】20180304 岐阜県<標高 25m>

うわあああああ!!!!!! メスだ!!!!!!


メスだ。メスである。どうみてもメスだ。



クワトゲのメスは灯りにこない、のが定説である。

近似種で普通種のオカモトですらメスは灯りにこないので珍品なのだ。


でも飛来した。というか僕はこいつらのメスはほとんど飛べないんじゃないかとすら思っていた。


飛べたんだねキミたち。。。



ということで、合計6♂1♀を採集し、僕の岐阜行は大勝利で幕を閉じた。



さて、ここまでお読みの方は疑問を持つ方もおられると思う。

「オカモトとクワトゲって何が違うの?」

傍目にはそっくりなこの二種、いくつか相違点がある。


1.クワトゲは色が薄い

よく言われてることだが、クワトゲはオカモトに比べてくすんだような色である。


これは実際見ると意外とわかる。しかし、すべてをこれで識別できるかというと疑問符がつく。P3042753

顔を撮ってみても何かくすんだ色の薄い感じがする。彩度が低いと言うべきか?

2.クワトゲは前翅内横線が「くの字」になる

内横線とは一番頭側にある目立つ濃い線のことだ。(本来はもっと内側に亜基線というのもあるのだが)

これがクワトゲは「く」の字になり、オカモトは「(」状になるのである。

P3052781

特異な止まり方をするアポキマ属だが、翅を広げると普通の蛾になる。

こうなっていれば「く」の字になっているのがお判りいただけると思う。

しかし翅の模様を中々見せてくれないため、一見ではわかりづらい。



3.クワトゲの後脚には二対の距がある

【オカモトトゲエダシャク】 でも触れたが、クワトゲは後脚に二対の爪があるのだ。
P30427571_2

これは撮影のみでも角度に気を付ければ判別することができる。

当記事一枚目の画像にも二対の距が確認できるのでもう一度ご覧いただきたい。


以上のような識別点でクワトゲは判別できるので、アポキマを見つけたときにはご活用いただければと思う。

種小名は excavata(エクスカバ-タ) 掘る、とか掘り出し物、みたいな意味があるようだが相関は不明。

【アカエグリバ】にも同じ名前がついているようだ。


埼玉では1990年代初頭に皆野町と寄居町での記録がある。

【0187】ギンモンセダカモクメ
Cucullia jankowskii

草原域の生息するククリアの仲間である。蛾屋の間でも人気が高い仲間だ。

そんなククリアの中でもこのギンモンセダカモクメの美しさは群を抜いている。

【アオモンギンセダカモクメ】と並ぶククリア界の貴族と言っても過言ではないだろう。


その白く輝く姿は極上のミンクのコートを羽織ったようですらある。ククリアの女王、そんな気品が漂う。

そんなククリアの女王に逢うことができたのは、気品漂う富士山の麓であった。


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【成虫写真】20150815  静岡県富士宮市根原<標高920m>

自然状態の静止姿も美しいが、ギンモンセダカモクメの美しさは翅を完全に閉じていない時に極上となる。

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【成虫写真】20150815  静岡県富士宮市根原<標高920m>

もはや溜息しかでない。この美しさを知らずに蛾は汚いなどとのたまう人間は哀れにすら感じる。



食草はヨモギが記録されている。どこにでもある植物であるが、ギンモンセダカモクメはどこにでもいない。

生息地は極端に限られるが、調査されていない河川敷ではまだまだ新産地が眠っている可能性がある。

なお、環境省のRDBでは準絶滅危惧(NT)に指定されている。

種小名は jankowskii (ヤンコウスキイ)。 【ヤンコウスキーキリガ】をはじめ、色々なところに出てくるヤンコウスキー氏である。

ヤンコウスキー氏については yyzz2さんの虫撮記 にて詳しい解説が載っているので興味ある方はご一読いただきたい。


埼玉では三峰山や将監小屋といった高標高地での記録があるようだ。

【0159】フジシロミャクヨトウ
Sideridis kitti

富士山の5合目付近にのみ生息するという、極めて特異な分布をしている蛾である。

その生息地の狭さ故か、環境省のRDBでは準絶滅危惧(NT)に指定されている。


国外には広く生息している種なのだが、なぜ日本では比較的新しいとされる富士山にのみ生息しているのか。

詳しい分布はアルプス山脈、ウラル山脈南部、中央アジア、トルキスタン、モンゴル、シベリア南部となっている。

寒い地方を好む蛾ではありそうだが、他の高山帯にいない理由がわからない。

食草がムラサキモメンヅルとなっているが、特に富士山固有の植物ではない。

考えられるのは富士山以外の個体群が絶滅したということだが・・・ 想像の域は出ない。

S

S2
【成虫写真】20150723 静岡県小山町須走<標高1960m>


黒地に白い横脈が美しい種だ。前翅を閉じると外横線に富士山が現れる。

まさに富士山を代表する蛾といえるだろう。今のところ日本産の生体写真はネット上にこれだけだと思う。


種小名は kitti (キッティ)。いかにも献名ぽい。

決してりんご3個分のネコではない。ましてや「マイケル行きましょう」なんて絶対に言わない。

記載者はSchawerda氏で1914。同じ時代にkitt氏という方もククリアを記載しているのでこの方ではないかと思う。


現在は富士山のみで見つかっているので、勿論埼玉県では記録されていない。

【0097】ダイセンセダカモクメ
Cucullia mandschuriae

日本で数箇所しか記録がなく、非常に局所的な分布をする蛾である。

環境省のRDBでは準絶滅危惧(NT)に指定されている。

ユウガギクを食草としており、他のセダカモクメ同様草原性の蛾だ。

ダイセンとは国内で最初に発見された鳥取県大山にちなんでつけられている。


S_2
【成虫写真】 20130806 静岡県富士宮市 <標高920m>

前翅の白い条紋が目立ち、セダカモクメの中では異色な存在だ。

8~9月に記録がある夏の蛾である。

種小名は mandschuriae (マンドスクリアエ)。直訳すると「狂犬病」の意味があるようだ。

埼玉では記録されていない。

【0088】オナガミズアオ 本土亜種
Actias gnoma gnoma

【オオミズアオ本州以南亜種】によく似ている種だ。

世間ではオオミズアオのパチモンみたいな扱いを受けているが、

僕はこのオナガミズアオの方により美しさを感じている。

一言で言えば「上品なオオミズアオ」である。

Sp9021985
【成虫♂写真】 20080902 埼玉県さいたま市桜区 <標高10m>

夏型の♂である。外横線が強く出ているのが夏型の特徴だ。

オオミズアオは夏型になると黄色味を帯びてきて若干汚らしく見えることが多い。

しかしオナガは鮮やかな蒼翠色を保ったままであることが多い。


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【成虫♀写真】 20080902 埼玉県さいたま市桜区 <標高10m>

同所で得られた♀。もちろん夏型である。

♀はオナガの特徴があまり出ていないので同定が難しいが、この個体はひと目でオナガとわかった。

しかし何故上品なのか。

僕は前縁部の紫色が半分白くなっているのが上品さを醸し出している一因ではないかと思う。

もちろん尾が長くスラっとして見えるのもあるだろう。

Sp603431800
【成虫♂写真】 20130603 埼玉県秩父市三国峠 <1700m>

春型の♂である。

オナガは何故か透けてることが多い。鱗粉のノリが悪いのだろうか。

しかしこの透け透け具合がまた色っぽさと幽玄さを醸しだすのだ。


よく質問される事項として「オオミズアオとオナガミズアオの違い」が挙げられる。

ということでわかりやすいように解説図を作ってみた。

Sp6034343

春型で作ったので、外横線の違いが記載されていないがなんとなくお分かりだろうか?

もちろん各項目に当てはまらない個体もあり、総合的な判断が必要だ。

以前は
オナガミズアオ本州・九州亜種 Actias gnoma gnoma
オナガミズアオ北海道亜種 Actias gnoma mandschurica
オナガミズアオ伊豆諸島亜種 Actias gnoma miyatai

というような具合で3つの亜種に分かれていた。
しかし最新の図鑑では北海道亜種を原名亜種(本州・九州亜種)に含める という記述があった。
伊豆諸島亜種 miyatai はそのまま残るようだが、mandschurica は日本から消える事となった。

しかし、その図鑑には新しい本州・九州亜種の亜種和名が表記されていない。
言うなれば「本土亜種」であろうか。今回は亜種和名を省かせていただいた。

※20130904 ListMj 日本産蛾類総目録 [version 2]に「本土亜種」と記述がされていたのでそれを踏襲する。

春型は4月から、夏型はおおよそ7月から見ることができるが、高標高地では夏型を見たことがない。

ハンノキ属を食樹とするので、ハンノキ類がないとみることはできない。正午過ぎにハンノキを登って羽化しているのを何度も見かけている。


種小名はgnoma (グノ-マ)。 小人、妖精を意味するgnom を女性名詞化したものではないかと思う。

埼玉では上記個体の採れたハンノキ林で有名な秋ヶ瀬の他、旧大宮市、春日部市、川口市、戸田市、草加市、
志木市、北本市、久喜市などの低地帯(おそらくは河川敷)から日高市、横瀬町といった場所で記録があり、
大宮台地の個体群は埼玉県RDBに指定されている。

また、環境省のRDBでは準絶滅危惧(NT)に指定されている。

僕自身は埼玉の最奥地、三国峠でも採集している。

【0079】ミスジキリガ
Jodia sericea

越冬するキリガの一種で平地にも産地にも生息するが、頻繁に見られる種ではない。

ポツン ポツンといろいろな所で散発的に発生している印象がある。

環境省のRDBでは準絶滅危惧(NT)に指定されている種だ。

例年僕が糖蜜をやっているフィールドでもこの冬に初めて飛来した。

今までも同じ所で十何回とやってきていたのだが・・・ わからないものだ。

継続的な調査は大事だと思った瞬間でもあった。

S
【成虫写真】 20130307 埼玉県さいたま市桜区 <標高10m>

普段良く飛来するコニストラに比べると明るい茶色だ。

混じっていても「ん?これはなんか違うぞ?」とひと目でわかるはずだ。

ミスジ、という名の割りにはスジははっきりしないので名前に騙された感が多少する。


種小名はsericea(セリケア)。sericeus が絹糸状のという意なので 「絹糸」に関係しそうだ。

ただ、serice で「対処」という意味もあるようだ。 絹糸のほうがいいなぁ・・・

埼玉では旧大宮市、川口市、鳩山町での記録がある。

【0077】ウスミミモンキリガ
Eupsilia contracta

ハンノキに依存したキリガの仲間である。

埼玉県では以前から準絶滅危惧(NT)に指定されていた種だ。

2012年に改定した環境省RDBにも新たに準絶滅危惧(NT)として指定された希少種である。


と言いたいところだが。


幸い僕の家からは30分ほど車を走らせると、大規模なハンノキ林が姿を現す。

その林で糖蜜採集を行えば、すぐに大量の本種がやってくる。

正直希少種の雰囲気など微塵も感じさせない飛来っぷりで全飛来キリガの7割くらいを占める。

S
【成虫♂写真】 20130307 埼玉県さいたま市桜区 <標高10m>

上記は♂。他のキリガと同じように、オスのほうが微妙に触角が毛深い。


同所で得られた♀はこちら。

S_2
【成虫♀写真】 20130307 埼玉県さいたま市桜区 <標高10m>

若干、触角が細めなのがわかると思う。

しかしこれを現地で見極めるのは至難の業だ。

写真に撮ってよく見てみないとわからない程度の差である。


ハンノキ依存種は生息環境が限られている。

同じようなハンノキ依存の【オナガミズアオ】【ユキムカエフユシャク】も中々見ることができない蛾だ。

河川敷のハンノキ林が不必要な開発によって減少しないことを祈るばかりだ。


種小名はcontracta(コントラクタ)。ラテン語で「契約」の意があるようだが相関は不明。

ハンノキの単食性ということが関係してるのか。。。


181204
【成虫♂写真】 20181205 埼玉県さいたま市桜区<標高10m>

越冬前の個体。越冬後より茶色が濃く新鮮なのがわかるかと思う。

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